マハリシ・アーユルヴェーダとは?
アーユルヴェーダは、古代から続くインドの伝統医学です。その歴史は、数千年以上昔から続いています。アーユルヴェーダは、単に病気を治す医学ではなく、人間をより高い健康状態へと導く膨大な知識体系です。その内容は、日常生活で誰もが簡単に行なえるものから、難病を治療する高度な医療技術まで、非常に広範囲におよんでいます。
この完全な知識体系は、長い年月の経過とともに徐々に崩れていき、生命の部分的な知識のみを扱うものになっていきました。
しかし、1970~80年代になると、インドの聖人であり、教育者、哲学者であるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギの指導のもと、インドの高名なアーユルヴェーダ専門家が集まり、これを、生命や人生の全般を扱う知識として、再び完全な形で復活させました。この完全な知識がマハリシ・、アーユルヴェーダであり、さらに一般にアーユルヴェーダと区別するために、近年、マハリシ・ヴェーダ健康法とも呼ばれています。
マハリシ・アーユルヴェーダの全体像
マハリシ・アーユルヴェーダは、人間の健康に対して、さまざまな観点からアプローチする包括的なプログラムです。その分野や、個人の意識から宇宙的観点にまでおよんでいます。現在、マハリシ・アーユルヴェーダの各種プログラムは、医療機関で行なわれているものと、その他の機関で行なわれているものがあります。
これらのプログラムは、生命の最も基本的な潜在力を強化し、自然治癒力を高めていくものです。
マハリシ・アーユルヴェーダ
=マハリシ・ヴェーダ健康法
医療機関で実施されているプログラム
- マハリシ・アーユルヴェーダに基づいた診察
- マハリシ・ヴェーダ生理浄化法
- マハリシ・ヴェーダハーブ・プログラム
- マハリシ・ヴェーダ波動プログラム
医療機関以外で実施されているプログラム
- 超越瞑想(TM)
- TMシディ・プログラム
- レジデンスコース
- マハリシ・ジョーティシュ
- マハリシ・ヤギャ
- マハリシ・スターパティヤ・ヴェーダ
- マハリシ・ガンダルヴァ・ヴェーダ
生命を支える三つの力=ドーシャ
アーユルヴェーダでは、人間の体内には三つのバランスがあり、それが整うことで、より高い健康が実現できると説明しています。この三つのバランスをドーシャと呼びます。
授業をしていて気が付くのは、市井にアーユルヴェーダの知識が行き渡るにつれ、ドーシャを固定的とらえてしまう方が多くなってきているように思います。例えば、私(川井)の体質はカパ・ピッタですが、私の場合、乱れやすいドーシャはヴァータです。体質は人により異なりますし、季節や地域、時間帯により変化しますので、本を読んで、私は何々タイプだから、このようにしようと固定的に考えるのは、本来バランスをとる方向と逆の行動をしている場合がありますので、ぜひアーユル・ヴェーダ医師のアドバイスに従ってください。
プラクリティとビクリティ
生まれつきのドーシャのバランスをプラクリティといいますが、私たちは見るもの、聞くもの、食物、行動のパターン等、内部、外部の環境にさらされるため、本来の質からソレていく傾向があります。その本来の質から離れ、バランスの崩れた状態をビクリティと呼びます。
人間には本来、恒常性を保つ仕組みがあるのですが、それを最大限に機能するよう保つために、常日頃から環境に気を配ることはとても有益です。
ご存知のように、春はカパの質が優勢になります。
チャラカ・サンヒター:スートラスターン1.59.61によると、カパの質は重さ、冷たさ・涼しさ、柔らかさ、油っぽさ、甘さ、安定性・堅固さ、粘り気、粘着性等と記されています。
関西版ユートピア3月号表紙より
以下に関西版ユートピア巻頭にお送りいただいた、京都三菱病院心臓内科医、金田和久先生からご寄稿文を紹介させていただきます。
2月号で新型コロナウイルス感染症に対するアーユルヴェーダでの対応があることを書きましたが、今回はその内容をもう少し掘り下げて書かせていただきます。
皆様もお聞きになったことがあるかと思いますが、この感染症に対する決定的な抗ウイルス薬は現時点では存在しません。アーユルヴェーダでの感染症対策は基本的には自己の免疫力をアップさせることでウイルスに対抗することになります。TM瞑想でも免疫システムが強化されることが2014年に‘
International Journal of Yoga’ に報告されています。
インドではアーユルヴェーダ、ヨガ、ユナニ、シッダ、ホメオパシーの頭文字をとったAYUSH省というインドの厚生省内の伝統医療を管轄する部門がホームページにおいてCOVID19に対する伝統医療のガイドラインを公表しています。
https://www.ayush.gov.in/ayush-guidelines.html
英語になりますが、瞑想を含めた日々の生活習慣、ストレス対処法から免疫を強化するとされるアーユルヴェーダのハーブなどの紹介もされています。是非、皆様も一度目を通されてみてはいかがでしょうか?
COVID19の重症化のリスクとして肥満があることがわかってきていますが、アーユルヴェーダでは肥満症はカファ(水)の性質の過多によるものとされています。春になり、雪解け水が川には溢れてくるように、体内に充満するカファへの対応がこの季節には重要になります。アーユルヴェーダでは季節の過ごし方(リトゥチャルヤー)として春の過ごし方も記載されています。食事としては消化に重いもの、脂っこいもの、甘味のあるものは避け、昼寝を慎むこと、とされています。非常に興味深いことに、実はこれは上記のCOVID19に対するガイドラインの内容と一致するものなのです。新型コロナウイルス感染症に対する伝統医学の対応法がまとを得たものなのではないかと感じています。
まだ、もうしばらく、コロナ禍での生活が続きそうですが、アーユルヴェーダを取り入れた生活で免疫力をアップさせてこの危機を乗り越えていきましょう!
(今回紹介させていただいた情報は海外でのガイドラインになりますので、本邦では症状のあるかたは必ずお近くの医療機関にご相談ください)医師 金田和久