瞑想中、眠っている?目覚めている?「安らぎの機敏さ」を浮き彫りにした新研究

fMRIの画像から超越瞑想の実践中には、前頭葉の血流が増加するとともに、橋と小脳の血流が減少している。これは深く安らいでいながら機敏に目覚めていることを示唆している。

CREDIT: MAHARISHI UNIVERSITY OF MANAGEMENT

このFMRI画像は、超越瞑想中に脳の中で活性化される領域を示しています。活性化した領域(オレンジ色)には、前帯状回と背外側前頭前皮質が含まれ、活動が静まった領域(青色)には、橋と小脳が含まれていました。これらの研究結果は、頭は冴えていながら、心と体は深い休息状態にあることを示しています。

異なる瞑想法では、異なる形で脳が使われている

UnsplashDimitry Bが撮影

超越瞑想法(略してTM)は、「安らいでいながら機敏な状態」を生み出すと言われています。「脳と認知(Brain and Cognition)」誌に掲載された新しい研究では、脳の画像を用いて、超越瞑想の実践中、頭は冴えていながら、心と体は深い休息状態にあるという主張が裏付けられました。

16人の被験者によるTM実践中の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)パターンから、TM中には、前頭前野の注意に関する領域で活動が増加し、機敏になることが明らかになりました。これは注意を集中したり、観察を行う瞑想法にも見られる現象です。しかし、他の瞑想法とは違って、TM中には橋や小脳など覚醒に関わる脳の活動が減少し、深く休息していることがわかりました。

「今日、様々な瞑想法が行われていますが、それらを区分して、それぞれの瞑想法が脳に与える影響の違いを知ることが大切です」と、この研究の筆頭著者ミシェル・マホーン博士は述べていました。「当然のことですが、異なる瞑想法では、異なる形で脳が使われているからです。」

安らいでいながら機敏な状態

参照文献:American Psychologist 42: 879–881, 1987

超越瞑想を西洋に紹介したマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーは、TMの実践によって、「安らいでいながら機敏な状態」が生み出されると説明していました。そして、過去数十年間にわたって、研究者たちはこの主張を科学的に検証しようと努めてきました。

初期の研究(上図)は、超越瞑想の実践によって交感神経の活動が低下することを示唆しています。それは交感神経機能の2つの生理学的指標(皮膚伝導反応と血漿乳酸)の低下、および呼吸数の減少によって示されました。

今回の新しい研究の共著者であるフレッド・トラヴィス博士は、「交感神経の活動の低下は、超越瞑想がもたらす安らいでいながら機敏な状態に起因する」と述べています。「安らいでいながら機敏な状態は、超越瞑想の鍵であり、睡眠とは全く異なる種類の休息です。この深い休息によって若返りと癒しがもたらされ、同時に、心のより深い経験、超越の継続的な経験が生み出されることが、幅広い臨床研究によって示されています。」

超越中に得られる安らいでいながら機敏な状態は、単なる概念にとどまらないとトラヴィス博士は話しています。「これらの血流パターンは、心と体が安らいでいながら機敏である状態を生理学的に示しています。」

前頭前野への血流の増加

超越瞑想を平均34年実践している16人の被験者は、それぞれ10分間瞑想しながら、fMRIスキャンで脳の血流を測定する検査を受けました。

このfMRIスキャンから、目を閉じて静かに休んでいる場合と比較して、「両側前帯状回」と「両側背外側前頭前皮質」の血流が増加することがわかっています。これらの脳の領域は、意思決定、推論、ワーキングメモリー、抑制、報酬予測など注意と実行機能に関連する領域です。

前頭部の血流の増加は、他の瞑想法の実践中にも報告されていて、心が機敏であることを示しています。

橋と小脳の血流の減少

しかし、他の瞑想法とは異なり、超越瞑想の実践中は橋と小脳への血流が減少することが明らかになりました。橋は、全般的な覚醒の状態を調整し、呼吸と心拍数を制御している部分です。こうした活動の低下は、超越瞑想中に起こる心の深い静寂と、体の安らいだ状態を生み出しているといえます。

小脳は、協調や運動制御、注意や言語などの認知機能に関連する情報処理の速度やばらつきを調節している部分です。小脳の活動が低下することは、制御を行うための認知的な努力を必要とせずに、身体がより自動的に機能することを示しています。

橋と小脳の活動の減少は、超越瞑想中の認知制御と実行処理の全般的な減少を示唆するものです。それは、注意のシステムがバランスのとれた状態にあり、必要なときに機能できることを示していると、トラヴィス博士は話しています。

「今回の研究結果は、超越瞑想が自律神経系のバランスを取り、生活の質を向上させることを示す他の研究結果と一致している」とマホーン博士は述べていました。

心の自然な傾向を利用

超越瞑想を正しく実践することで、このような安らいでいながら機敏な状態が、努力なしに得られると言われています。

トラヴィス博士は、「超越瞑想は、心の自然な傾向に従っているので、努力する必要がない」と述べていました。「シンプルな方法で実践を始めると、分析したり意図しなくても、自動的に安らいでいながら機敏な状態になります。静かな状態に落ち着こうとする心の自然な傾向に従うだけでいいとマハリシは話していました。」

超越瞑想について

超越瞑想は、1日2回、20分間、目を閉じてゆったりと座りながら行う、シンプルで自然な瞑想法です。宗教でも哲学でもなく、生活スタイルを変える必要もありません。集中したり、心をコントロールしたり、黙想したり、思考や呼吸を観察したりしない、簡単に習得できる瞑想法です。この瞑想法を実践することで、活発に考えている心は、内側の静かな状態へと落ち着いていくと言われています。

参照文献:Brain and Cognition 123 (2018) 30-33 ミシェル・C・マホーン、フレッド・トラヴィス、リチャード・ゲヴィルツ、デヴィッド・ハバード

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ソース:New study highlights unique state of ‘restful alertness’ during Transcendental Meditation

巻頭写真:UnsplashPan Yunboが撮影