超越って何?

Contents

1. 超越すること──自分自身になる

自分自身になる体験によって自分らしく生きる

歴史を通して、賢人たちはみな人生の成功について同じ教えを説いてきました。それは「汝自身を知れ」──つまり、自分自身を知りなさい、自分自身になりなさい、という教えです。どちらの表現も同じことを意味しています。

では、自分自身を知る、自分自身になるとは、いったいどういう意味でしょうか?

日常の生活では、私たちの注意はいつも、見えるもの、聞こえるもの、感じるもの、考えるものなど、自分以外のものに向けられています。

朝目覚めてから夜眠りにつくまで、私たちは絶えず何かを考え、何かを体験していて、自分自身だけになることがありません。何かを体験しているときにはいつでも、自分以外のものを認識しているので、自分自身を認識することがないのです。

では、どうしたら自分自身を認識することができるのでしょうか? 
私たちの注意を外側ではなく内側に向けることによって、自分自身を知ることができます。

それは、私という体験者が何も知覚していない、何も行動していない、何も考えていない、ただ自分自身だけがある、純粋な『存在』の状態です。この自分だけがあるという状態を体験することが、自分自身になる、自分自身を知るということと同じです。

しかし、どうしたらこのような状態になれるのでしょうか? 
何も見ない、何もしないということは簡単です。ただ座って目を閉じればよいからです。しかし、何も考えないというのはどうでしょうか? 

無念無想の状態になろうとしても、それがいかに難しいかがすぐにわかるでしょう。いくら考えないように努めても、たくさんの考えが常にやってくるからです。

ですから、無念無想の状態に入ろうとして試みれば、瞑想は間違った方向に進んでしまいます。

超越瞑想は、古代から伝えられてきた瞑想のテクニックですが、そのプロセスは全く自然なものです。正しい指導を受けて、正しいテクニックを学べば、無念無想の状態に入ろうと努力しなくても、心はとても自然に、その状態へと至ります。

なぜなら、心は本質的にそこへと向かうことを何よりも望んでいるからです。心にとって、それは家に帰るようなものです。
(詳しくは「超越瞑想のルーツとは?」をご覧ください)

超越瞑想は、簡単で努力が要らず、とても心地よいものです。簡単で努力をしないということが、純粋な『存在』を体験し、自分自身になるための唯一の方法なのです。

人々は、心を集中したり制御することが瞑想であると思っていますが、マハリシの教えを簡単に説明すると、真の瞑想は心の集中や制御を全く必要としないということです。

たいていの集中法は努力を要します。しかし、少しでも努力をすれば、心は活動的になってしまい、想念の最も微かな状態を超越して、純粋な『存在』を体験することができなくなってしまうのです。

正しく訓練された超越瞑想の教師は、どんな人もこの超越の状態へと向かうように導くことができます。それによって、心はひとりでに、自然に、努力なくその源へと至り、自分自身だけになるのです。

この体験を繰り返すと、どのような効果が得られるでしょうか?

超越瞑想を行うことによって、自分自身になるという体験を何度も繰り返すことで、心はその体験に慣れ親しんでいきます。
そして最終的には、瞑想中だけでなく活動している最中にもその体験が失われなくなります。つまり、どのような状況にあっても自分自身を失うことがなくなるのです。

自分自身を生きている人は、深い根と太い幹をもった木に似ています。どんなに強い風が吹いても、その木は揺らぐことはありません。それは人生のあらゆる領域で成功を得るための確固とした基盤となります。

自分自身を生きている人は、困難な状況に直面しても冷静でいられ、状況に圧倒されることなく、問題の解決策を素早く見つけ出すことができます。そのような人は、自信に満ちており、人間関係は良好で、人と争い事を起こすこともありません。それによって、人生の全ての面がよくなっていきます。
(詳しくは「自分自身になること」をご覧ください)

その上、自分自身を生きている人は周りに肯定的な質を放射しますから、周りにいる人たちもますます肯定的になっていきます。

瞑想することは自己実現の最初のステップ

自分自身を生きているかどうかは客観的に測定できます

自己実現テストを用いると、人がどの程度まで自分自身を実現しているか、客観的に測定することができます。

この研究は、様々な瞑想法による自己実現の度合いを測定した複数の調査(全部で42件の調査)をメタ分析したものです。
その結果、他の瞑想法にはわずかな効果しか見られませんでしたが、18件の超越瞑想に関する調査では、測定された効果の平均値は、他の瞑想法の3から4倍もありました。

これが、単なるリラクセーションと本当の超越との違いです。超越して自分自身を体験することによってのみ、日々の生活の中でも自分自身を生きることができるのです。

最初に「自己実現」という概念を生み出した心理学者アブラハム・マズローは、完全な自己実現に達する人は全体のわずか1〜2%にすぎないと考えていました。

マズローは、ある人たちがときどき体験する「至高体験」が自己実現への成長を促す体験であることを明らかにしています。

このマズローが説く「至高体験」は、超越の体験と非常によく似ているため、超越瞑想は「至高体験」を得るための系統的な方法である言えます。

実際、超越瞑想に関する長期の調査によると、10年間、超越瞑想を続けた人たちの38%が、マズローの説く自己実現の最高レベルにいることが確認されています。

瞑想して自分自身を知ることは、完全な自己を実現する最初のステップです。
人は自分自身になったときに初めて、自分自身の本質である真我を体験し、真の自分を発見するのです。
(詳しくは「超越すること—人間の最高の体験」をご覧ください)

2. 超越すること──体の治癒力を目覚めさせる

見たり、聞いたり、行動するといった、それら日常の経験のすべては、神経系の活動によって生じます。もし、経験が強すぎると神経系の構造に負荷がかかり、それが緊張やストレスとなって蓄積されます。

例えば、誰かと言い争ったりすると心臓が締め付けられたりしますが、これは神経系に大きな負荷がかかり、それがストレスとなって体の正常な機能を妨げてしまうのです。

疲労は、睡眠中の休息だけでは十分にとることができない

一日を通して、さまざまな経験によって神経系に負荷がかかり、ストレスが蓄積されていきます。そのことを、黒板に例えて説明しましょう。

朝起きたときには、黒板には何も書かれていません。しかし、一日を通して何かを体験するたびに、少しずつ黒板に何かが書かれていきます。そして、ある時点で黒板はいっぱいになり、それ以上、書くことができなくなります。そのときは黒板を消して、またきれいにしなくてはなりません。

それと同じように、神経系がストレスでいっぱいになると、神経系の能力は低下し、もうそれ以上、機能できなくなってしまいますから、すべてのストレスを消して、きれいにしなくてはなりません。

幸運なことに、体にはそのための自然なプロセスが備わっています。そのプロセスは、睡眠中に体が休息しているときに起こります。休息をとって体がリラックスすれば、神経系の緊張が緩んで疲労が解消されます。

しかし、問題は、忙しい毎日を送っていると、受け取る経験が多過ぎて睡眠中の休息だけでは、すべての疲労やストレスを取り除くことができない、ということです。そのため朝起きても体のだるさが続き、疲労が慢性化していきます。

多くの病気は、蓄積された緊張やストレスが原因

睡眠によって解消されない緊張やストレス──それは時間とともに蓄積していきます。その結果、次第に体の自然な働きが阻害されて、様々な精神的および身体的な問題が生じてきます。

これらの問題は、最終的には、遺伝的に私たち体の最も弱いところに現れてきます。ある人は心臓病に、また別の人はうつ病になるかもしれません。しかし、遺伝的要因が病気の原因なのではありません。真の原因は、体の自然な働きを阻害する、緊張やストレスを完全に取り除くことができない、ということにあります。

このように、体の自然な働きが損なわれることが、心身の病気の90%の直接的または間接的な原因であると見なされています。

瞑想中、心の活動は減少していき、やがて完全に静かで落ち着いた状態へと至ります。それが超越の体験です。
(詳しくは、「超越すること—自分自身になる」をご覧ください)

心と体は密接に関わっているため、心が完全に落ち着くと、体もリラックスして深い休息を体験します。それは睡眠中に得られる休息よりも、もっと深い休息です。これは実際に客観的に測定することができます。

超越瞑想の実践中睡眠よりも深い休息が得られる

このグラフはハーバード大学、医学大学院で行われた研究調査の結果を示しています。

Science 27 Vol. 167 no. 3926 pp. 1751-1754 1970
Scientific American 226:84-90 1972

この研究では、瞑想中と睡眠中の酸素消費量を比較して休息の深さを測定しました。その結果、TM(超越瞑想)を行っている間、体は、睡眠中に得られる休息よりも深い休息の状態に素早く入っていくことが分かります。

この注目すべき調査は、1971年にサイエンス とサイエンティフィック・アメリカン という二つの権威ある科学雑誌に掲載されました。その後も、TM中の休息の深さは、30件以上にわたる研究によって繰り返し確認されています。

TMに関する31の調査を分析した研究では、呼吸率、心拍数、血漿中の乳酸塩濃度の測定においても、TMによるリラクセーションは、通常の閉眼時の休息よりもはるかに深いことが実証されています。
[American Psychologist 42: 879–881, 1987]

その結果として、体は活力を取り戻し、自分自身を癒し始めます。長時間の睡眠や長期にわたる治療によっても取り除くことのできなかったトラウマ性のストレスさえも取り除いていきます。

原因を取り除くことができれば、その結果も消えていきます。体の自然な機能を阻害している根深いストレスを取り除けば、体が適切に機能しないことから生じるすべての問題は自動的になくなります。このサイトでご覧いただけるように、その効果は人生のすべての領域に現れてきます。

最も劇的に見られるのは、深刻な問題を抱えた人たちや、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむ退役軍人や難民の人たちです。こうしたトラウマ性ストレスの治療では、薬で症状を抑えることしかできず、根本的な解決策は見つかっていません。

ところが、これまでに行われたいくつかの研究によって、超越瞑想を4〜12週間行うだけでPTSDの症状が大幅に軽減したり、完治することが分かりました。[Journal of Counseling and Development 64: 212–215, 1985][Military Medicine 176 (6): 626-630, 2011][Journal of Traumatic Stress. 2013:1-14]
(詳しい情報は、「 PTSD」をご覧ください)

これらの研究は、私たちの体には自分自身を癒す非常に強い力が備わっていることを示しています。私たちに必要なのは、その力を目覚めさせることだけです。

超越瞑想によって、こうした深刻なトラウマが癒されるのであれば、ストレスを抱えた一般の人々に効果があることは容易に理解できるでしょう。

ストレスが軽減すると、ストレスへの抵抗力が増す

ストレスは悪循環:ストレスが多いともっとストレスが多くなる

ストレスは悪循環を作ります。ストレスが多いほど、さらにストレスを受けやすくなります。ストレスにさらされるとバランスを失ったり、議論や喧嘩に巻き込まれたりして、さらに多くのストレスを受けることになるのです。

また、ストレスは創造性を妨げるため、問題の解決策を見つけることも難しくなります。解決できない問題に直面すると、それがまた新たなストレスの原因となってしまうのです。

1日2回、各20分の瞑想でこの悪循環を断ち切ることができる

超越の体験がもたらす深い休息は、この悪循環を断ち切ります。体に深い休息を与えることで、神経系はストレスから解放され、体は再び正常に機能し始めます。

その結果、バランスを失うことなく、自分自身を維持できるようになるのです。もし私たちがいつも休息のとれた状態であれば、ものごとに柔軟に対処することができ、新たなストレスも生じなくなります。
それは、ちょうど水の上に書いた線のようです。深い休息によって、ストレスはすぐに消えてなくなるのです。

American Psychologist 42: 879–881, 1987

このことは客観的にも測定できます。TMを規則的に3カ月間実践した人の心拍数、酸素消費量、電気皮膚抵抗、血漿中の乳酸塩を測定した結果、TM実践者は瞑想していないときにも、落ち着いていて、安らいでいることが分かりました(この調査はTMに関する31件の調査の平均値を示しています)

また、TM実践者はストレスに満ちた刺激にさらされても、バランスのとれた状態により早く戻ることができます。ストレスに対する抵抗力は、客観的にも測定できます。この研究は、超越の体験がストレスに対する抵抗力を高めることを示しています。

ストレスの軽減は、実は、TM中に起こっていることの副次的な効果にすぎません。体に備わっている治癒力が目覚めれば、体の機能を妨げていた不純物はすべて、雪が日に当たって溶けていくように消えていきます。
(詳しくは、「超越すること──人間の最高の体験」をご覧ください)

ストレスの軽減に関するTMの科学的研究については、「ストレスの解消」を参照してください。

3. 超越すること──内面の幸福と平和

古代の聖典には、生命の本質は至福であると記されている

インドに伝わる古代の聖典には、「生命の本質は至福であり、生命は至福から生まれ、至福へと帰る」と記されています。すべての生命は、それ自身の本質である「至福」を求めて、それ自身の源へと戻っていく傾向があります。

例えば、心はいつも幸福を求めています。もっと大きな喜びや満足を求めています。しかし、日常で得られるどのような体験も心を完全に満たすことはできません。なぜなら、心が本当に求めているのは、限られた幸福ではなく、無限の幸福であるからです。それは外側の世界には見つかりません。それは私たちの内側に、心の源にあるものです。

心の源には、無限の幸福の領域があり、そこが超越の領域です。ですから、瞑想して心を内側へと向けることで、心は自動的により大きな幸福に惹かれて、超越へと向かって進んでいきます。超越瞑想は、より大きな幸福を求める心の自然な傾向を利用しているので、全く努力が要らず、効果的なのです。

さて、瞑想中の主観的な経験は毎回違いますが、生理状態を客観的に測定してみると、心が超越するときには、体にも一貫した生理的的変化が起こっていることが分かります。例えば、「幸福ホルモン」と呼ばれるセロトニンが大幅に増大し、ストレスホルモンのコルチゾールや血漿中の乳酸塩が減少します。 

幸福ホルモンやストレスホルモンの変化を計測することで、心の幸福の度合いを知ることができる

[JEVNING, R.; WILSON, A. F.; and DAVIDSON, J. M. Adrenocortical activity during meditation. Hormones and Behavior 10(1): 54–60, 1978. Reduction in Biochemical Index of Stress: Decreased Plasma Cortisol Levels]
[BUJATTI, M., and RIEDERER, P. Serotonin, noradrenaline, dopamine metabolites in Transcendental Meditation technique. Journal of Neural Transmission 39: 257–267,1976]

超越の体験を何度も繰り返すと、ストレスホルモンの減少と幸福ホルモンの増加が定着し、瞑想していないときにもそれが続くようになります。

超越瞑想を長期にわたって実践している人たちには、目を見張るような心身の改善が見られますが、こうしたホルモンの変化がその理由の一つと考えられます。

ストレスホルモンは体の中で一つの役割を果たしています。私たちが攻撃を受けたときには、ストレスホルモンが働いて、即座に「闘うか逃げるか」という行動を起こす必要があるからです。

しかし、ストレスホルモンが慢性的に多いと、神経系が損なわれ、最終的には病気になります。例えば、コルチゾールの濃度は二型糖尿病や肥満と関係があり、乳酸塩の濃度は高血圧と関係があることが分かっています。

一方、セロトニンは多くの脳機能を制御しています。セロトニンの減少は、うつ、不安、偏頭痛、怒り、アルツハイマー病、睡眠障害、記憶障害、衝動的な行動、依存症など様々な問題と関係していることがわかっています。

セロトニンの濃度を高める薬は、一時的に病気の症状を緩和しますが、問題の真の解決にはなりません。脳の中のセロトニンの減少には、ストレスが大きく影響していることが分かっています。

人間の神経系の正常な機能が健康や幸福をもたらす

基本的に、人間の神経系の正常な機能が、健康と幸福をもたらします。私たちの体はもともと、健康で幸福に生きるように設計されているのです。

なぜなら、それが生命の本質だからです。こうした神経系の正常な機能を妨げているのがストレスであり、それとは逆に、神経系の正常な機能を回復するのが超越の体験です。

超越とは、内面の深い静寂と幸福の体験です。この体験は幸福ホルモンやストレスホルモンに影響を与え、体の治癒力を高めて(「超越すること──体の治癒力を目覚めさせる」参照)、蓄積したストレスを取り除きます。ですから、体は再び正常に機能するようになるのです。

4. 超越すること──人間の最高の体験

このサイトでは、超越の体験から得られるさまざまな恩恵について、多くの事例を上げて紹介しています。

これら幅広い事例は、超越するというたった一つのテクニックが、人生のすべての領域に効果をもたらすことを示唆しています。
(詳しくは、「超越瞑想の最も劇的な効果の概観」を参照してください)

では、どうしてそれが可能なのでしょうか? 
他の瞑想法やリラクセーションのテクニックでは、これほどの効果は見られませんから、超越の体験には、ただのリラクセーションよりも、もっと深い何かがあるに違いありません。
そこで、このページでは「超越」についてさらに詳しく見ていきます。

超越が幅広い効果をもたらすことは、一つの例で理解することができます。それは木の根に水を与えることで、木全体を生き生きとさせる、というものです。

木には無数の葉や、無数の枝、無数の花といった膨大な数の多様性がありますが、それらを個々別々に扱うのではなく、根というたった一つを扱うことで木全体を扱うのです。

超越という生命の根を扱うからこそ、人生のさまざまな領域を改善することができるのです。

超越するとは、自分は本当は誰なのかを知ることです

超越とは真の自分を体験することです

人類最古の文献、ヴェーダ文献には、「私の意識、私の自己は、宇宙の遥か遠くまで浸透し、反響している」と表現されています。

ここで言う「私の自己」とは、超越意識のことです。つまり、広大な宇宙には、私の自己、超越意識が広がっていることが表現されているのです。

超越意識はちょうど、波のない静かな海のようなものです。波という活動が全くなくなると、そこには海という単一のものだけが残ります。そして、その静かな海から、たくさんの波が生じます。

この個別の波が私たちの個別の意識です。そして個別の波が、波のない静かな海の状態までに完全に静まった時、小さな波は海と一つになります。この例えでは、波は個別の意識であり、海は普遍的な意識、つまり超越意識です。

瞑想中、活動的な心は努力なく落ち着いていき、やがて波のない静かな意識になります。これが超越です。超越の体験とは、意識の活動のない状態であり、それは普遍的な意識です。そして、それはまた本当の自分、自分自身になる体験です。
つまり、本当の自分とは、個別の意識のことではなく、普遍的な意識のことを言います。

さて、物質科学である物理学もまた、物質粒子やエネルギーのすべては、単一の場が励起した波であると言われています。そして、この単一の究極的なレベルにある場(波のない静かな海の状態)は、統一場と呼ばれます。
(「統一場」に関する詳細は、「統一とは、科学的な現実なのか?」をご覧ください)

統一場は、あらゆる物質とエネルギーの源であり、拡大し続ける宇宙全体は統一場から創造され続けています。

統一場は、無数の多様性を創造しているわけですから、そこには、計り知れない、莫大なエネルギーや無限の知性が貯蔵されていることがわかります。

統一場はまた、創造に直接関与することなく静寂のままに留まっています。ちょうど化学反応に関わることなく化学反応を促進する触媒のようにです。

この統一場が、実に心の落ち着いた状態、全く活動のない超越意識です。超越意識に触れることは、宇宙創造の源に触れることであり、それによって心は活力に満たされ、創造的になることができます。こうした考えから言えることは、人間の潜在力は、まさに宇宙的であるのです。

超越するというテクニックを使うことで、それを体験すれば、小さな個別の意識が普遍的な意識によって支えられるようになります。支えられるとはつまり、統一場に蓄積された無限のエネルギー、無限の幸福、無限の知性が私たちの人生のなかで生き生きとするようになる、ということです。これが生命の根である超越が広範囲な恩恵を生み出す秘密です。

個別の意識は海の波のようであり、どの波も同じ海の一部分であるという例えは、本質的に、私たちは他の人たちと繋がっているということを意味しています。
私たちがそのような結びつきを体験するときの感情が愛に他なりません。愛とは、私たちが他の人たちと繋がっていると感じる感情と言えます。

しかし、心の潜在力のごく一部しか活用していないと、この愛の体験は限られたものになります。現代心理学で「顕在意識」と呼ばれている部分は、海の波の一番上の部分にあたります。そして、その根底にある潜在意識の最も深い部分では、波と海は一つであり、そのレベルで私たちはすべて繋がっています。

カール・ユングはそれを「集合的無意識」と呼びました。全てのものが、そのレベルにあるのですが、私たちはそれを意識的に体験することができませんでした。

どうして私たちは、心の潜在力のほんの一部分しか活用していないのでしょうか? 
なぜなら、それをもっと活用できるようにする教育を受けていないからです。

では、どうして私たちは自分の心の深いレベルを体験できないのでしょうか?それは、私たちの心と脳を訓練してそれを体験できるようにする教育が欠けていたからです。

私たちの注意が外側の何か特定の点に向けられているときには、波のいちばん上の部分だけが活性化しています。私たちがいつも外側だけに注意を向けて生活していると、心の表面レベルだけが発達して、他の全ての潜在力は隠れたままなのです。

では、TMを行うときには何が起きるのでしょうか? 

心は自然に想念の微かなレベルを体験し始めます。想念が微かになるということは、それを体験している心の活動がより微かになる、ということです。

それは高まっていた波が静まっていくようなものです。そして、最終的に、私たちは想念の最も微かな状態を超越して、純粋な「私自身」の状態に達します。波は完全に静まって海と一体となり、私たちは意識の海そのものになります。波という枠がない、自分自身の限りない真の自分を体験するのです。

それから心は再び活動的になり、波だっていきますが、私たちの真の自分の性質が心のなかにいくらか残ります。このような体験を規則的に繰り返すことで、心の全潜在力を扱えるようになっていくのです。

この例えを通して、どうして努力の要らない自然な方法で超越の体験が得られるのかがわかります。
もし、瞑想中に努力をすると、心は活動し続けることになり、高まった波が静まることがありません。努力しないときに始めて、波は自然に静まっていき、ついには海と一体になるのです。TMが完全に自然で努力が要らないのは、それがその効果を生み出すための本質であるからです。

瞑想する度に超越の質がますます強く残るようになり、日々の行動のなかにますます現れてきます。その結果、人生のあらゆる領域が改善されていきます。
これが通常のリラクセーションと本当の超越との違いです。

TMテクニックに関する全ての研究は、実際に、私たち自身に備わる力がどのようなものかを明らかにしていると言えるでしょう。

1. 体の自己治癒力がいかに優れているか。
2. 私たちの真の本質はどんなものか。

統一すること──生命に内在する創造性、知性、自己意識

生命の根であり、意識の場である海の性質は、さまざまな仕方で説明できますが、しかし、究極的には統一という性質に行き着きます。

物理学が示している宇宙の最新像は、それは私たちが思い描く物質的ものではなく、量子力学的な波動であると言われています。すべての形は、実際のところさまざな波が形を取って現れているように見えているだけなのです。

そして、その波動は、究極的には、統一場というたった一つの場の振動であることが示唆されています。統一場は、波のない静かな海の状態であり、海が振動することで、さまざまな波を生み出しているのに似ています。
(詳しくは、「統一は、科学的な現実なのか?」を参照してください)

統一場が振動することで、それがエネルギーや物質となり、宇宙全体の構造が構築されています。統一場は、あたかも芸術作品を創る彫刻家のように、それ自身に内在する無限の知性、無限の創造性、無限のエネルギーを使って脈動する宇宙を創造しているのです。

人間はそうした創造物のなかの小さな存在なのですが、人間の神経系には特筆すべき素晴らしい能力が秘められています。それは、こうした無限の創造性の源を、自身の意識として体験することができる能力です。

超越するというテクニックを通して、個別の意識は真の自己に触れることで、宇宙創造に見られる知性、創造性、エネルギーを人生で活用することができるのです。

TMを実践する人たちは、ますます生き生きとして健康になり、真の自分に気づくようになります(「超越すること──自分自身になる」参照)。
そして、ますます知的で創造的になります。

統一すること──調和、平和、幸福

さて、どんな性質にも、それに対立する価値があります。温かいと冷たい、明るいと暗い、好きと嫌い、肯定と否定、良いと悪いなどです。
しかし、超越のレベルでは、こうした対立する価値は消えてなくなり、ただ一つの性質だけが残ります。それは統一するという性質です。

統一とは、相反するものを調和させる能力です。自然界には多種多様な生命がありますが、これらすべてが一つに調和してうまく共存しているのも、生命の本質には統一するという性質があるからです。

この統一という性質が、私たちの生命のなかで生き生きとする時、人生のどのような対立も消えてなくなっていきます。世界中の人々の心がこの統一に満たされれば、紛争やテロも自然になくなり、平和だけが残ることになります。

TMを行う人たちが最初に体験するのは、内面のより深い平和と幸福の状態です(科学的測定によって、TM中、脳内に幸福ホルモンであるセロトニンが増加することが確認されています)。

TMを長く続けると、この内面の平和と幸福の状態が、私たちの人格にも現れ、瞑想後にもそれが続くようになります。

「暗闇と戦ってはいけません。ただ、明かりをつけてください」──マハリシ

統一の性質が高まると、どのような否定性も消えていきます。心と体のレベルに蓄積されていた緊張やストレスが消え、否定的な考えも、うつも、恐怖も消えていきます。

それは、明かりをつけると暗闇が消えていくようなものです。これまでの人生は、暗闇という問題と格闘してきたと言えるでしょう。しかし、いったん明かりを灯せば、すべての問題を解決することができます。それは、とてもシンプルなことです。

統一すること──愛

統一するという性質は、他の誰かと繋がっているという感覚をもたらします。それが愛です。
普段の生活では、愛は、夫婦や家族、友人など限られた人にしか感じられません。しかし、心の源では、みんなが一つに繋がっているのです。私たちは時々こうした体験をします。

例えば、世界のどこかで自然災害が起きたときには、義援金を送ったりします。一度も会ったことのない、まったく知らない人に対しても、どこかで繋がっている気がして、助けてあげたいと思います。なぜなら、私たちは実際に繋がっているからです。

TMを規則的に行っている人たちは、こうした感情が増していき、人間関係においても、ますます愛情深くなります。他の人にもっと優しく接するようになり、自然との繋がりも強く感じるようになります。

統一すること──直感

私たちは普通、自分の身近に起こっていることしか気づいていません。私たちが知っていることは、五感で知覚したり、考えたり、理解したりするものに限られています。
しかし、心の源では、あらゆるものが結びついているため、あらゆるものについての情報をそこから得ることができるはずです。

例えば、直感がそうです。多くの情報を集めて準備万端で行動していても、あるときは、直感で行動した方がより正確で、より早く目的を達成することができます。

芸術家やアスリートには、こうした直感の優れた人たちがいますが、それは表面的な知覚のレベルのみに依存するのではなく、心のより深いレベルにある生命の息吹きを捉えているのです。

TMを行っている人たちは、この直感力が強くなってくるのを体験しています。正しいときに正しい考えが自然に浮かんでくるようになります。それは、あたかも宇宙的なコンピューターが、必要な情報を瞬時に計算して、すべての生命にとって最も効果的な影響をもたらすような考えです。

このような正しい考えが自発的に浮かんでくるという良い例は、アメリカの「啓発の時代のマハリシ・スクール」の生徒たちが示しています。

マハリシ・スクールはアイオワ州の小さな学校ですが、小学校から高校まで全ての子供たちが超越瞑想を行っています。この学校の生徒たちは、「デスティネーション・イマジネーション」と呼ばれる創造的問題解決の競技会(毎年、世界中の最も創造的な子供たち10万人が参加する競技会)で、すでに4度も世界チャンピオンの座を獲得しました。世界中の学校のなかで、世界チャンピオンの座を2度以上獲得した学校はマハリシ・スクール以外にありません。

その理由は、マハリシ・スクールの子供たちは、正しいときに正しい創造的な解決策を見つけだすことができるからです。こうした並外れた実績を知って、イギリス、ブラジル、インドなどの政府が学校教育にTMを取り入れ始めています。

統一すること──幸運:自然からの支援

ものごとを肯定的に考えたり、肯定的な結果をイメージするように勧める本がよくあります。その理論によると、何か肯定的なことに注意を向けると、環境も肯定的になり、私たちを支えてくれるようになると言うものです。

しかし、それはあまり実用的とは言えません。なぜなら、心の表面レベルでいくら考えても、心の全潜在力を活用した優れた効果を得ることができないからです。

これまで見てきたように、私たちの心には、宇宙を構築するだけの無限の組織力が備わっています。この心の全潜在力のレベルから考えることができれば、その考えは宇宙的な組織力に支えられ、すぐさま実現することが可能でしょう。

そのような体験は、自然からの支援と呼ばれます。自然からの支援とは、例えば、電話をかけたいと思っていた人から電話がかかってきたり、電車を乗り過ごしたと思っていたところに、旧知の友人と久しぶりに会うことができた、といった幸運に恵まれることです。

それは私たちの願いを実現するように、自然の無限の組織力が働きだしている、という印です。

超越するという価値が日常の考えや行動のレベルで生き生きとするようになると、あたかも幸運に恵まれるようになります。TMを行っている人たちが、私生活でも仕事上でも、ますます成功を収めるようになるのは、このような理由によります。

統一すること──総合的な脳機能

ここまで統一するという性質が人生に現れてくる、ということを見てきました。こうした概念は、まだ瞑想を学んでいないうちは、ちょっと抽象的で毎日の実際的な生活からかけ離れているように聞こえるかも知れません。
しかし、現代の技術を使って脳波の同調を測定することで、脳の各部分が互いに結びついて一つの統一された全体として機能し始める様子を見ることができます。
(詳しくは、「脳に対するTMの効果」を参照してください)

脳波の同調は、ADHD・衝動的行動・神経症・不安定な感情などの減少、倫理的な行動(より大きな愛)・知性・創造性などの増大と関連しています。また、学習能力の向上・より速い反射能力・学業成績の向上などとも関連しています。

脳が一つの統一された全体として機能し始めるときには、人生のあらゆる領域が改善します。そして、これまでの調査によると、超越することがこのような統一された機能を創り出すための最も強力な方法なのです。

脳波の同調は、ADHD・衝動的行動・神経症・不安定な感情などの減少、倫理的な行動(より大きな愛)・知性・創造性などの増大と関連しています。

また、学習能力の向上・より速い反射能力・学業成績の向上などとも関連しています。脳が一つの統一された全体として機能し始めるときには、人生のあらゆる領域が改善します。

そして、これまでの調査によると、超越することがこのような統一された機能を創り出すための最も強力な方法なのです。

統一すること──無敵性

超越することは、全ての生命の源に触れることですから、人生の全ての領域に同時に影響を及ぼします。

このことは、TMに関する700以上の研究と350以上の出版物によって確認することができます。しかし、これら全ての改善は、私たちの意識の内側で成長する全く新しい状態の副産物に過ぎません。超越瞑想の創始者、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーはこの新しい状態を「無敵性」と呼んでいます。

無敵性は、生命のなかに統一が生き生きとした状態です。統一が私たちの意識のなかに生き生きとすると、私たちの内面の平和や幸福は、より確固としたものになり、何者もそれを乱すことができなくなります。

状況がどのようなものであっても自分自身を失うことなく、統一の性質を発揮して、どんな問題でも解決策を見つけ出します。私たちは何ものによっても失われない普遍的な愛を生きます。

こうした無敵性は、誰もが生まれながらに持っている能力です。そして、これこそが生命を生きる価値です。
私たちはただ自分自身の源に戻っていき、それに触れることで、真の生命の価値、無敵性を楽しむことができます。

「自分自身の全潜在力を活用しなければ、人は生命の目的を成就することができません。
さまざまなことで悩むのは、自分の内側に所有している大きなエネルギーを十分に活用していないからです。生まれつきもっている豊かな絶対的至福、内側にある創造性や力の絶対領域を体験して、それを自分の人生のなかで現すことをしていないからです。
このような人は、ちょうど自分に財産と地位があることを忘れてしまって、通りで物ごいをして歩いている億万長者のようなものです。
すべての苦しみは、自分自身の内側にある神聖な栄光を外に表現する方法を知らないために生じているのです。」──マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー

5. 超越すること──完全な脳の開発のために欠かせないもの

最新の科学技術によって、脳を完全に開発するためには超越の体験が欠かせないことが確認されました

脳は、筋肉のように訓練すれば強くなり、使わなければ弱くなります。……とはいえ、脳をたくさん使ったとしても、脳のすべての潜在力が活用できるようになるわけではありません。なぜなら、日常のどんな体験も、その体験に関係した脳の特定の部分しか活用されないからです。

例えば、私たちが何かを見ることによって、視覚皮質のニューロンに様々な繋がりが形成され、一連のネットワークが強化されます。
しかし、私たちの体験が限られている場合には(例えば、部屋の中だけを見て、外を見ていなければ)、脳の一部が使われるだけで、他の部分ではニューロンの繋がりは形成されず、それらのニューロンは機能しなくなってしまいます。こうした部分的な体験は、脳の特定の部分を活性化するだけで、脳全体を活性化することはないのです。

それに対して、超越は部分的な体験ではなく、全体的な体験です。多くの個人体験によれば、超越を体験しているときには、意識には枠がありません。
こうした限定されていない、枠のない状態を体験したときに初めて、脳は部分的ではなく全体的に機能し始めます。日常の経験では得られない、枠のない意識の体験が脳の全潜在力を目覚めさせるのです。

この体験はちょうど、波がなくなった静かな海の状態に似ています。海の波が静かになる時、波は海と一つになります。波という枠がなくなり、枠のない海全体になります。
(詳しくは、「超越すること—人間の最高の体験」を参照してください)

Human physiology, 25: 171–180, 1999

このような超越の体験は、脳のより広い範囲に影響を与え、脳の潜在的予備能力を目覚めさせます。そのことは感覚誘発電位と呼ばれる計測方法を用いて、TM中の脳機能を測定した研究によって確かめられました。

しかし、今では脳で起こっていることを測定できるもっと興味深い方法があります。それはコンピューターで脳波の同調を測定する方法です。

脳のある部分が活動しているとき、その部分に電気的な活動が起こりますが、それは脳波計によって測定することができます。脳波計を用いると、そうした脳の電気的な活動は、時間とともに変化する波として表されます。

そうした脳の異なる部位の脳波をコンピューターで処理することで、各部位の脳波の同調率を計算することができます。もし、異なる部位の脳波が同調していれば、それは脳の異なる部位が互いに結びついて全体的に機能していることを意味します。

通常、脳が活動しているときには、同調度は30〜40%ぐらいで、あまり高くありません。しかし、超越しているときには、脳波の同調率が90%にまで高まることが、次の動画の中で示されています。

このように、超越の体験は、脳全体に影響を及ぼして、脳が一つのより統合された全体として機能できるようにします。

規則的に瞑想することで、脳が刺激されてもっと完全に発達します

高度な脳波の同調を経験すればするほど、脳はその状態に慣れていきます。その結果、次の調査が示しているように、TM(超越瞑想)を行っていないときにも脳波の同調が増していくのです。

Human physiology, 25: 171–180, 1999

このグラフは、50人の生徒の脳波の変化を12カ月間にわたって調べたものです。2カ月間TMを行っている生徒たちのTM中の脳波の同調は、12カ月間TMを行っている生徒たちの脳波の同調と差がないことがわかります。

このことから超越の体験(脳波の同調)は、練習して得られるものではなく、瞑想を始めて間もない人であっても自然に体験できる、ということがわかります。しかし、活動している最中の脳波の同調には差が見られます。長く瞑想している人たちには、活動中にも脳波の同調が見られるのです。

このように超越を繰り返し体験することで、脳の潜在力をより活用できるようになっていきます。

過去30年間にわたる脳波の同調の研究によって、脳が一つの全体としてより能率的に機能するようになると、脳の様々な能力が高まることが分かってきました。

知能指数や創造性が高まり、学習能力、集中力、感情の安定性が増していきます。衝動的な行動が減少し、他人に対してより倫理的な行動をとるようになります。非常に低い脳波の同調と関連付けられているADHD(注意力欠如多動性症候群)の症状も自動的に消えていきます。

要するに、脳波の同調の高まりは、統一の質が私たちの意識の中にどれほど増しているかを客観的に測定する一つの方法になるのです。
(創造性、知性、愛、平和といった質については、「超越すること—人間の最高の体験」をご覧ください)

このような脳波の同調は、超越して、統一を体験したときに起こります。そうした体験が、脳全体に影響を及ぼすのです。通常のリラクセーションでは、脳波の同調はそれほど起こりません。

超越瞑想が他の瞑想法よりも知性や創造性や学業成績を向上させる理由は、脳が一つの全体としてより能率的に機能するようになるからです。

結論

もし、私たちが新しいパソコンを買って、それが広告されているスピードの10%しか動かなければ、誰もがすぐにお店に戻って取り替えるか修理してもらうでしょう。
しかし、もしそのパソコンの本当のスピードを知らずに、他の人のパソコンも同じように遅いスピードで動いていれば、その10%のスピードが「正常」であると思ってしまいます。

歴史を見てみると、時代ごとに賢明な人たちが現れ、人間が本来もっている潜在力について説き明かしてきました。ときには、人間の真の可能性を具体的に示す賢人もいました。しかし、そうした人間の潜在力を開発する実際的なテクニックが失われていたために、人々はそれを生きることができませんでした。

マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーは、「超越瞑想は新しいものではなく、あらゆる文化の古い聖典の中に見いだされる」と述べています。マハリシは、ただ古くからあった実際的な方法を再発見して、それを系統立ったテクニックとして現代の人々に教えだけです。

このサイトでは、超越瞑想の様々な恩恵が紹介されています。
『健康の増進』、『自分自身を見失わなくなる』 、『人間関係の改善』、『知能の向上』、『仕事の業績の向上』などは全て、私たちの潜在力を開発することによって起こる副次的な効果に過ぎません。それだけでなく、人間の全潜在力を開発する過程において、安らぎ、平和、幸福、無限の愛といった超越意識の質が日々の生活の中で成長していきます。
(詳しくは、「超越すること—人間の最高の体験」をご覧ください)

こうしたより高い意識状態への成長を速めるために、超越瞑想の他にも様々な上級のテクニックが用意されています。これらのテクニックは、TMを学んだ後に学ぶことができます。

6. 超越すること──世界を変える最速の方法

超越するというシンプルな体験には、体の自然治癒力を活性化し、脳の潜在力を開発するなど、多くの目覚ましい効果が見られます。これらすべての効果は、超越の体験特有のものです。

そのなかでも最も目覚ましく、最も議論の的になるのが超越瞑想の社会的な効果です。議論の的になると言うのは、もし、これらのTMの効果が本当ならば、人間の意識について長い間信じられていた仮説を考え直さなくてはならなくなるからです。

結局のところ、これまでの研究が意味していることは、私たちは想念の源において互いに結びついており、その共通の源を通して互いに影響を及ぼし合っているということです。

世界で最も古い文献であるヴェーダの聖典には、少人数の人々が社会全体に調和を生み出すことができると記されています。少数の人々が自分の意識のなかで超越して統一を活性化し、それを「放射」するだけで、すべての否定性を中和できるというのです。

これまでは、僧侶たちが社会のなかでこの役割を担っていました。しかし、僧院においてさえも、超越するための体系的なテクニックが失われてしまいました。そのため、僧侶たちの祈りでさえ、昔ほど効果を生み出すことができなくなっています。

長い間超越するテクニックは失われてきましたが、それが今、再発見されたことで、古い文献に記されていた人間の成長に関する記述だけでなく、社会の発展に関する記述も確かめることができるようになりました。

それはどのようにして成されるのでしょうか?

海に飛び込むと、水の表面が活性化する

超越するのは、海に飛び込むのに似ています。水に飛び込むと、表面に大きな波が起こります。私たちは水の表面を活性化します。それと同じように、心がその源へと戻っていき、純粋な意識を体験するときには、意識の性質が活性化されます。

その性質とは、「人間の最高の体験」のページで説明したように、統一、純粋な肯定性、互いに繋がっているという感覚です。超越瞑想中に測定されるすべての効果、特に 脳における効果は、こうした性質が活性化することによって生み出されます。

しかし、海に飛び込むときには、飛び込んだところに波ができるだけではありません。その波は海全体に広がっていきます。

私たちが超越するときには、統一の性質が私たちの意識の内側だけでなく、周りの人たちの内側にも活性化します。その効果は私たち自身の内側に起こる効果ほど強くないかもしれませんが、しかし、そこには測定できる効果が確かにあるのです。

こうした効果に基づいて、1960年代にマハリシは大胆な予測を行いました。それは、ある都市または国家のわずか1%の人たちが規則的に超越することで、その社会のなかに測定できる効果が現れるという予測です。

それは電球のようです。小さな電球が部屋全体を明るく照らせるのはなぜでしょうか?それは、その小さな電球が電磁場を通して部屋全体と繋がっているからです。

電球はただ電磁場を活性化して、光の波を生み出します。こうした光の波が電磁場全体に広がって、部屋全体を明るくするのです。電磁波は、いつもそこに存在しています。しかし、電球のスイッチを入れて電磁場を活性化しなければ、部屋は暗いままです。

電球が灯されていなければ部屋は暗いままです。
それと同じように、もしその環境に肯定性が活性化されていなければ、心は肯定的にはなりません。

私たちの社会のなかでも、同じことがいえます。考えや感情といった私たちの主観的な世界の源には、ある一つの場が存在しています。

現代物理学は、その場を統一場と呼んでいます。この場は常に存在していますが、私たちは「電球のスイッチ」を入れる方法を忘れてしまいました。

つまり、超越することによって、この場を活性化する方法を忘れてしまったのです。そのために、私たちの社会は暗くなってしまいました。人々が自分の統一された本質を忘れてしまったために、犯罪、不正行為、事故など多くの否定的な行動が社会の表面に現れています。

しかし、一つの都市全体を明るくするために、至る所に電球をつける必要はありません。ところどころに電球をつけるだけで十分です。それと同じように、全員が超越しなくても、社会の1%の人たちが超越するだけで、すべての場所に超越の質を活性化することができます。

私たちの心のなかに「電球」を灯すのは、超越して意識を活性化することです。意識の光が灯るとき、私たちはより人間らしくなります。意識の光が消えているときには、人は自分の利益のために他人を傷つけたとしても、自分が悪いとは考えません。

しかし、意識の光が灯されると、自分が悪かったと思うようになります。犯罪を犯そうという考えがやって来なくなります。これは犯罪をなくすための非常に効果的な方法です。

都市人口の1%の人たちがTMを行うことで、社会全体に肯定的な傾向が現れるというマハリシの予測は、TMが人々の間に広く知られるようになった1970年代に実証されました。

当時は、アメリカだけでも一年間に50万人の人がTMを習っていたので、人口の1%以上の人がTMをしている都市が数多く誕生しました。そこで、科学者たちはFBIに犯罪に関する統計を求めて、TM実践者が1%に達した12の都市(1%都市)と、それと同等な人口、地形、犯罪統計をもつ、12の都市の犯罪件数を比較しました。

その結果、人口の1%の人がTMを学んでいる都市の犯罪件数は前年よりも平均8.8%減少しましたが、そうでない12の都市の犯罪件数は平均7.7%増加しました。1%都市とそうでない都市とを比較すると、相対的には16.5%の減少となります。これは統計的に有意な変化であり、そうした変化は偶然には起こりえないことが確認されています(p<.001) (p<.001)。

また、科学者たちはこの変化の理由を探しましたが、TM実践者の数の増加以外には理由は見つかりませんでした。こうした結果は、その後も数件の調査によって確認されています。

さらに、1978年にマハリシは、TMテクニックを習った人たちが学べる、より上級の瞑想のテクニックを古いヴェーダの文献の中から復活させました。これらのテクニックは「TMシディプログラム」と呼ばれ、体と脳に特別な効果があることが分かっています。

TMを行っているときには、体の休息が深まるほど脳波の同調が高まることが観測されています。
体が深く休息して、脈拍が遅くなるときには、脳全体が同調して働き始めます。ところが、TMシディプログラムを行うときには、体がホップして活動的になり、それに伴って心拍数も増加するのですが、それにも関わらず、脳波の同調がTM中よりもさらに高まるのです(グラフのなかの「リフト」を見てください)。その結果、超越の状態と活動が統合され、すべてのTMの効果が強められます。

また、TMシディプログラムは、私たちの社会にいっそう大きな影響を及ぼすことが分かりました。その影響は指数関数的に大きくなります。

物理学の法則によると、波の力はその振幅の2乗に比例して大きくなります。例えば、3人の人が湖の周りに立っていて、順番に池に飛び込むとします。すると、3つの波が生じて湖に広がっていき、やがて消えます。しかし、もし3人が手を取り合って同時に湖に飛び込めば、そのときに生じる波は一つの大きな波になります。その波の高さは3倍になり、しかも、その波が伝わっていく範囲は3の2乗の9倍になるのです。

TMシディプログラムの場合にも、これと同じ現象が観測されています。

ある都市で、人口の1%の人たちがそれぞれの家でTMテクニックを行うとしましょう。これは、湖に何人かの人が交代で飛び込んで波を作るのに似ています。1%の人たちがTMを行えば、その都市全体に効果を生み出すことができます。

しかし、もし彼らが1カ所に集まってTMシディプログラムを行えば、これはみんなが手を取り合って一斉に湖に飛び込むのに似ています。そのときには、1%ではなく、ルート1%というより少ない数で都市全体に影響が行き渡るのです。

このことから、たいへん特別な仮説が立てられました。それは、少人数のグループであっても、人々が一緒にTMシディプログラムを行えば、その周りの何百万人もの人々の考えや行動に肯定的な影響を及ぼすことができるという仮説です。

この仮説の利点は、それが比較的容易に検査できることにあります。例えば、次のような実験をしてみれば、この仮説が正しいかどうか検証することができます。

1.科学者たちが、犯罪率の高い地域や戦争が起こっている地域など社会的なストレスが強い一つの地域を選ぶ。その地域では状況が悪くなっているので、誰も状況がすぐに改善するとは予想していない。

2.その地域にTMシディプログラムの実践者たちがやってくれば、すぐに状況がよくなる(戦争が終わる、犯罪が減少する、株式市場が改善する……)という予測を科学者たちが社会に発表する。科学者たちは、この実験が始まる日と終わる日を正確に設定する。
また、科学者たちは、TMシディプログラムの実践者たちがその地域を去った後には、すぐにまた状況が悪化することを予告する。科学者たちはその変化を測定する方法を前もって公表する。

3.TMシディプログラムの実践者が設定された実験開始日に集まる。彼らはホテルのなかに留まっていて、外側の世界とはできるだけ接触しないようにする。そして、設定された実験終了日にその地域から出て行く。

4.科学者たちは実際に効果があったかどうか調査する。政府の統計や権威ある新聞に掲載された記事など、科学者たちから完全に独立した情報源からデータを集めて、それらを分析する。

50回以上の実験によって科学的に証明される

このような実験が1回や2回ではなく、50回以上も世界中で繰り返し行われてきました。そして毎回、その予測が的中しただけでなく、その地域の状況が劇的に改善しました。犯罪率や自動車事故率が減少したり、株式の取引が増大しました(それは投資家の楽観性の増大を示します)。

例えば、1981年から1983年にかけて、レバノンで7つの実験が連続して行われました。それは、レバノンで絶えず内戦が起こっていた時期にあたります。

毎回、実験を始める前に、実験の期間中は紛争が静まると予告しました。そして、7回のどの実験でも、戦争の犠牲者の数が80%近く減少したことをデータは示しました。そのような大きな変化が7回も連続して偶然に起こる確率は、10,000,000,000,000,000,000回に1回以下の確率でした。

別の実験では、このテクニックの費用対効果がいかに大きいかを示しています。1988年3月に、イギリスのマージーサイド州のスケルマーズデイルという町で、少人数の瞑想者のグループがテレビ局に次のような予測を行いました。
「これから150人のグループがTMシディプログラムを行います。その結果、100万人の人たちが住むマージーサイド州の犯罪が大幅に減少するでしょう」

しかし、この予測をまともに受け止めた人はほとんどいませんでした。なぜなら、それまでも多くの費用をかけて対策がなされてきましたが、犯罪は依然として増え続けていたからです。この予測がなされたときには、マージーサイドはイギリスで3番目に犯罪率が高い州でした。

従来よりも99%少ない予算で犯罪が60%減少! これは奇跡か?

しかし、実験が始まるとすぐに、それまで増え続けていた犯罪が減り始めました。そして5年後の1993年には、マージーサイドはイギリスで最も犯罪の少ない州になりました。

犯罪率は以前と比べると40%の減少、イギリス全体の平均的傾向と比較すると60%以上の減少でした。わずか150人のTMシディプログラムの実践者たちのグループが、5年間にわたって225,000件の犯罪を防止し、州政府は全部で12億ポンド(約2000億円)の節約ができたのです。

計算によると、TMシディプログラムの実践者たちのおかげで、州政府は1時間あたり60万円の犯罪対策コスト(人的損害のコストは含まない)を節約できたことになります。

TMシディプログラムの実践者たちは全員がボランティアでしたが、彼らの行った仕事に対して報酬(例えば気前よく1時間あたり3000円)を支払ったとしても、この方法は現在行われている方法よりもコストが99.5%も少なくて済みます。しかも、より大きな効果が期待できるのです。

犯罪の減少は、マージサイドに起こった多くの肯定的変化の一つにすぎません。その他にも、自動車事故が減少し、経済が改善し、公害が減少しました。

これまでに、社会科学の分野の権威ある研究雑誌に、このような調査が20件以上発表されてきました。研究雑誌の評判はそこに掲載される論文の内容によって決まりますから、権威ある研究雑誌には最高水準の論文しか掲載されません。これらの論文については、「TMシディプログラムに関する研究論文」をご覧ください。

1980年代にTMシディプログラムの効果が科学的に実証されたので、マハリシは彼の世界的な運動にもう一つの目標を掲げました。それは、あらゆる国にできるだけ早く十分な数のTMシディプログラムの実践者のグループを作って、その国に肯定的な影響を生み出すことと、それに加えて、世界人口のルート1%のグループを作って全世界に影響を及ぼすことです。

この目標の実現のために必要な費用は、TM運動の資金や支援者からの寄付で賄われています。ですから、超越瞑想の受講料を払う人は、全世界に肯定性を生み出すというこの目標のために直接的に貢献していることになります。

現在、TM運動の組織はインドの中心に9,000人のヴェーダの専門家たちのグループを作ろうとしています。一つの大きな町を作るために、すでに800エーカーの土地が購入されています。

現在、そこには2,500人のヴェーダの専門家たちが生活し、毎日肯定的な影響を生み出す活動に従事しています。彼らの生活費もまた、TM運動の資金や支援者からの寄付金によって賄われています。全世界のための大きなグループをインドに作ることにしたのは、インドの生活費が西洋よりもずっと安いからです。(平均1カ月25,000円)

それぞれの国にTMシディプログラムの実践者のグループを作る方法はいろいろあります。
例えば、学校の子供たちが1日の授業の最初と最後にTMを行うという方法や、会社で従業員たちが仕事の一貫としてTMシディプログラムを行うという方法があります。また犯罪を予防するために警察官たちのグループを作るというプロジェクトでもいいしょう。刑務所で受刑者の社会復帰のためにTMシディプログラムを活用するという方法もあります。

個人のレベルだけでなく社会のレベルにも、効果を生み出すことになります

これらの方法は、過去40年間にわたってすでに行われてきました。そして、TMシディプログラムの実践者を養成するために必要なコストは、TMシディプログラムの実践者たちが自分の生活のなかに生み出す肯定的な効果によって、すぐに元がとれるということが分かっています。

例えば、学校では、生徒たちの学習能力が高まり、学校全体のストレスが軽減するので、結果として、いじめや依存症やうつが減少し、教師たちの欠勤も大幅に少なくなります。
会社では、従業員たちが就業時間の一部を瞑想の時間にあてることで、以前よりも生産性が向上します。
刑務所では、TMはこれまで調査されたどの方法よりも効果的な社会復帰プログラムであるといえます。

このように、このテクニックは個人のレベルで効果があるだけでなく、社会のレベルにも好ましい影響を生み出すのです。

このような理由から、デヴィッド・リンチ財団は、各国で最低でも一つの学校にTMを導入しようというプロジェクトを支援しています。なぜなら、一つの学校の生徒や教師たちが全員でTMシディプログラムを行えば、それだけでその国全体に肯定的な効果を生み出すことができるからです。

例えば、日本では1,200人のTMシディプログラムの実践者がいれば、国家全体に肯定的な効果を生み出すことができます(1,200人というのは、日本の人口1億2千万人の1%の平方根です)。このように、一つの国に一つの学校だけでも十分なのです。

・「マハリシ効果」と呼ばれるTMの社会的な効果に関する研究については、次の項目を参照してください。

・TMシディプログラムの社会的影響に関する研究については、「TMシディプログラムに関する研究論文」をご覧ください。

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