左心室肥大予防におけるストレス軽減【科学的根拠に基づく超越瞑想の効果】

科学的根拠に基づく超越瞑想の効果

左心室肥大予防におけるストレス軽減

高血圧アフリカ系アメリカ人に対するTMと健康教育のランダム化試験

背景:アフリカ系アメリカ人は、心血管疾患(CVD)の発生率が顕著に高い。左心室肥大(LVH)は、CVDの独立危険因子であり、この差異の一因となっている可能性がある。心理的ストレスは、アフリカ系アメリカ人や他の集団でもLVHの原因となりうる。

目的:当研究では、超越瞑想(TM)技術によるストレス軽減が、高血圧のアフリカ系アメリカ人成人のLVHを予防する効果について評価した。

場所:マーティンルーサーキング病院-チャールズR.ドリュー医科学大学、カリフォルニア州ロサンゼルス。

方法:当試験では、85人のアフリカ系アメリカ人の成人(平均52.8歳)をTMプログラムあるは健康教育(HE)対照群のいずれかにランダムに割り当てて、事後テストを行った。参加者は研究の始めと6か月後に検査され、Mモード心エコー検査による左室重量指数(LVMI)、血圧、心理社会的ストレス、及び行動因子を測定した。結果の変化は、グループ間ではANCOVAで分析し、グループ内では対応のあるt検定で分析した。

結果:TMグループは、HEグループと比較して有意に低いLVMIを示した。(-7.55gm/m2, 95% CI -14.78 to -.34 gm/m2, P=.040)。 どちらの介入もグループ内で有意な血圧の低下を示した(SBP/ DBP changes for TM: -5/ -3 mm Hg, and for HE: -7/-6 mm Hg, P=.028 to <.001)が、グループ間での変化は有意ではなかった。さらに、両方のグループで、有意な怒りの減少が見られた(p=.002 to .001)。この他には、ライフスタイル要因の変化はなかった。

結論:これらの発見は、TMによるストレス軽減がLVMIの進行を防ぐのに効果的であり、したがって高リスクのアフリカ系アメリカ人患者のLVHおよび関連するCVDを防ぐ可能性があることを示唆している。

掲掲載ジャーナル:Ethnicity & Diseaseはpeer-reviewed journalで、IF(インパクトファクター)が1.847(2019年)であり、indexed by PubMed(Medline)((PubMed(MEDLINE)への採録)論文です。

※peer-reviewed journal: 当該分野の複数の専門家によって査読されて、掲載可となった論文のみが掲載される学術論文誌

※IF(インパクトファクター):その雑誌に掲載された論文が一年あたりに引用される回数の平均値で論文の影響度を表す指標

※PMCID: PMCIDは、国立衛生研究所(NIH)から助成を受けた研究の成果論文が、NIHパブリックアクセス方針に則り、PMCへ提出されたことを示す固有識別子です。ですので、本論文の研究が国立衛生研究所(NIH)から助成を受けた研究であることを示しています。

Reference: Schneider, R. H., Myers, H. F., Marwaha, K., Rainforth, M. A., Salerno, J. W., Nidich, S. I., Norris, K. C., Stress Reduction in the Prevention of Left Ventricular Hypertrophy: A Randomized Controlled Trial of Transcendental Meditation and Health Education in Hypertensive African Americans. Ethnicity & Disease, 29(4), pp.577 – 586, 2019.

doi: 10.18865/ed.29.4.577,PMCID: PMC6802172, PMID: 31641325

超越瞑想についてはこちら

解説:土田賢省(東洋大学教授)

写真:Unsplashjesse orrico 撮影

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