内側にある大きな幸福へ──効果のある超越瞑想はまったく努力がいらない

超越瞑想のことを初めて聞いたのは16歳のときですが、私はその話を聞いて魅力を感じました。「超越」とは、深くて、日常を超えたもののように思えました。そのころ私は禅について勉強し、それを実践しようとしていました。

瞑想の本はどんな種類のものでも片端から読んでいました。それからまもなく私は、地元の大学のキャンパスで開かれたTM説明会に出席しました。その説明会を担当していたのは、身だしなみの整った、フレッド・アステアに似た青年でした。

そのTMの教師は、自分が話していることについて、ただ知的なレベルで知っているだけでなく、経験に基づいて理解しているように見えました。私は彼の自信に満ちた態度と明瞭な説明に感銘を受けました。

彼は言いました。「超越するとは、思考を超えて、内側深くにある想念の源、すなわち創造性と知性の宝庫を体験することです。

この古代のテクニックは、インドにおいてさえも、長いあいだ社会から忘れ去られていたのですが、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーがそれを世界に紹介し、その本来の効果を復活させました。さらにマハリシは、TMを教える教師を養成するためにそのテクニックを体系化したので、TMは世界中の言語で教えられています。それによって、世界のどこに住んでいる人々でも、そのテクニックからまったく同じ、完全に有益な結果が得られるようになったのです。」

その教師は、「サイエンティフィック・アメリカン」の最新号に掲載されていた、TM瞑想の研究結果を紹介しました。彼は、その記事を誇らしげに掲げて、生理に及ぼすTMの実際的な効果が科学的に検証されるようになったと話しました。

その研究は、TM瞑想が「安らぎに満ちた鋭敏さ」という心の活性化された状態を生み出すことや、その心の状態は目覚め、夢、眠りとは異なる「四番目の意識状態」であることを示していました。

超越瞑想による安らぎの機敏さの増大

【安らぎの機敏さ】この図は、超越瞑想の実践中に脳波の同調(前頭皮質のスローアルファ波)が増大していることを示しています。これは、通常、誰もが経験している意識状態(目覚め、夢、眠り)とは異なる独特の意識状態を現しています。つまり、体はリラックスしていながらも意識は、機敏に目覚めた状態、超越意識の状態です。

参考文献
1. Science 167 (1970): 1751-1754.
2. Scientific American 226 (1972): 84-90.
3. American Journal of Physiology 221 (1971): 795-799.
4. Electroencephalography and Clinical Neurophysiology 35 (1973): 143-151.

超越の体験を説明するときに彼が使った「枠のない状態」という言葉は、16歳の私の心をすっかりとりこにしました。

この「枠のない状態」というのは、その教師の放っている自由でゆったりした質と関係があるのだろうと私は思いました。

そのあと、さらに驚くべきことを聞きました。「皆さんがこれまでやってきたどんな方法よりも、TMは簡単にできます」と言って、この瞑想が簡単であり、単純であることを強調しました。このテクニックの効果が非常に高いのは、努力がいらないからである、と彼は言うのです。
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他の瞑想法との違い

私がそれまで試してきたのは、厳しい集中を必要とする方法や、なにも考えずにただ座ることが求められる方法でした。それらの瞑想法が目指すのは、「無為」の状態に到達したり、「存在とは何か」に気づくことでした。また、黙想にふけるタイプの瞑想法もありました。高尚なテーマについて沈思黙想したり、崇高なものを心に描いたりするのです。これらの方法はすべて、瞑想中に行うべきことがあり、何かしら努力が必要でした。ところが、そのとき教師が話したのは「効果のある瞑想法は、まったく努力がいらない」ということでした。

そのことを彼は次のように説明しました。「TM瞑想は集中法や黙想法とも違うし、自分の想念を見つめたり、心を呼吸に集中させる方法とも違います。むしろ、それは心の活動を超越し、心の枠を越えて、『純粋な存在』を体験するためのテクニックです。そのプロセスは簡単で、自然です。なぜなら、それは、より大きな幸福の場を探し求めるという心の自然な傾向に基づいているからです。

あなたが雑誌を読んでいて、その記事に興味がなくなると、ページをめくって別の記事を探すでしょう。学校の授業が退屈になったとき、遠くからお気に入りの曲が聞こえてきたら、自然にその音楽に注意が向くでしょう。心はあてもなくさまよっているのではなく、常にもっと多くの知識、満足、楽しさを探し求めているのです。TMのテクニックは、この心の自然な傾向を利用しています。TMは心をコントロールするのではなく、心を満足させるものです。

心の自然な傾向が、あなたを内側のより大きな幸福の領域へと導きます。そしてついには最も内側にある真の『自己』にたどり着き、最高の幸福を得ます。」
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内側に潜る

TMを初めて行ったとき、私は、落ち着いた、広大な空間に自分自身が潜っていくのを感じました。その空間の中では、自分は守られている、満たされているという感覚がありました。教師が言ったように、そのプロセスは努力なく起こりました。私の意識は別世界に開かれました。それは私の内側に常に存在していたのに、なぜか隠されていた世界です。それはかつてない体験でしたが、とても親しみのある体験でした。

私の呼吸はゆっくりになり、ほとんど停止していました。平和な静寂の瞬間があり、そのとき私は何も考えていませんでした。私は明るく照らされ、内側で目覚め、とても大きな存在感があり、かつてないほど意識がはっきりしているのを感じました。それは、長い、長いあいだ離れていた家に帰ってきたような感覚でした。私は「枠のない状態」を垣間見たのです。

目を開けたとき、私の周囲のすべてが、より新鮮になり、より生き生きとし、色鮮やかに見えました。まるで世界が洗い清められたかのような感じでした。そしてそれがまさに始まりだったのです。

原文:Tom McKinley Ball

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