人気番組の司会者が実践する成功への鍵。瞑想によって今に集中し、エゴを抑えること。

人気テレビ番組の司会者トム・バージェロン(66才)は、20代の頃、重要な教訓を学んだ。それは「拳で壁を突き破ったら、その穴にポスターを貼っても敷金は戻ってこない」ということだった。

現在、バージェロンは穏やかで冷静な司会者の典型である。しかし、ポッドキャスト『10% happier(10%の幸せ)』の中で、若い頃は怒りをコントロールできず、問題を引き起こしていたとバージェロンは語っていた。

今では、壁に穴があくことはなくなったが、それは当時のガールフレンドで現在の妻ロイスのお陰である。ある日、彼が無防備な車のドアに怒りをぶちまけるのを見た彼女は、「もし私たちの関係を維持したいのなら、怒りをぶちまけるのはやめて」と言ったからだ。

翌日、バージェロンは超越瞑想を学ぶコースに申し込み、それ以来、彼の怒りは抑えられてきた。

テレビ画面のオンとオフを問わず、瞑想でうまく対応する

超越瞑想の実践は、バージェロンの家庭内の幸福を保証しただけでなく(彼とロイスは1982年以来、幸せな結婚生活を続けている)、彼がテレビ番組『off the cuff(ぶっつけ本番)』の王座に就くのを助けた。

何十年もの間、バージェロンは「America’s Funniest Home Videos(アメリカのおかしなホームビデオ)」や「Hollywood Squares(ハリウッド・スクエア)」などの人気番組の司会を務め、誰もが知っているテレビのなじみの顔となっている。過去25年間、バージェロンは予期せぬ事態が発生しても、完璧な対応をしてきた。それはABCの大ヒット番組「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」においてもだ。

バージェロンにとって、世界中の何百万人が視聴する2時間のライブショーの司会でさえ、ストレスを感じることは全くない。瞑想のお陰で、そのライブショーは、一日の中で最もリラックスした時間だと彼は語っている。

「瞑想とは、今に集中する能力を高めるために、時間と心のエネルギーを投資するようなものです。そのお陰で、何が起きてもそれにうまく対応できるという自信がつきました。」

多くの人が、バージェロンの鋭く、気楽で、常に雄弁な司会を絶賛している。そんな誰からも愛されているテレビ番組の司会者が確信している成功への鍵とは、つながりを保ち、今に集中し、エゴを抑えること。そのために、彼は日々、瞑想を行って、こうした質を強化している。


人気テレビ番組「ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ」の司会をつとめるトム・バージェロン

『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ』に出演するときの日課は、「衣装を身につけた最終的なリハーサルと本番との間に瞑想すること。楽屋で10分から20分ほど瞑想して、その瞬間に集中するための筋肉を鍛えている。」とバージェロンは語った。

「何年も前のことですが、即興劇をやったことがあるんです。」

「ナイトクラブのステージだったと思います。観客の一人に主人公の役柄は何がいいかを聞き、別の観客にはどんなシチュエーションがいいかを聞いて、それを即興で演じるのです。自分で言うのもなんですが、見事なできでした。まるで事前に脚本を用意して、何度も練習して、繰り返し演じてきたかのような劇でした。しかしそれは、偶然生まれものだったのです。観客からは大きな反響があり、当時の私のエージェントは、あいた口が塞がらないほど驚いていました。」

しかし、「俺はすごい」とバージェロンが思った瞬間、すべてが崩れ去った。

「うまくできたときは、何か普遍的な貯水池に入り込んで、そこから即興劇が生まれるという感覚がありました。しかし、そうした感覚の代わりに、それは自分が生み出したものだと考え始めたら、その次の即興劇はひどいものになりました。その原因は私のエゴです。私のエゴが入り込んで、うまくできたことに感謝する代わりに、「それは自分の手柄だ」と胸をはったからです。その即興劇は、みんなで一緒に作り上げたものでした。それなのに、拍手喝采を浴びた瞬間、すべてを自分が成し遂げたと思ってしまったのです。そうしたら、次の即興劇はひどいものになりました。その舞台は、まったく別人のようでした。」

今この瞬間に集中する

バージェロンがハフポストライブで超越瞑想について話したとき、「今この瞬間」を生きる上で瞑想が助けになることを、さらに詳しく説明していた。

「瞑想は、まさに自分のエネルギーを今に集中させる方法です。過去の出来事を後悔したり、将来の出来事を必要以上に心配したり、恐れたりして、今という瞬間から注意を引き離すべきではありません。」

「悲しいことに、多くの人が自分の人生を振り返ったときに、今という瞬間にもっと注意を向けるべきだったと言います。瞑想は、今この瞬間に留まるのを助けてくれるのです。

「舞台の上で観客の要望通りに即興劇を行うように、すべての可能性に心を開くのです。瞑想によって、それができるようになりました。ですから、何をする場合にも、瞑想が助けになるのです。」と彼は付け加えた。

バージェロンにとって、ハリウッドで平常心を保つ方法は、他の場所で平常心を保つ方法と何ら変わりない。

「今、ここで、この瞬間に存在することが大切です。一息入れることを忘れないように。何か大きな失敗を犯したときは、ピエロの鼻をつまむことです。」

ソース:Tom Bergeron, dancing with the stars and relaxing with meditation
巻頭写真: ThisisEngineering RAEng on Unsplash

ドームで瞑想するオペラ・ウィンフリー

関連記事