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脳全体を開発するために欠かせないもの
超越瞑想は脳を鍛えます。
脳は、筋肉のように訓練すれば強くなり、使わなければ弱くなります。……とはいえ、脳をたくさん使ったとしても、脳のすべての潜在力が活用できるようになるわけではありません。なぜなら、日常のどんな体験も、その体験に関係した脳の特定の部分しか活用されないからです。
例えば、私たちが何かを見ることによって、視覚皮質のニューロンに様々な繋がりが形成され、一連のネットワークが強化されます。
しかし、私たちの体験が限られている場合には(例えば、部屋の中だけを見て、外を見ていなければ)、脳の一部が使われるだけで、他の部分ではニューロンの繋がりは形成されず、それらのニューロンは機能しなくなってしまいます。こうした部分的な体験は、脳の特定の部分を活性化するだけで、脳全体を活性化することはないのです。
それに対して、超越は部分的な体験ではなく、全体的な体験です。多くの個人体験によれば、超越を体験しているときには、意識には枠がありません。
こうした限定されていない、枠のない状態を体験したときに初めて、脳は部分的ではなく全体的に機能し始めます。日常の経験では得られない、枠のない意識の体験が脳の全潜在力を目覚めさせるのです。
この体験はちょうど、波がなくなった静かな海の状態に似ています。海の波が静かになる時、波は海と一つになります。波という枠がなくなり、枠のない海全体になります。
(詳しくは、「超越すること—人間の最高の体験」を参照してください)
このような超越の体験は、脳のより広い範囲に影響を与え、脳の潜在的予備能力を目覚めさせます。そのことは感覚誘発電位と呼ばれる計測方法を用いて、TM中の脳機能を測定した研究によって確かめられました。
しかし、今では脳で起こっていることを測定できるもっと興味深い方法があります。それはコンピューターで脳波の同調を測定する方法です。
脳のある部分が活動しているとき、その部分に電気的な活動が起こりますが、それは脳波計によって測定することができます。脳波計を用いると、そうした脳の電気的な活動は、時間とともに変化する波として表されます。
そうした脳の異なる部位の脳波をコンピューターで処理することで、各部位の脳波の同調率を計算することができます。もし、異なる部位の脳波が同調していれば、それは脳の異なる部位が互いに結びついて全体的に機能していることを意味します。
通常、脳が活動しているときには、同調度は30〜40%ぐらいで、あまり高くありません。しかし、超越しているときには、脳波の同調率が90%にまで高まることが、次の動画の中で示されています。
このように、超越の体験は、脳全体に影響を及ぼして、脳が一つのより統合された全体として機能できるようにします。
体験者の声
「問題の焦点が見えてきた」
「緊迫した状況でも集中力が維持される」
若いときから集中力はある方でしたので、休みなしにぶっ通しで仕事をしているという状態が多く、またそのような状態が好きでした。何か問題が起こっても、精神力でやり抜いていました。
それがTMを始めてからは随分変わりました。何か問題があっても、割と冷静でいられるのです。無理をしなくても、集中力が維持されています。
特に効果を発揮するのが手術のときです。私の病院は脳神経外科が専門なので、脳血管症や交通事故などの、一刻を争う患者が昼夜を問わず運び込まれてきます。そのまま数時間に及ぶ手術に入ることも少なくありません。
そのようなとき、私は手術室に入る前に必ずTMをすることにしています。手術の準備で、看護婦たちが忙しく動き回っているようなところでもTMをします。すると、どんなに興奮しているときでも、即座に冷静さを取り戻すことができます。これほど簡単な方法で、これほど深い心身のリラクセーションを得ることができるというのは、本当に貴重なことだと思います。(脳神経外科医院長・男性)
「集中力と記憶力が高まった」
TMを始めて3~4カ月たったころ、「あれ?」と思いました。夕食後、子供がテレビを見ているそばで、平気で仕事の資料を読んでいました。それまではテレビの音が気になって、新聞も本も読めなかったのにです。
電車の中でも気軽な読み物しか読めなかったのに、難解な資料なども集中して読めるようになりました。しかも5分や10分のちょっとした空き時間に読んで、また次の待ち合わせの間に5分読んでも、それがちゃんとつながって楽に頭に入るんです。
次にまた、「あれ?」と思ったのは、記憶力がよくなったこと。これは半年以上たってからのことです。とくに人の名前や数字。何かの話題に出たときに「あのお祭りは○万○千人の人出だった」とか、「この俳優は○○の役で出ていた」とか、新聞やテレビで見ていたことが、独りでに口をついて出てくるんです。これはいまでも不思議な感覚です。(TM歴2年・主婦)
科学的研究:脳機能と超越瞑想
規則的に瞑想することで、脳が刺激されてもっと完全に発達します
高度な脳波の同調を経験することで、脳はその状態に慣れていきます。その結果、次の調査によって示されるように、TM(超越瞑想)を行っていないときにも脳波の同調が増加するのです。
このグラフは、50人の生徒の脳波の変化を12カ月間にわたって調査したものです。2カ月間TMを行っている生徒たちのTM中の脳波の同調は、12カ月間TMを行っている生徒たちの脳波の同調とほぼ同じであることがわかります。
このことから、超越の体験(脳波の同調)は、練習して得られるものではなく、瞑想を始めて間もない人でも自然に体験できることがわかります。ただし、活動している最中の脳波の同調には差が見られます。長く瞑想を続けている人たちには、活動中でも脳波の同調が見られるということです。
このように超越を繰り返し体験することで、脳の潜在力をより活用できるようになっていきます。
過去30年間にわたる脳波の同調の研究によって、脳が一つの全体としてより能率的に機能するようになると、脳の様々な能力が高まることが分かってきました。
知能指数や創造性が高まり、学習能力、集中力、感情の安定性が増していきます。衝動的な行動が減少し、他人に対してより倫理的な行動をとるようになります。非常に低い脳波の同調と関連付けられているADHD(注意力欠如多動性症候群)の症状も自動的に消えていきます。
要するに、脳波の同調の高まりは、統一の質が私たちの意識の中にどれほど増しているかを客観的に測定する一つの方法になるのです。
(創造性、知性、愛、平和といった質については、「超越すること—人間の最高の体験」をご覧ください)
このような脳波の同調は、超越して、統一を体験したときに起こります。そうした体験が、脳全体に影響を及ぼすのです。通常のリラクセーションでは、脳波の同調はそれほど起こりません。
超越瞑想が他の瞑想法よりも知性や創造性や学業成績を向上させる理由は、脳が一つの全体としてより能率的に機能するようになるからです。
結論
もし、私たちがコンピュータの本来の能力を知らずに、10%の処理能力でしか使えていないとしたら、私たちは限られた人生を苦しみと諦めの中で生きることになるでしょう。
長い年月の中で、人間が持つ潜在力を称賛し説く賢者が存在しました。しかしそのような潜在力を開発するための実践的なテクニックが失われたため、人々はその潜在力を生かすことができなくなってしまいました。
マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーは、「超越瞑想は新しいものではなく、あらゆる文化の古い聖典の中に見いだされる」と述べています。マハリシは、ただ古くからあった実際的な方法を再発見して、それを系統立ったテクニックとして現代の人々に伝えているだけなのです。
超越瞑想には様々な恩恵がありますが、それらは単に私たちが持っている潜在能力を開発することで体験される副次的な効果に過ぎません。私たちは元々、安らぎや幸福、愛といった有益な質を持っているのです。こうした能力は、意識を成長させることでより楽しむことができるようになるのです。
新しい技術の開発を行っていたとき、ある重要な部分がどうしてもうまくいかず、研究全体が壁にぶち当たってしまいました。その頃にTMを始めたのですが、とたんに細かいところまで鮮明に頭に描けるようになったのです。
集中の度合いと、持続時間が伸びたように感じました。そうすると、その問題が見えてきたのです。そこに漂っていた雲が取り去られ、はっきりと問題の焦点が分かり、すぐに解決することができました。(エンジニア・45才・男性)