クリス・マーティン──メンタルヘルスのための書くこと・瞑想・身体の動き

世界的なロックバンド、コールドプレイのボーカルでありソングライターでもあるクリス・マーティン。華やかなステージの裏で、彼は長年にわたりメンタルヘルスの問題と向き合ってきたという。忙しいツアー生活の中で心のバランスを保つために、彼が頼りにしているのは薬や派手なセラピーではなく、静かな内面の実践──書くこと、瞑想すること、そして身体を感じることだ。(冒頭写真はイメージ)

2025年春、マーティンは自身のInstagramで、うつ状態を乗り越えるために実践している日々のルーティンを率直にシェアした。その投稿は多くの共感を呼び、創造性と心の健康の関係、そして「自分を整える」ための新しいアプローチに注目が集まっている。

フリーワイティング:12分で心をクリアにする

マーティンは、思い浮かぶことを何でも12分間書き出し、その紙を捨てることを勧めている。この方法は「フリーワイティング」として知られ、頭の中での反芻(はんすう)を減らし、難しい感情を整理する助けとなる。心理学の研究によると、感情表現的な文章を書くことは自己省察と感情の調整を促し、不安や抑うつの症状を軽減することが示されている。

超越瞑想:マントラによる心のバランス

マーティンがもう一つ重視している実践法は「超越瞑想(略してTM)」である。これは、一日に2回、15~20分間、個人的なマントラ(音)を静かに心の中で繰り返す瞑想法だ。研究によると、この技法はストレスを軽減し、感情的な幸福感を高めることが明らかになっている。規則的な瞑想は、不安に関係する脳の領域の活動を低下させ、心の落ち着きと精神の明晰さをもたらすという。

固有感覚:意識的な身体の動きによる感情の調整

マーティンはまた、「固有感覚(プロプリオセプション)」についても言及している。これはジム・コステロによって開発された技法で、脳の活動バランスを整えるために設計された特定の身体動作を行うものだ。この実践は、特にADHD(注意欠如・多動症)や自閉症スペクトラムの人々に有効で、身体感覚の認識を高め、感情の自己調整を促進する。心と身体のつながりを深めることで、不安を軽減し、集中力を高める効果があるという。

クリス・マーティンの率直な姿勢は、メンタルヘルスについて語ること、そして癒しへとつながる多様な道を探ることの大切さを示している。彼の物語は、同じような苦しみと向き合う人々に希望とインスピレーションを与えている。

ソース:Chris Martin and the Science of Well-Being: Writing, Meditation, and Movement for Mental Health

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