投資家の短期的な心理から離れ、冷静な目でマーケットを見るために瞑想は有効

「証券と資産運用という厳しい業界で生き延びられたのも、瞑想との出会いが非常に大きかった」と投資教育家である岡本和久氏(I-Oウェルス・アドバイザーズ株式会社代表取締役社長)は、週刊新潮の記事のなかで語った。岡本氏は「瞑想でつかむ投資の成功法(CD書籍)」の著者でもある。以下は、週刊新潮の記事からの引用。

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私は、1991年から瞑想をするようになりました。

バブル華やかなりしころ、私は証券界者でアナリスト兼ストラテジストとして仕事をしていました。92年には外資系投資顧問会社を設立し、社長に就任しましたが、ストレスは決して少なくなかった。そんな中で心の静けさをいかに保っていくかは大事なことだと思って、神道系の瞑想教室に通うようになったのです。

断食をしたり、滝行をしたり、修験道修行の旅に出かけたりしていましたが、その瞑想法は、この世よりもあの世、物質世界よりも精神世界、体よりも心、仕事よりも修行に重きを置く考え方で、私の心のなかに少しずつ疑問が生じてきました。

やっぱり生きているんだから、心も大事だけど、体も大事です。修行も大切だけど、仕事も大切ではないか。そんなことを考えているときに、私は超越瞑想に出会ったのです。

インド出身のマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーという方が創始者で、彼が古来インドに伝わる瞑想法を現代に復活させたのです。この瞑想法は意識を扱うテクニックで、いっさい宗教色はありません。

マハリシは、心と体をともに健康にして、200%の人生を送ることこそ、この世に生まれた価値であると言っています。共感するものがあり、96年から超越瞑想を学ぶようになりました。

超越瞑想は形にはこだわらない。床で足を組んでやってもいいし、椅子に座って行っても構いません。リラックスしたポーズで目を閉じ、先生から与えられたマントラ(音)を心の中で思います。

基本は、朝夕20分、それだけで心が十分な休息をとれます。瞑想は自宅で行うことが多いのですが、オフィスでやることもあります。瞑想の静かな時間を持つことによって、心の中の凝りや疲れがとれるのです。

投資顧問会社の創業から5年ぐらいは、バブル崩壊とも重なり、非常に苦しい状態でしたが、2005年に年金運用の分野でトップになりました。迷いなくそれができたのも瞑想のおかげだと思っています。

一昨年の9月に胃がんを宣告された時も、自分でも驚くほど冷静に、悪いところさえ処置すれば良いのだと対処できました。

株式市場は人間の心を即座に映す鏡のようなものです。海の表面は荒波です。しかし、海底深くなるほど力強い潮流が流れています。相場も同様。潮流に乗るのが投資で成功する秘訣です。

投資家の短期的な心理の動きによる影響から距離を置き、冷静な目でマーケットを見るためにも瞑想は有効です。今まで証券と資産運用という厳しい業界で何とか生き延びてこられたのも、瞑想との出会いが非常に大きかったと思います。──岡本和久(投資教育家)

週刊新潮4月10日号