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ヘッジファンドの億万長者レイ・ダリオ氏は、2008年のリーマンショックを一早く予測し、リスクを回避したことで知られる伝説の投資家だ。その彼がビットコインの動向や、瞑想によって投資の失敗を回避することを語った記事がMoneycontrolに掲載された。以下はその記事の抄訳である。
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71歳のダリオは、2021年のコンセンサス会議の期間中、仮想通貨の情報サイト「コインデスク」でこう話した。
「世界は信じられないほど速いペースで変化していく。技術競争に勝った者が、経済的にも軍事的にもすべてを勝ち取る。それが今後5年間の姿だ。」
ダリオはまた、現在金融界で大きな話題となっている仮想通貨についても言及した。
「ビットコインの最大のリスクは、その成功にある。懸念しているのは、政府がビットコインや仮想通貨をコントロールし始めること。ビットコインで貯蓄が増えれば増えるほど、人々は『国債や社債よりもビットコインを保有する方がいい』と考え、お金はビットコインに流れて、政府は資金調達能力を失うことになる。だから、もしビットコインが成功したら、政府はそれを規制するだろう。」
こうしたダリオの経済予測は、世界中の投資家や金融関係者の間で注目を集めてきた。
そんな彼が金融の世界で才能を発揮しはじめたのは12才の時だった。ゴルフのキャディーとして稼いだお金で初めて株を購入し、それが値上がって、投資の面白さに目覚めることになる。
投資の専門家として成功したのも早かった。20代でハーバード大学のMBAを取得した直後、ダリオはニューヨークのアパートでブリッジウォーターを立ち上げる。しかし、その7年後、彼は投資で大失敗し、ほとんどすべてを失った。父親から借金をしてなんとか乗り切ったが、その時期、彼は瞑想を行い、自分の失敗を振り返っていた。
「瞑想によって心をすっきりとさせて、どこが間違っていたのか振り返ってみたんだ。心の痛みが過ぎ去ったら、ただ前に進むのではなく、一度、その状況を思い返してみるといい。それによって、次に進むべき道が見えてくる。」
「私は20才のときに超越瞑想を学んだ」とダリオは別のインタビューで語っている。きっかけは、ビートルズが1968年にインドに行って超越瞑想を学んだことだった。このテクニックには呼吸法も含まれているが、中心となる実践は、目を閉じて心の中でマントラを繰り返し、思考を超えた静かな精神状態に到達すること。
瞑想は、ダリオの攻撃的な性格を和らげる助けとなった。ダリオは「常に自分が正しい」と考えてしまう態度を改め、その代わりに「どうして自分が正しいといえるのか」と自問するようになった。
ダリオは著書の中で、「この疑問への最高の解決策は、自分と同じ目標を持ちながらも、自分とは異なる角度から物事をみて、独自に考えることができる人物を見つけることだ」と書いている。このような方法が、ダリオや彼の同僚を助けて、会社に利益をもたらしたのだ。
ソース:Billionaire Ray Dalio on why meditation is good for business, and why he’s got ‘some Bitcoin’