世界的ベストセラー「アルツハイマー病 真実と終焉」の著者がアルツハイマー病予防に超越瞑想を重要視

認知症研究の世界的権威であるカリフォルニア大学名誉教授デール・ブレデセン博士は、自ら開発したアルツハイマー病の治療プログラム「リコード法」の中に超越瞑想を取り入れていた。

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もし自分や家族がアルツハイマー病だと診断されたら、ぞっとすることだろう。この病気は進行していくと、肉体的にも精神的にも衰えていき、最終的に、患者は日常のすべての活動で介護を必要とし、記憶、コミュニケーション能力、人格の特徴を失っていくからだ。

アルツハイマー病の患者を介護することは、肉体的にも経済的にも大きな負担となるだけでなく、何よりも愛する人が多くの能力を失っていくのを見るのは耐えがたいことだ。

数十億ドルもの資金を費やして、アルツハイマー病の治療法が研究されてきたが、これまで症状の緩和が認められたのは、わずかな効果を示す一つの薬だけ。アルツハイマー病と診断された後に、希望を与えてくれる研究結果は、最近まで存在しなかった。

アルツハイマー病を治療する全体的なアプローチ

現在、アルツハイマー病は米国で6番目に多い死因となっている。それに対処するために、デール・ブレデセン医学博士は統合医療の立場からアルツハイマー病の見直しを行ってきた。一つの検査値や特定の身体の部位に焦点を当てるのではなく、身体を個人差のある全体的なシステムとして注目したのだ。

彼の30年間にわたる研究結果は、著書『アルツハイマー病 真実と終焉──認知症1150万人時代の革命的治療プログラム』の中で詳しく解説され、世界中でベストセラーになっている。さらに、この治療プログラムを用いることで、初期アルツハイマー病患者の認知機能に改善が見られることがパイロット研究によって実証されている。

複雑な原因に対する全体的な解決策:ブレデセン博士の治療計画は、大規模な集積データ、遺伝子データ、生化学を用いて、神経変性疾患を理解し治療するものだ。

ブレデセン博士の治療法の要は、アルツハイマー病の発症の背後にある複雑な原因を調べることにある。アルツハイマーの症状は、脳の3つのタイプの損傷に根ざしているからだ。

  • タイプ1(熱い)は、慢性的な炎症によって引き起こされる。慢性的な炎症とは、トランス脂肪や糖分を摂り過ぎたり、感染症など様々な要因から起こるものだ。
  • タイプ2(寒い)は、適切な栄養の欠如によって脳が縮小する結果として起こる。
  • タイプ3(不潔)は、カビなどの微生物が生み出す毒物や、銅・水銀など金属性の有害物質に過剰に触れた結果として起こる。

ブレデセン博士が患者に対してまず最初に行うことは、その人の症状にどのような要因が関係しているのかを徹底的に検査することだ。

ブレデセン博士が「認知鏡検査」と呼んでいる検査結果に基づいて、訓練を受けた医療従事者が治療プログラムを計画する。そして、個々の治療計画に従って、進行中の炎症を治療したり、毒素にさらされる状況をなくすなど、患者の特定の病気の原因を取り除いていくのだ。

全身を治療することで脳を治療する

ブレデセン博士の治療計画の多くは、常識に則ったものだ。例えば、単純糖質・酒・加工食品を控えること、十分な睡眠と運動(夜7~8時間の睡眠と、少なくとも週150分の運動)、夕食を早い時間にとる(就寝の3時間前、朝食の12時間前)などが上げられる。

「私たちが勧める食事療法は 、身体を軽いケトーシス状態にしますが、これは脳の機能を助けて、認知症に効果があることがわかっています。」

「こうした食事療法や運動プログラムは、パズルの小さなピースのようなもので、それらが適切に組み合わさって初めて効果が現れます。それはちょうど、36の穴が開いた屋根を塞ぐようなものです。人によって運動の領域に大きな穴が開いている人もいれば、別の領域に小さな穴が開いている人もいます。食事療法や運動を組み合わせて、そうした穴をすべて塞ぐのです。」

「製薬会社は、1つの穴を塞ぐための薬を生み出しますが、それだけでは効果はないのは当然です」とブレデセン博士は、従来の薬物研究がアルツハイマー病の治療法を見つけることができなかった理由を説明している。「アルツハイマー病のような複雑な要因によって起こる病気は、生理機能の一つを扱っても、うまく効果を発揮しないのです。」

希望の光をもたらすパイロット研究

2014年に発表されたブレデセン博士の研究は、以前は改善の見込みがないとされてきたアルツハイマー病に対して、この治療計画が非常に有効であることを示している。

全面的な改善:ブレデセン治療計画を行っている患者に見られるアルツハイマー病の指標の進歩状況

厳格なプログラムを開始してから数カ月後、研究対象となった55~75歳の10人の患者のうち9人が、認知機能が改善したり、正常に戻ったことに気づいた。改善が見られなかったのは、治療計画を開始したときに、すでに認知症が進行しすぎていた1人の患者だけだった。

引き続き行われた2016年の研究では、研究対象となった10人の患者全員に改善が見られ、1人の患者は再発することなく、すでに4年間プログラムを続けている。

ブレデセン博士の治療計画に超越瞑想が取り入れられる

ブレデセン博士は、ある患者との出会いから、超越瞑想(TM)に興味を持ち始めた。その患者は、ブレデセン博士の治療計画に従うと同時に超越瞑想の実践を始めたことで、驚くべき継続的な回復を経験したのだ。

「治療を始めてから5年以上経過していますが、彼女は非常に素晴らしい効果を示しています。」とブレデセン博士は『EnjoyTM News』で語った。「彼女は規則的にTMを実践しており、彼女の症状の改善は主にTMテクニックに起因しています。彼女は、TMが自分の治療プログラムの非常に重要な部分であると考えています。」

超越瞑想は、様々な病気の根本原因を同時に改善するため、ブレデセン博士は、こうした結果を当然のことと考えているようだ。

「TMのようなテクニックは、高血圧コルチゾールの高まりなど、病気の根本原因を改善します。特に、ストレスを解消する効果は、非常に有効であることがわかっています。

ストレスはコルチゾールを増加させて海馬を損傷するだけでなく、腸のバリア機能を低下させて、腸壁から食物や細菌が血流に漏れ出す原因となります。それは炎症反応を引き起こし、1型アルツハイマー病の一因となるのです」とブレデセン博士は、彼の治療計画に超越瞑想の実践を加えた理由を説明した。

デール・ブレディセン医学博士:アルツハイマー病などの神経変性疾患のメカニズムを研究する国際的に認められた専門家。UCLAの神経学教授。

予防と早期介入が成功への鍵

ブレデセン博士の研究によって、アルツハイマー病は他の多くの病気と同様に、予防と早期介入が最も重要であることが確かめられた。

「アルツハイマー病は、時間の経過とともに少しずつ進行するので、人々は 『私はまだそんなに悪くない』と言い続けます。『これはおそらくアルツハイマー病ではないだろう』と先延ばし、先延ばし、先延ばしし続けるのです。しかし実際には、それと正反対のことをしなければなりません。つまり、予防する必要があるのです。

症状が現れた場合には、早い段階で病気の進行を逆転させる必要があります。そして、病気の進行を逆転させるためには、私たちが開発し、本の中で説明している包括的な治療計画が必要です。」と彼は強調している。

「当然のことですが、私たちがどのような生活をしているかが非常に重要です。つまり、私たちが何を行っているか、栄養状態はどうか、いかに毒素にさらされているか、ということです。私たちはストレスを減らしたいと思っていますが、その点においても、TMのようなテクニックが非常に役立ちます。」とブレデセン博士は私たちの生活全体が脳を作ったり壊したりしているとまとめていた。

ソース:Curing early-onset Alzheimer’s: research offers a ray of hope