超越瞑想を通じて超能力が得られる──マントラと20分あれば、誰でも手軽に実践できます。

ヴォーグの編集者、コーリー・シーモアさんは、これまでさまざまな瞑想法を試してきました。そんな彼女が超越瞑想を学び、初めて実践したときの体験を、ヴォーグに寄稿しています。以下はその記事の抄訳です。

ここで時間を節約しましょう。この時代に、瞑想が心身に良いことをわざわざ説明する必要があるでしょうか? 微細なものから巨大なものまで、四六時中、私たちの注意を引こうとする無数の誘惑や雑念が存在する世界で、静かに座って心を落ち着ける習慣が役立つのは明らかです。

私の瞑想遍歴:ろうそくの炎からマインドフルネスアプリまで

皆さんも試したことがありますか? 私はもちろん試しました。いや、試すだけではなく、100万日かけて、100万通りの方法で瞑想してきました。高校時代、ふとした衝動で寝室に座り、ろうそくの炎をただ見つめる瞑想をしたこともあります。大学では禅や仏教、東洋哲学を学びながら、さまざまな瞑想法を試しました。最近では禅堂を訪れ、サウンドバスに浸り、歩行瞑想やマインドフルネスアプリも試しました。

どれも素晴らしい体験に思えました。中には、実践したという自己満足だけでなく、少しの間おぼろげですがある種の頭の冴えを感じました。しかし、それらはどれも必要とは感じられず、習慣にも、日常の一部にもなりませんでした。

なぜTMにたどり着いたのか? 求めていた『劇的な変化』

ジムに通うことから宇宙と一体になることまで、どんなセルフケアを実践しようとしても、それを妨げる理由は同じです。禅堂は遠すぎるし、サウンドバスは楽しいけれど奇妙で、アプリは簡単すぎて物足りない。片道1時間かけて禅堂へ通い、見知らぬ人たちに囲まれて沈黙と苦痛に耐え、心と魂を空っぽにして、おぼろげな頭の冴えを得ようと努力する人がいるでしょうか? いいえ、私はもっと劇的で、時間、空間、次元を自在に操れるような変化が欲しいのです!

そうして、たどり着いたのが超越瞑想(英語名を略してTM)です。何年も前から噂には聞いていました。友人の友人たちが曖昧ながらも絶賛し、私が追いかけていた音楽家やアーティスト、映画監督たちもその効果を信奉していました。しかし、それは一体何なのか? 何が「超越的」なのか? どうすれば体験できるのか? なぜ私はまだ実践していないのか? 私が唯一理解していたのは、専門的で高価そうな個人指導を受け、秘密のマントラを授かる必要がある、ということでした。

TMの世界へ:ボブ・ロス氏との出会い

そんなときに出会ったのがボブ・ロス氏です。彼はディヴィッド・リンチ財団のCEOであり、ベストセラー『静寂に秘められた強さ:超越瞑想のパワー』の著者でもあります。私はマンハッタンのイーストサイド、国連近くの古風なイタリアンレストランで彼と会いました。(映画監督ディヴィッド・リンチは50年近くTMを実践しており、2005年にロス氏と共に財団を設立しました。)オプラ・ウィンフリー、ケイティ・ペリー、レナ・ダナム、アリアナ・ハフィントン、ヒュー・ジャックマンなど、TMが人生を変えたと公言するセレブのほとんどが、ボブから指導を受けています。

ボブは、いかにもTM界の典型的な教師です。60年代後半にバークレー大学に通い、1学期休学してマハリシ・マヘーシュ・ヨーギー(超越瞑想の創始者)に学び、その後の人生をTMの普及に捧げてきました。

「TMを教えた有名人は50人くらいかな」とボブは言いながら、野菜とパスタを注文します(「驚くかもしれないけど、私はベジタリアンなんです」と笑っていました)。「でも、それ以上に、何千人もの一般の人々、世界中の恵まれない子供たちや受刑者、企業グループに教えてきました。」

セレブも実践! TMが広がる理由

オプラ・ウィンフリーに「瞑想のボブ」と呼ばれる彼は、ダライ・ラマのような温かさと自信に満ちた雰囲気を醸し出していますが、ビルケンシュトックのサンダルではなく、オーダーメイドのグレーの細身のスーツを着ています(「この後、国連で会議があるんだ」と、少し照れ笑いしながら言いました)。彼の大きな目標は、有名人や業界の大物にTMを広めることではありません。彼らの影響力でTMが広まったのは事実ですが、ボブが目指しているのは、TMを一般社会に浸透させること。裕福なウェルネス志向の人々だけでなく、ヘルスケア産業の中にもTMを広めたいと考えています。

半世紀前には、ヒッピーや求道者、変わり者たちによる精神世界への探求と見なされていたTMは、今では世界中で1,000万人が実践するムーブメントとなっています。1968年にビートルズがマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーのもとでTMを学ぶためにインドを訪れたのも有名です。

科学的根拠:TMが心と体に与える影響

TMは、数百の査読付き科学論文や十数件の大規模臨床試験で、その効果が証明されています。例えば、ストレスや不安の軽減、睡眠の改善、高血圧の抑制、心臓発作や脳卒中リスクの低下、さらには脳の神経可塑性や細胞再生の促進などの効果が、研究によって明らかにされています。

「あと数年で、TMは医療システムに組み込まれ、民間保険と公的保険の両方でカバーされるようになるでしょう。そして、瞑想を導入する学校や、瞑想室を備える企業が当たり前になっていくと思います。」

(実際、その少し前にマンハッタンのディヴィッド・リンチ財団のオフィスにボブを迎えに行った際、彼はボストンのマサチューセッツ総合病院の院長や、PTSDに苦しむ退役軍人にTMを保険適用で提供している退役軍人団体のリーダーとZoomミーティングをしていました。)

ボブが解消したいと思っている誤解のひとつは、「TMは高額すぎる」という点です。確かに、年収が25万ドル以上の場合、TMのトレーニング費用は980ドルかかります。しかし、それ以下の年収なら段階的に料金が設定されており、費用を払えない場合はディヴィッド・リンチ財団を通じて奨学金を受けることも可能です。

人生の多くのことと同じように、大切なのは「考えること」でも「本を読むこと」でも「計画すること」でも「支払うこと」でもなく、実際にやってみることです。

ボブは私がその日からTMを学べるよう、ディヴィッド・リンチ財団の経験豊富な教師であり、10歳からTMを実践し、ハウスミュージックのDJとしても活動するケリー・マロイを紹介してくれました。TMのトレーニングは4日間連続で行われ、1日1時間のコースです。私は財団の小さな部屋で、ケリーと向かい合って座りました。

毎日40分の瞑想:時間を作る意義

その後の手順は驚くほどシンプルです。私はケリーと会い、自分のことや達成したいことについて少し話しました(時間や空間、次元を操りたいという願望は省略しました)。そして、ケリーは私にマントラを授け、20分間静かに瞑想しました。

TMは本当にそんなに簡単なのか? 確かに簡単です。でも、そう単純でもありません。ダイアナ・ブリーランドの有名な言葉にあるように、「目が旅をする」のと同じように、心もさまよいます。一瞬、自分のマントラに集中し、静かに深呼吸しながら周りの世界が遠のく感覚を楽しんでいるかと思えば、次の瞬間には11歳の娘がハマっているポップソングのサビを口ずさみ、その次には仕事や家庭、子育てなど、やるべきことが頭の中で延々と巡るのです。

「気にしないで」とケリーは言いました。それが人生であり、それがTMの初期段階なのです。(「TMは実践しやすく、柔軟なものです」とボブは数日後、私の進捗状況を確認するために電話をかけてきて言いました。「考えを追い払ったり、心がさまようのを抑えたりしません。」)

その後は、毎日、朝食前に20分、そして午後または夕食前に20分、座るだけです。

「毎日40分の瞑想が必要だ」と聞いた瞬間、現実に引き戻されるような衝撃を受け、「そんなことできるわけがない!」という否定の声が頭の中に響き渡りました。

ボブはこの疑問に答えるために多くの時間を費やしてきたので、準備は万端です。「こう考えてみましょう」と彼は落ち着いた口調で言います。

「1日は1,440分あります。そのうち、たった40分です。スマホで無駄にスクロールする時間を考えてみてください。最終的にはあなた次第ですが、私たちは時間の使い方を見直す必要があると思います。20年前ならTMのようなものは贅沢だったかもしれませんが、今はますますストレスが多い時代です。そうしたストレスが、何もしないで自然に解消されるような奇跡は起きません。ストレスが脳や心血管系、神経系に与える影響の研究を見れば、瞑想の時間を作ることが重要だとわかるでしょう。他の選択肢では根本的な解決にはならないのです。」

TMがもたらした変化:心の静けさと新たな気付き

世界がますます理解しがたいものになっていく中で、この考え方はより説得力を増しているように思えました。そして、夜型人間だった私が一夜にして夜明け前に起き出し、子供たちが目を覚まして家庭が大混乱になる前に、静かに20分間瞑想するようになったのです。その後、ディヴィッド・リンチ財団に急いで向かい、残り3回のセッションでケリーと会い、瞑想を共にしながら、時間や場所を確保する方法や、雑念への対処法について話し合いました。

そして、肝心な質問です。TMは私の人生を変えたのでしょうか?

確かに変わりました。ただし、想像していた形とは違います。新しい超能力が手に入ったわけでもなく、一夜にして冷静で集中力があり、動じず、楽に人生を選択できるエネルギッシュな人間に変身したわけでもありません。

正直に言うと、TMの効果がはっきりと現れるには3ヵ月ほど必要だとボブに言われましたが、私はまだ数週間しか実践していません。それでもボブは、TMに失敗という概念はないと強調しました。「良い瞑想」や「悪い瞑想」は存在しない。集中できる日もあれば、そうでない日もあり、両方が入り混じる日もある。それでも、この瞑想のプロセスは、信じるかどうかに関わらず機能するのです。(例えばある研究によると、瞑想中はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が通常より30~40%低下します。睡眠中はわずか10%しか低下しません。)

しかし、どの道を通って家に帰るか、時間を有効に使うにはどうしたらよいかなど、人が毎日下す無数の小さな決断の中で、落ち着いて迷いなく判断できる――そんな言葉では言い表しがたい微妙な変化が、すでに起きています。

睡眠の質も良くなりました。そして、TMの実践による具体的な効果があるかどうかは別として、1日2回、たった20分間、自分だけのために静かに座る時間を確保すること――超高速で動く世界の中で心が静まるその時間の価値は、まさに天国のようです。

また、TMを学び、実践し始めた頃を振り返ると、その時期、私は肺炎を患っていました(後になって分かったことですが……)。さらに、大切な幼なじみの複雑な自殺や兄のがんの診断に向き合い、娘が新しい中学校に適応するのをサポートしていました。また、麻薬ギャングが支配する暴力的な南米の港湾都市で緊迫した24時間を過ごしたかと思えば、その後、ガラパゴス諸島を巡る探検ヨットのプライベートキャビンで数日間の至福の時を過ごすこともありました。これほど大きなストレスにさらされる中で、TMなしに自分の心や感情の安定を保つことは、難しかったかもしれません。

では、TMの「超越する」という体験はどのようなものなのでしょうか? それは確かに実感できるものです。簡単に言うと、瞑想には主に3つのタイプがあります。例えば、高校時代に試したキャンドルを見つめるような「集中瞑想」では、1秒あたり20~60回振動するガンマ波が発生します。呼吸などを観察する「マインドフルネス瞑想」や「オープンモニタリング瞑想」では、1秒あたり5~7回振動するシータ波が発生します。一方、TMでは、深い休息や落ち着き、クリアで集中した意識に関連する、1秒あたり8~10回振動するアルファ1波が生まれます。

TM中のクリアで集中した意識は、スポーツをしているときに突然ゾーンに入ったり、いわゆる「フロー状態」を体験するのに似ています。私のTM経験では、そこから出てきた直後に、至福で無念無想の状態があったことに気付きます。

毎回その状態になれるのか、というと、そうではありません。それでも1日2回、20分ずつ続けています。それを超能力と呼ばずして、いったい何を超能力と呼ぶのでしょうか?

ソース:Transcendental Meditation Is a Superpower—And It’s as Easy as Two Syllables (and 20 Minutes)

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