情緒不安

1. TMによる情緒不安の効果

超越すること──感情のバランスが回復する

ストレスにさらされると、脳の前頭前野は自ら機能を停止します。超越すればその機能は再び機能し始めます。

脳機能に関する最新の発見により、ストレスがどのようにして脳の正常な機能を妨げ、衝動的な行動を引き起こしているのかが明らかになりました。

目の真上に位置する脳の部分、すなわち前頭前野は、私たちの「高度な思考」──長期的な計画、衝動の抑制、物事の善悪の判断など──に関与しています。

ほとんどの決定は脳のこの部分で行われているので、この部分は、脳のCEO「最高責任者」と呼ばれています。前頭前野は、人間を動物と区別している側面の一つです。

脳の正常な機能

脳が正常に機能している場合、情報の流れは次のようになります。──情報は感覚器官を通って脳に入り、前頭前野に送られて処理されます。そこで行われた決定は運動系に送られ、筋肉を反応させます。

ストレスにさらされている脳の機能

ストレスにさらされている場合、この情報の流れは変化します。情報は前頭前野を通らずに、感覚器官から直接、運動器官に送られます。脳がこのように進化したのには、合理的な理由があります。

例えば、道路を横断中に自動車が突然近づいてきた場合に、私たちは、必要以上に考えずに素早く反応しなければなりません。考えている時間はないからです。即座に、衝動的に、飛び退く必要があります。このような脳の仕組みは、危機にさらされたときに私たちの身を守るために存在しているのです。

感情の安定性とストレスとの関連は長い間知られてきましたが、現在では研究者はこの関連性について明確な科学的説明を与えることができます。
私たちがストレスにさらされると、脳の前部(感情の安定性に関与している脳の部分)の機能が停止します。また、慢性的なストレスにさらされていると、扁桃体(怖れ、怒りなどを司る脳の部分)が恒常的な活動状態になってしまうことがあります。

超越は、ストレスと正反対の影響をもたらします。つまり、前頭前野の活動を高めるのです。

超越によって脳の前部が活性化する

超越しているとき、私たちの体は深く休息した状態になり、最も根深い緊張さえも取り除かれ、脳の前部の働きがより活発になります。
この状態は、例えば脳の血流を計る神経画像スキャンによって計測可能です。この状態のとき、体の機能に関連している視床の活動が減少し(リラックスした状態になり)、それと同時に前頭前野の活動が増大します。

このような脳内の変化は、TM中の超越の体験に特有のものであることが分かっています。他の瞑想法やリラクセーション法で体験される通常のリラックスした状態では、このような変化がTMと同じ程度に現れることはありません。

超越の体験中、脳の前部が活性化するだけでなく、ストレスによって乱されていた脳の他の部分との協調が回復します。この状態は、脳波の同調の度合いを調べることで計測可能です。
(詳細は「TMによる知能の効果」をご覧ください)

最近の研究では、感情の安定性も脳波の同調と関係しており、超越の体験が脳波の同調に大きな肯定的影響を与えることが分かっています。

超越の体験とは、内面の平和が増し感情が落ち着く体験

超越が脳にもたらす影響は、ストレスの影響とは正反対です。
超越すると、脳の前部の活動が増大すると同時に、扁桃体は恒常的な活動状態から解放されます。この状態を体験すればするほど、脳はこの状態に慣れていき、その結果として感情の安定性が増していくのです。

2. 科学的調査

退役軍人のPTSDの治癒

Journal of Counseling and Development 64: 212-215, 1985

超越瞑想による退役軍人の社会適応の改善:感情麻痺の緩和

心的外傷性ストレスを患う退役軍人のうち、超越瞑想を学んだグループは感情麻痺の有意な緩和を示し、それに対して、心理療法を受けたグループは有意な変化を示しませんでした。

心的外傷性ストレス患者の家庭内問題の減少

Journal of Counseling and Development 64: 212-215, 1985

心的外傷性ストレスの治療を求める患者のうち、超越瞑想を学んだグループは、心理療法を受けたグループと比較して、家庭内問題の有意な減少を示しました。

産業労働者の情緒不安定の緩和

Japanese Journal of Industrial Health 32: 656, 1990

日本の産業医学総合研究所が住友重機械工業株式会社で行った研究では、超越瞑想の指導を受けた427人の従業員のグループは、同じ職場の308人の対照グループと比較して、情緒不安定が緩和したことがわかりました。