スピルバーグの自伝的映画でジョン・フォード役をデヴィッド・リンチが承諾した理由

スティーブン・スピルバーグ監督の最新作で、彼の自伝的映画である「フェイブルマンズ」は、先日ゴールデングローブ賞を受賞し、アカデミー賞の有力候補に躍り出た。

この映画の終わりに主人公は、映画史に名を残す巨匠ジョン・フォード監督から助言を受け、それが彼のキャリアの出発点となる。

この重要なフォード役を演じたのが、あのデヴィッド・リンチ監督だ。彼にこの役をもちかけるとき、スピルバーグはこの三年間、デヴィッド・リンチ財団を通じて超越瞑想を続けてきたことを伝えた。それがリンチ監督の心を動かしたという。以下は、スピルバーグがニューヨークの上映会で語った「リンチのカメオ出演」に関する裏話である。

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ジョン・フォード役をリンチに依頼

昨年12月11日、ニューヨークのDGAシアターで行われた「フェイブルマンズ」の上映後、マーティン・スコセッシ(著名な映画監督)が、スティーブン・スピルバーグにインタビューを行った。

その中で、スコセッシは、ジョン・フォード役を演じるデヴィッド・リンチのカメオ出演について尋ねた。フォードは映画の終盤に、主人公のサム・フェイブルマンズに短いながらも印象的な助言を与え、それが彼の映画監督としてキャリアの出発点となる。スピルバーグはこう話していた。

「私は、ある俳優にジョン・フォード役を依頼するつもりでした。しかし、脚本家のクシュナーの夫、マーク・ハリスがデヴィッド・リンチに頼んだらどうだろうと提案してきたんです。私は『それは、いいアイデアだ』と思い、すぐに電話をしました。」

その申し出をリンチは大いに喜んでくれたが、答えはノーだった。「自分は俳優でもないし、他のプロジェクトもある。ジョン・フォードはとても偉大だから、それに値する人物になれなかったらどうしよう、と言っていました。彼はちょっと恥ずかしがっていたんです」。

スピルバーグとリンチの意外な共通点

しかし、スピルバーグとリンチとの間には、互いに共感し合えることが一つあった。それはデヴィッド・リンチ財団を通じて、スピルバーグ夫妻は超越瞑想を熱心に実践していることだった。

「私たちは、三年間、超越瞑想の世界にどっぷり浸かっていたのですが、その電話で、デヴィットがそのことを知ったのです。それで急に、彼の態度が前向きになったのがわかりました」。

しかし、それでも彼の答えはノーだった。「そこで私は、頼みの綱として彼の親友ローラ・ダーンに相談しました。デヴィッドと話して、二週間以内に説得して欲しいとね」。

次にスピルバーグとリンチが二人で話をしたとき、「デヴィッドは『フォード役を引き受けることに決めたが、一つだけ条件がある』と言いました。その条件とは、『撮影の二週間前に衣装を手に入れて、それで生活したい』と言ったんです。私は『それを着るということですか?』と尋ねたら、『そうだ、毎日だ』と言いました。帽子も眼帯も全部です。それで、彼は着つぶしたヨレヨレの衣装でやってきました」。

「リンチが葉巻に火をつけるのにかかった時間は?」とスコセッシは尋ねた。映画の中では、コミカルなほどゆっくりと葉巻に火をつけていたからだ。

「映画編集の魔法は、好きなだけ時間をゆっくりにできることだ」とスピルバーグは答えていた。

ジョン・フォード役のデヴィッド・リンチ

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ソース:
マーティン・スコセッシがスティーブン・スピルバーグにインタビューを行う動画
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