ニューヨークでは、ビジネスの最前線で働く戦士たちが、瞑想による穏やかさを体験し始めている。瞑想は社会から逃避するのではなく、ビジネスで必要とされる鋭敏さを高めている、とファイナンシャルタイムズが報告していた。以下はその記事の抄訳。
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この1カ月間、時々、髪の毛が燃えているように感じることがあった。ある重要な仕事のプロジェクトを終えなければならない時期に、私は、家の引っ越しと事務所の移転を同時に行うという過ちを犯してしまったのだ。以前、職場の慢性的なストレスは危険であると書いたことがあるが、私たちは、そうしたストレスをどう扱ったらよいのだろうか? アメリカ人とイギリス人の多くが、慢性的な不安感に対処するために、精神安定剤や睡眠薬の助けを借りている。最近の調査では、ザナックスとバリアムといったベンゾジアゼピン系の精神安定剤の処方が、この1年間で12.5パーセントも増加したことが明らかになった。
数年間にわたって、実習が不規則になったり、結果もまちまちではあったが、ストレスに対処する私の個人的な解決策は瞑想だった。これまでに、マインドフルネスを含む数種類の瞑想法を試したことがある。マインドフルネスでは、その日の特定の時間、呼吸に注意を集中させることを行う。しかし、私が見つけた最も心を静める方法は、超越瞑想だった(どの瞑想法がよいかは、人それぞれ違うだろう)。超越瞑想(TMとも言う)は、1日2回20分間ずつ、マントラを繰り返す瞑想法だ。
TMを好んで実践しているのは私だけではない。コネチカット州に拠点を置く1500億ドルのヘッジファンド、ブリッジウォーター社は、デヴィッド・リンチ財団(有名な映画監督が設立した財団)を通じて、400人の従業員に超越瞑想のコースを提供している。
デヴィッド・リンチ財団の人当たりの良い理事長ボブ・ロス氏によると、最近、ウォール街の重役たちが、ますますTMを求めるようになってきたという。TMによって、集中力や創造性が増し、よりダイナミックに活動しながらも、ストレスによって疲れ果ててしまうことがなくなるからだ。
TMは、1960年代にビートルズが始めたことで、広く知られるようになった。どんな宗教や哲学とも関係しない、リラクセーションのテクニックであると彼は強調する。
瞑想に対して懐疑的であっても構わない。現在では、多くの科学的研究が、瞑想によって心臓発作、血圧、ストレスが軽減することを示していると彼は語っていた。
ニューヨークにあるヴァイル・コーネル医科大学の臨床精神科教授リチャード・フリードマン医師は、約3年間、瞑想してきたと私に話してくれた。TMを始めた理由は、ストレス解消のためではなかったが、次第に都市生活の混乱に惑わされなくなってきたという。「以前は小さなことで悩んだり、イライラしていましたが、そうしたことが減って、もっとゆったりとした気持ちで生活できるようになりました。」
瞑想することで、自分の強みである鋭さ(タイプAと呼ばれる、敵に打ち勝つための攻撃的な性質)が失われるのではないかと恐れる人々がいるが、その点はどうだろうか。
フリードマン医師は、多くのタイプAの患者たちを見てきたが、「瞑想することで、彼らはおそらく期待以上のものを得るでしょう。瞑想によって、彼らの牙が抜かれたり、タイプBの性格になるわけではありません。ただ、緊張することが少なくなったと感じるでしょう」とフリードマン医師は述べている。
その良い例が、マイケル・デスマレ(ニューヨークのゴールドマン・サックス証券会社の国際人事課の部長)だ。TMを始める前に、彼は自分の鋭さを失うのではないかと心配したが、それは間違いだったと述べている。
「反対に、鋭さを維持できるようになりました。瞑想することで、集中力が高まるからです。」と彼は語る。ロス氏は、多忙な重役達に、瞑想の時間をスケジュールに組み込むように勧めている。瞑想の20分間は、商談をしているときと同じように、秘書たちに頼んで、すべての電話を保留にしてもらえば良いのだ。
ある人々は、TMを学ぶ費用が960ドルであることにたじろくかもしれない(ブリッジウォーター社は、従業員がTMを学べるように、費用の半分を支給している)。しかし、もしテニスやゴルフのやり方を学ぶとしたら、腕のいい先生から学ぶことは、本で学ぶよりもずっと上達が早い。瞑想もそれと同じなのだ。
Source:Meditate to sharpen your assertive edge
(FINANCIAL TIMES BY Charles Wallace)