インド政府のアーユシュ省は、「世界アーユルヴェーダの日」を毎年9月23日に実施すると正式に発表しました。約10年前のアーユルヴェーダの日の創設以来、毎年、陰暦に合わせて日付が動いてきましたが、9月23日に定まったことで、各組織(政府・大学・医療)や国際社会がインドの伝統医療と連携しやすくなります。
今年のテーマは「人と地球のためのアーユルヴェーダ」。このテーマは、資源を大切にする暮らし、予防を重視した健康管理、生態系の調和と深く結びつく理論を反映しています。アーユルヴェーダは世界保健機関(WHO)の伝統医療戦略にも位置づけられ、現在、170を超える国々の公衆衛生の枠組みに影響を与えています。
神経科学者でマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの後継者であるトニー・ネイダー博士は次のように語っていました。

「アーユルヴェーダは古代インドの医療体系であるだけでなく、生命の科学という時代を超えた叡智です。今この世界に切実に必要とされている実践的な解決策──1人ひとりの体質に合った食事法、季節ごとの浄化法、呼吸や瞑想で心と体を整える方法を提供します。」
世界のアーユルヴェーダ市場が急拡大
この発表は、世界のアーユルヴェーダ市場が急拡大する中で行われました。フォーチュン・ビジネス・インサイツによれば、アーユルヴェーダ市場は2023年に67億米ドル規模、2032年には211億米ドルに達すると予測され、年平均成長率(CAGR)13.3%で拡大すると見込まれています。その背景には、統合医療への世界的需要の高まりと、インドのアーユシュ省による外交・科学面での後押しがあります。
こうしたアーユルヴェーダの復活の機運は、20世紀後半のマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーによる普及活動に端を発します。マハリシは、インドを代表するヴァイディヤ(アーユルヴェーダ医)たちと協力して、伝統への忠実さ・科学的根拠・利用しやすさを重視しながら、脈診(ナーディ・ヴィギャン)やパンチャカルマを世界の主流に押し上げ、現代医療との整合性を図りました。

科学的研究も伝統的アプローチの有効性を支持しています。パンチャカルマ療法では解毒効果が各種指標で確認されており、アーユルヴェーダの哲学と親和性の高い超越瞑想(TM)は、米国心臓協会と米国心臓病学会から高血圧管理の一助として推奨されています。
世界アーユルヴェーダの日が世界的な行事日程に組み込まれたことで、インドの古来の叡智はさらに未来へと踏み出すでしょう。それは単なる「処方」ではなく、スピードの速い現代社会において、バランスの取れた全体的な生き方の指針となるものです。
ソース:Ayurveda’s Global Leap: World Ayurveda Day Gets Fixed Date, Focuses on Planetary and Personal Health