マインドフルネスと超越瞑想(TM瞑想)のやり方・効果を徹底比較

いま瞑想が静かなブーム。多くの瞑想法が紹介されていますが、瞑想に興味はあっても何が自分にあっているかわからない、と躊躇する人も多いかもしれません。

この記事では、1970年代から超越瞑想を中心に研究を行ってきたオームジョンソン博士が、科学的な見地から瞑想の手法を区分し、特にマインドフルネスと超越瞑想を比較しながら、瞑想が私たちの生活にどのような恩恵をもたらすのかを明らかにしています。

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瞑想のやり方には三通りの種類がある 

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──瞑想にはたくさんの種類がありますが、どのような違いがあるのですか?

オームジョンソン博士:科学者たちは、瞑想を実践のやり方、心身に対する影響、日常生活に及ぼす結果の違いに基づいて三つに分類しています。

・集中法(Focused Attention)
・観察法(open monitoring)
・自己超越法(Automatic Self-Transcending)

例えば、マインドフルネスには、集中法や観察法に当てはまる様々なテクニックが含まれています。

集中法とは、特定の考えや生理的プロセスに注意を向ける瞑想法ですが、例えば、呼吸に注意を向けたり、体の様々な部分の感覚を感じ取ったりします。このときの脳波を測定すると、集中法ではガンマ波(20~50Hz)と呼ばれる高周波の脳波が見られます。

観察法に相当するマインドフルネスのテクニックには、「観察して気づく」方法が含まれています。これは、実践者が自分の思考や感情に反応することなく、それらに気づくように訓練するものです。自分の考えや感情、体の感覚を判断せずに受け入れ、心の雑念にとらわれず、今この瞬間に意識を集中することを学びます。

観察法は、シータ波(4-7Hz)と呼ばれるゆっくりとした脳波と関連しています。シータ波とは、算数の問題を解くときのように、心が集中しているときに生じる脳波です。

また、集中法や観察法とは異なる瞑想法として、「自己超越法」に分類される超越瞑想(略してTM)があります。TMの実践では、心の中でマントラ(瞑想に適した音)を努力なく用いることで、心が自動的に落ち着いていきます。その結果、体が深く安らいでいながら内側で目覚めている状態となり、脳全体の同調の度合いが高まるのが特徴です。

図の解説:3種類の瞑想。「集中法」と「観察法」は、心の活動的なレベルで行われ、ある程度の精神的努力を必要とします(チャートの一番上)。超越瞑想(自己超越法)は、心を努力なく自然に、より静かで精妙なレベルへと落ち着かせて、静かな心、すなわち第4の意識状態である超越意識を体験します。(Consciousness and Cognition 2010 19(4):1110-18.3からの引用)

努力がなくなると、アルファ波が優勢となる

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超越瞑想の実践は、アルファ波(8-10Hz)と関連しています。アルファ波とは、目を閉じてリラックスしているときに現れる脳波です。TMの実践中に現れるアルファー波は、その人が眠っていない状態で、内側で目覚めていながら、集中していないことを示しています。なぜなら、集中していることを示すベータ波(13~20Hz)やガンマ波ではなく、アルファー波が優勢となるからです。こうした客観的な計測から、TMは集中を伴わないテクニックであることがわかります。

TM実践中のアルファ波は、その人がリラックスしていながらも眠っておらず、内側で目覚めていることを示しています。これは、安らいでいながら目覚めているという、TM中に起こる独特の意識状態です。この状態は、起きているとき、夢を見ているとき、眠っているときの意識と全く異なる特徴をもっているため、第四番目の意識、超越意識と呼ばれます。そのとき、呼吸がゆっくりになり、ストレス・ホルモンが減少するといった生理的変化が起こり、体は深くリラックスして活力を取り戻します。実際、TMの実践中の生理状態は、不安を感じているときの生理状態とは正反対の状態になることがわかっています(4,5)。

──マントラを思うときには、マントラに意識を集中しないのですか?

オームジョンソン博士:TMのテクニックでは、マントラに集中したり、心をコントロールしたりしません。マントラは、心が自然に落ち着くための手段です。心の精妙なレベルは、より魅力的で、至福に満ちているので、心は自動的にそこへと惹きつけられます。TMの実践は、より魅力的なものに自然に惹かれていくという心の自然な傾向に基づいています。超越意識とは至福に満ちた領域であるため、心は自動的に至福の方向へと向かっていくのです。

また、先ほど話したようにTMの実践中には集中と関係したベータ波やシータ波が現れないので、マントラに集中していないことがわかります。TM中に現れるアルファー波は、心が非常に安らいでいながら目覚めている状態を示しています。(下表参照)。

下の表は、脳波の周波数の違いによる脳機能の違いと、その脳波の特徴をまとめたものです。

出典:Trends in Neurosciences 30, no. 4 (2007): 150-58; Neuroscience and Biobehavioral Reviews 32, no. 5 (2008): 1001-13.6,7

瞑想の方法によって脳波が異なる

──観察法に当たるマインドフルネスのテクニックは、超越瞑想とどう違うのでしょうか?

オームジョンソン博士:観察法は、実は、集中法の一種であるといえます。集中法では、実践者は一つの対象に注意を向けますが、観察法では、内なる思考の流れといった変化するプロセスに注意を向けます。

観察法に関連した脳波であるシータ波(4~7Hz)は、注意が内側に集中しているときに見られる脳波です。内面で思考に集中しているときに、それを邪魔しないように感覚入力を抑制する過程で生じる脳波です。

観察法では、不快な考えが浮かんでも個人的な判断はせずに、その思考のプロセスに心を留めますが、それはいくらか努力を伴います。それに対して、TMは全く努力を必要としない瞑想法です。そのため、マインドフルネスを実践していた人がTMを学ぶと、TMはシンプルで簡単だと報告する人が多いです。

──1つのことに注意を向けて、自分のやっていることに集中する能力は大切ではありませんか。

オームジョンソン博士:それはとても重要な能力です。注意を集中させることで、その行動を効率的に達成できるからです。眠くて疲れていると、注意力が低下して、ミスをしたり、ボールを取り損ねたり、先生が言ったことを理解できなかったりします。

先ほども述べたように、TMのテクニックは、睡眠中や夢を見ているときには得られない、深い安らぎを与えてくれます。この安らいでいながら目覚めているという状態は、健康を促進するだけでなく、注意力を高める上でも効果的です。疲れているときには注意が散漫になりがちですが、十分に休んでリラックスしているときには、何かに集中するのは簡単なことです。

また、TMには、注意欠陥多動性障害(ADHD)の学生の集中力を高める効果があります(10,11)。彼らが毎日の日課にTMを加えると、脳波がより正常になり、注意力が改善することがわかっています。

また、TM中に脳の各領域で測定されるアルファ波は、波形がよく似ていて、同調しています。これは大脳皮質の様々な領域が互いに連絡を取り合い、よく訓練されたチームのように連携して機能していることを意味します。研究によると、TM中のアルファ波の同調は、注意力の向上、知能の向上、学業成績の向上など、さまざまな認知能力の向上と関係しています。これらすべては、一つのことに注意を集中する能力が高まることを示しています。(下図参照)。

──マインドフルネスでは、もっと受け入れて、今この瞬間を生きるように勧めていますが、超越瞑想ではどうですか。

オームジョンソン博士:自分自身や自分の置かれている状況をより明確に理解し、受け入れることは、私たちの成長や成功にとって大切なことです。マインドフルネスとTMとの違いは、TMでは瞑想中や瞑想後に特定の結果を出そうとしないことです。意識して「もっと受け入れよう」「今この瞬間を生きよう」と努力することはしません。ただ1日2回、規則的に瞑想するだけで、ストレスが軽減され、脳波の同調が高まるので、自然な形で、こうした肯定的な質が成長していきます。

下の図は、TMテクニック中のアルファー波の同調が、認知能力の向上以外にも、神経症の減少や情緒の安定性の向上など、さまざまな感情的・心理的な効果と関連していることを示しています。

図の解説:脳機能の同調がもたらす効果。この図は、TMに関する多くの研究結果を図示したものです。TMの実践中にアルファ波の同調が増すことで、知的能力や感情面で様々な効果が得られることが確かめられています。

このように、TMの実践は、性格に起因する「特性不安」と、状況に反応する「状態不安」の両方の不安を軽減することがわかっています。不安感が減少するにつれて、自然に、もっと受け入れ、今という瞬間を大切に生きるようになります

TMを実践すると、自己認識力が高まり、良心に従って論理的に考えることができるようになるため、自分にとっても他の人にとっても建設的な形で現在の状況に対応することができるようになります。

──TMを続けていると、どのような変化が期待できますか?

オームジョンソン博士:TMの実践による効果は、時間の経過とともに蓄積されていくことが、長期的な研究によって確かめられています。例えば、マハリシ国際大学のTM実践者を対象とした10年間の研究では、TMテクニックを実践していない他の4つの大学の卒業生と比較して、自我の発達(人格の全体的な発達)や分別のある論理的思考という面で、前例のない成長が見られました(19)。

全員がTMテクニックを実践しているアイオワ州フェアフィールドにあるマハリシ国際大学の学生たち

また、医療利用統計に関する11年間の研究では、対照群と比較して、入院日数が74%少ないことがわかっています(20)。また、カリフォルニア州フォルサム刑務所でTMテクニックを学んだ受刑者のグループを、15年間追跡調査した結果、対照群と比較して、出所後の再犯率が43.5%少ないことがわかりました(21)。

他にも、高血圧に関する無作為化比較実験に参加した55歳以上の心臓病患者を、20年間追跡調査した研究があります。高血圧の実験期間中にTMを学んだ人は、リラクゼーション法や健康教育を学んだ対照群と比べて、死亡リスクが23%低かったことがわかっています(22)。

規則的にTMを実践し、安らいでいながら目覚めている状態を繰り返し体験することで、体にストレスがたまって慢性化する前に、それを取り除くことができます。それによって、体に本来備わっている自己治癒力が働きだして、バランスの乱れを見つけ出し、正常化するのです。このように、TMを長期間にわたって規則的に実践することで、多くの肯定的な効果が現れることがわかっています。

超越瞑想の効果については、これまで50年以上にわたって世界中の独立した大学や研究機関によって650件以上の研究が行われてきました。それらの論文は、専門家による厳格な審査を経て権威ある学術誌で発表されています。その結果、超越瞑想が健康、幸福、知性、創造性、行動面で有効であることが示されています。

超越瞑想についてはこちら

ソース:How Is TM Different from Mindfulness, in Practice and Effects?

デイビッド・オームジョンソン博士は、超越瞑想法に関する主要な研究者の一人であり、論文審査のある学術誌に100以上の論文を発表している。国際科学研究センターの研究部長、マハリシ・ヨーロッパ研究大学の副学長を務めた。マハリシ国際大学では、心理学部の学部長、心理学博士課程ディレクター、人間意識の生理学の博士課程の共同ディレクター、研究部長を務めた。世界56カ国以上で、科学会議、政府高官、国連などでTMの研究を発表している。

瞑想を試してみた

出典
1. K. Eppley, A. I. Abrams, & J. Shear. Differential effects of relaxation techniques on trait anxiety: A meta-analysis. Journal of Clinical Psychology 45, no. 6 (1989): 957–974. doi:10.1002/1097-4679(198911)45:6<957::AID-JCLP2270450622>3.0.CO;2-Q

2. D. W. Orme-Johnson, & V. A. Barnes, V. A. Effects of the Transcendental Meditation technique on trait anxiety: A meta-analysis of randomized controlled trials. Journal of Alternative and Complementary Medicine 20, no. 5 (2013): 330–341. doi:10.1089/acm.2013.0204

3. F. T. Travis, Shear J. “Focused attention, open monitoring and automatic self-transcending: Categories to organize meditations from Vedic, Buddhist and Chinese traditions.” Consciousness and Cognition 19, no. 4 (2010): 1110–1118.

4. M.C. Dillbeck, & D. W. Orme-Johnson. Physiological differences between Transcendental Meditation and rest. American Psychologist 42 (1987): 879–881.

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6. P. Sauseng, & W. Klimesch. What does phase information of oscillatory brain activity tell us about cognitive processes? Neuroscience and Biobehavioral Reviews 32, no. 5 (2008): 1001–1013. https://doi.org/10.1016/j.neubiorev.2008.03.014

7. S. Palva, & J. M. Palva. New vistas for alpha-frequency band oscillations. Trends in Neurosciences 30 (2007): 150–158.

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17. R. E. Herron, & B. Rees. “The Transcendental Meditation Program’s Impact on the Symptoms of Post-Traumatic Stress Disorder of Veterans: An Uncontrolled Pilot Study.” Military Medicine 183, no. 1-2 (2017): e144–e150.

18. R. H. Schneider, C. E. Grim, M. A. Rainforth, et al. “Stress reduction in the secondary prevention of cardiovascular disease: Randomized controlled trial of Transcendental Meditation and health education in Blacks.” Circulation: Cardiovascular Quality Outcomes 5, no. 6 (2012): 750–758.

19. H. Chandler, C. Alexander, D. Heaton, & J. Grant. “Transcendental Meditation and postconventional self-development: a 10-year longitudinal study.” Journal of Social Behavior and Personality 17, no. 1 (2005): 93–122.

20. M. V. Rainforth, C. Bleick, C. N. Alexander, & K. L. Cavanaugh. “The Transcendental Meditation program and criminal recidivism in Folsom State Prisoners: A 15-year follow-up study.” Journal of Offender Rehabilitation 36 (2003): 181–204.

21. R. H. Schneider, Alexander C. N., Staggers F., et al. “Long-term effects of stress reduction on mortality in persons ≥ 55 years of age with systemic hypertension.” American Journal of Cardiology 95, no. 9 (2005): 1060–1064.

22. R. H. Schneider, C. N. Alexander, F. Staggers, et al. “Long-term effects of stress reduction on mortality in persons ≥ 55 years of age with systemic hypertension.” American Journal of Cardiology 95, no. 9 (2005): 1060–1064

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