アメリカのクレジットカード業界のニュースサイトに、瞑想によって衝動買いを減らすことができるという記事が掲載された。以下は「CardRates.com」に掲載された記事の抄訳である。
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日々の生活の中でストレスを感じている人は、衝動買いをしてしまう傾向がある。ちょっと贅沢をして、気になっていたブランドものの革靴や宝石を買うことは、予算的にはきつくても確かに気分はよいものだ。今まで頑張ってきた自分にご褒美を与えることは悪いことではない。
しかし、衝動買いが習慣化したらどうだろう。一時的な気晴らしでは、ストレスの根本原因を取り除くことはできないし、最終的にはクレジットカードの請求書がやってきて、新たなストレスを生み出すことになってしまう。
ストレスが金銭的な判断に及ぼす影響
ストレスは過食や依存症、衝動買いなど、さまざまな衝動的な行動の主な要因であることが、これまでの研究で確かめられてきた。ストレスを感じると思考能力が低下し、論理的によく考えて物事を判断できなくなってしまうからだ。
最近の調査では、米国の消費者の40%が自分は衝動買いをすると答えている。この数字は、人々のストレスや不安がかつてないほど高まっていることを示しているだろう。もし、こうしたストレスや不安を減らすことができれば、不必要な衝動買いを抑えることができるわけだが、そのためには何をしたらいいのか?
ストレスは瞑想で解決する
最近、心身のストレスを解消する方法として瞑想が話題になっている。瞑想法には様々な種類があるが、その中で、50年間にわたりその効果が科学的に計測され、公立学校や医療機関で取り入れられてきた瞑想法がある。それが超越瞑想(略してTM)だ。この瞑想法を行うと、より前向きな心の状態を生み出し、うつ病、依存症、さらには心的外傷後ストレス障害(PTSD)さえも軽減することが多くの人の体験や研究調査によって確認されている。
「ツイン・ピークス」や「マルホランド・ドライブ」などの作品で知られる、映画監督のデヴィッド・リンチ氏は、1973年にTMの効果を知り、それ以来1日2回続けてきた。そして2005年にデヴィッド・リンチ財団を設立して、スラム街の学校の子供たちや家庭内暴力の犠牲者といった危機的状況にある人々に無償でTMを提供し、その結果、目覚しい成果をあげている。超越瞑想を学んだ生徒は、不登校が減り、学習能力が高まり、過去のトラウマを克服しているのだ。
デヴィッド・リンチ財団のマリオ・オルサッティ氏は、次のように話している。
「超越瞑想は、心を落ち着かせるためのテクニックです。ストレスは私たちの中に蓄積されていくものですが、TMは効果的にストレスを解消し、ストレスの悪影響に対する心の抵抗力を高めるのです。」
実際、ウォール街という最もストレスの多い場所で、TMは優れたストレス解消法として地盤を築いてきた。世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の創業者でありCEOであるレイ・ダリオ氏は、50年以上にわたってTMを実践している。世界で最も成功している資産運用の専門家が、ストレスの多い従業員に対してTMが有効だと感じているなら、一般の人々にも効果があるに違いない。
どのようにストレスを解消するのか?
TMは、1960年代にマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーによってアメリカで広まった瞑想法である。彼はビートルズをはじめとする数多くの著名人やミュージシャンにこのテクニックを教えてきた。2008年にマハリシが亡くなるまで、世界中の600万人もの人々がTMを学んだといわれている。
TMは深い休息によってストレスを解消するとマリオ氏は説明する。
「心は常に色々なことを考えていますが、それはちょうど海のようなものです。海の表面は絶えず動いていて、時には荒々しく波立っています。しかし、それは表面上のことであって、もっと深くへと潜っていくと、波は静まっていき、深い静寂が広がっています。それがTM中に起こることです。TMは心を静めることで、睡眠の2倍以上の深い休息を体に与えます。こうした体験は、50年以上にわたって科学的研究の対象となってきました。」
TMの実践は1日2回、1回20分間ずつ行う。こうした短い時間で体は深い休息をとり、ストレスを解消することができるとマリオ氏は話していた。
「TMを学ぶには、認定されたインストラクターから個人的に指導を受ける必要があります。しかし、一度覚えてしまえば、後は努力なく行うことができます。TMを行っている人のほとんどが、長年にわたって、1日2回瞑想を続けています。その理由は、実践が簡単で、しかも多くの素晴らしい効果が得られるからです。」
ストレスを解消することで脳の働きが良くなれば、人生の様々な領域でよい変化が起こるだろう。無遣いが減って、家計が安定するだけでなく、心身ともに健康でいられるとしたら、それは何よりもの財産だ。こうした効果を考慮して、実際にこのツールを活用するかどうかは、私たち次第である。
ソース:CardRates.com
巻頭写真:Andrea Piacquadio from Pexels