2015年にコジェント・サイコロジーに掲載された論文 「自閉症スペクトラム障害に超越瞑想は有効か? 一つの視点」では、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供や若者にとって超越瞑想(略してTM)が有用な治療法であることが指摘されていた。
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ストレスを軽減する超越瞑想は、自閉症にも有効か?
デヴィッド・O・ブラック博士、ノーマン・ローゼンタール博士、ピーター・ワラ博士が執筆したこの論文では、自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断された人が、超越瞑想の実践から得ている恩恵を詳細にわたって評価している。
自閉症ではない一般人を対象とした研究では、超越瞑想が、ストレスの緩和や特性不安の解消に有効であることや、自制心や感情をコントロールする能力が高まることが確認されてきた。
そのため、ストレス、不安、自己管理能力の欠如といった症状を抱える自閉症の人々に、超越瞑想は有効ではないかという仮説をもとに研究が行われた。
6つの事例研究の2つの共通点
この研究では、自閉症と診断された子どもや若者(10~30歳)に、TMを毎日2回、15~20分、週に10回以上、3カ月以上実践していもらい、彼らにインタビューを行った。
その結果、参加者の経験から2つの共通点が導き出された。
一つは、研究に参加した被験者全員が、TMは学びやすく、規則的に実践できると感じていたことだ。
もう一つ参加者が感じていたのは、TMを行うと、ストレスや不安が減少し、感情や行動をコントロールできるようになり、生産性が向上することや、新しい環境を受け入れ、それに対処する能力が高まったり、日常の予期せぬ変化に対応する能力が高まるということだった。
また、集中力が向上し、テストへの不安が減少し、睡眠が改善し、癇癪が減少し、ストレスの生理的症状が軽減するといった効果も報告されている。
今回行われた6つの事例研究は、自閉症スペクトラム障害の治療法にTMが適しているかを評価する最初の一歩に過ぎないが、今後の研究のための重要な基礎資料になるだろう。
ソース:Transcendental meditation for autism spectrum disorders? A perspective