ストレスの父──セリエ博士が超越瞑想について語る

現代医療にストレスという概念をもたらしたハンス・セリエ博士は、ストレスに関する研究や、ストレスが健康におよぼす影響に関する第一人者となった。

1970年代中頃、あるインタビューの中で、セリエ博士が超越瞑想について語ったことがある。彼がストレスに対処する方法として超越瞑想に興味をもち始めたのは、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーとの会議を行っていたからだ。

以下は、作家のロバート・オーツ氏が、セリエ博士にインタビューを行った記事からの抜粋である。

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超越瞑想の効果──ストレスが示す体の特徴と正反対

セリエ博士:幸運にも私は、ある国際シンポジウムで、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーと一日中お話する機会を得ました。それ以来、超越瞑想がストレスに及ぼす生理的および心理的影響を詳しく調べることは、非常に価値あることだと感じています。

すでに行われた研究が示していることは、生理に見られる超越瞑想の効果は、医学が明らかにしたストレスの要求に合わせて体が懸命に働いていることを示す特徴とは正反対であるということです。

──それは、どういう意味ですか? 瞑想によって得られた結果が、体がストレスを受けたときに示す兆候と正反対であるということですか?

セリエ博士:そうです。そのことは、新陳代謝、呼吸、皮膚抵抗、血液の乳酸塩、脳波、心臓血管系に関する研究によって示されています。同様に、体の混乱に対する超越瞑想の治療効果は、ストレスに関連した病気として知られる症状──特に、精神病、心臓血管、胃腸、過敏症の病気にはっきりと現れます。日々の生活でストレスを受けたとき、体が適切に反応しないことから生じる病気に、一番効果が現れやすいということです。

──マハリシは、もし人が瞑想し続けるなら、体のシステムは徐々に、累積的に、ストレスを解消し、最終的には、完全にストレスから解放された人生を生きることができると断言しています。あなたも、人間の神経系の可能性として、それが可能であると思われますか?

セリエ博士:そうですね。ストレスという言葉は、異なる意味合いで使われています。このインタビューは医学に関わっていない人々に向けられたものではありますが、私たちは、ストレスという言葉の定義を、科学的に正しく維持すべきです。そして、もし私たちが、ストレスの医学的な定義を使用するなら、それは、超越瞑想や他のすべてのストレス解消のテクニックで用いているストレスの定義とは異なっています。

ストレスの医学的な定義とは、あらゆる要求に対する反応です。あなたが眠っているときでさえも、麻酔をかけられているときでさえも、あなたは、いくらかストレスを受けています。なぜなら、あなたは、あなたの体のある部分を使っているからです。あなたの心臓のポンプや呼吸は動き続けています。

──つまり、ストレスという言葉の定義に違いがあるということですね。マハリシがストレスという言葉を使うとき、彼は明らかに、何か否定的なものを意味しています。しかし、医学的な定義では、肯定でも否定でもないものを意味しているのですね。

セリエ博士:そうです。私がその概念を生み出したとき、私はこの違いについて考えませんでした。私はそれをストレスと呼びましたが、しばしば混乱がありました。一般の人達は、ストレスとディストレスを同じ意味合いで使っていますが、それらは同じではありません。痛みのストレス、悲しみのストレス、緊張感のストレス、苦しみのストレス、それは悪いストレス、ディストレスです。

しかし、創造のストレス、あるいは快活な形で物事に取り組むことで達成を可能にするストレスを、私たちは取り除きたいとは思いません。ですから、よいストレス(ユーストレス)があり、悪いストレス(ディストレス)がありますが、どんな要求に対する反応もストレスです。常にストレスはありますので、唯一すべきことは、そのストレスがあなた自身にとって有益であり、他の人にとっても有益であるかを確かめることです。

中枢神経系をリラックスさせる

──それでは、これらの用語を用いて、超越瞑想の有用性をどのように定義できますか?

セリエ博士:私は、超越瞑想を、人間の中枢神経系をリラックスさせる方法だと考えています。それによって、中枢神経系は、ストレスと共に生きることができ、ストレスによって苦しむことなく、本来の適切な機能を維持できるようになります。超越瞑想は、あらゆる活動のために、神経系を整える働きをするのです。結局のところ、神経系が、よいストレスあるいは悪いストレスの主要な源であり、満足あるいは不満足の主要な源となっています。ですから、もし超越瞑想によって神経系に影響を与えて、神経系が本当にリラックスして、最善の状態で、どんなストレスの要求にも柔軟に反応できるようになるなら、それは一つの理想的な解決策になると思います。

原文・Mario Orsatti

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