現場医師が体験した超越瞑想の広範囲な有効性【科学的研究】

パンデミックの現場で働く医師が超越瞑想を実践したところ、広範囲な有効性が科学的研究によって明らかになりました。「新たな解決策のシンポジウム:健康治療介入としての超越瞑想」より

2019年ワイルコーネル病院では、救急治療の医師を対象に超越瞑想の有効性を調べる予備研究を行いました。

スティール医師:救急医療科の医師13名が超越瞑想を学びました。その結果、感情的な疲労、個人的な業績、燃え尽きの尺度、トラウマの重症度、不眠症の改善がみられました。

生活が一変したという報告や、血圧の薬の使用が減り、家族から  新しい自分になった、良くなったと報告がありました。このプロジェクトは、参加者、救急医療課、社会によい影響を与えたと思います。

研究論文の概要:救急医療における超越瞑想

ワイルコーネル救急医療ウェルネスとデヴィッド・リンチ財団との提携で行われた研究
ピーター・A・D・スティール博士、MA、MBBS
救急医療科副科長ニューヨーク長老派教会医療センター/ワイルコーネル医学部

スティール医師:救急医療(EM)の臨床現場は、他に類を見ないほど厳しい状況にあります。救急医療の従事者は、しばしば不完全な情報をもとに、短時間で危険な容態にある患者の救命治療の決断と介入を行う必要があります。

救急医療の従事者は、日々の仕事の中で、死を目撃し、患者の人生を変えるような診断を伝え、痛み、恐怖、怒りという人間の最も弱い側面に直面しています。

彼らはしばしば真夜中にたたき起こされ、睡眠と目覚めのサイクルが乱れる中で、これらの役割をマルチタスクでこなしています。そのため、米国の救急医療従事者の44%が燃え尽き症候群と診断されているのも驚くべきことではありません。

このような環境では、通常とは異なる認知能力や感情的な能力が必要とされます。救急医療の従事者は、厳密な正確さ、確固とした決断力、周囲のトラウマに対する感情面の回復力が必要であり、それと同時に、感情を表し、心を開いて思いやることや、一人ひとりの患者さんへの共感も必要とされます。こうした対照的な能力を発揮するには、繊細な自己認識の能力と、善意を超えた神経回路が必要となります。

ワイルコーネル医療の救急医療部門(WCM EM)は、ニューヨークの中心部にあり、多様なコミュニティーに貢献しています。

2019年、プロバイダーウェルネス評価研究の一環として、ワイルコーネル救急医療科の医師13名に超越瞑想の指導を行い、3カ月間にわたって評価を行いました。予備研究の結果、感情的な疲労(Cohenのd=.52)、個人的な業績(d=1.03)、燃え尽き症候群の尺度、トラウマ症状の重症度(d=0.48)、不眠症(d=0.46)に対して、中程度から大きな効果があることが示されました。実験中、13名の医師達は瞑想を規則的に実践していました。

プロジェクトの質的要素では、血圧低下、心身の良好さ、家族の人間関係に対するさらなる効果が示唆されました。新型コロナ感染病の大流行により、緊急医療従事者は非常に困難な状況に直面しているため、参加者の多くはTMがもたらす持続的な効果を肯定的にとらえています。

2021年にブリガム&ウィメンズ病院とハーバード大学医学部は、医師に対するTM(超越瞑想)の有効性を調べました。

アジソディン心理学博士:この予備研究ではパンデミック中に医療従事者がTMを行った際の有効性、満足度、実用性を調べました。その結果、燃え尽き症候群、うつ病、不安症、ストレス、睡眠障害が改善しました。

2021年にデューク大学病院は、超越瞑想を学んだ医療従事者の燃え尽き症候群に関して調べました。

ジョシ医師:調査の結果、TMによって、燃え尽き、うつ病、不安症、睡眠が改善し、回復力(レジリエンス)と自己達成能力が高まりました。

2021年にマイアミの3つの病院でパンデミック中の医療従事者の健康と幸福の度合いを測定しました。

ネスタ医師:調査結果に感銘を受けました。医療従事者は危機的な状態にありますが、彼らは今、絶対的に必要とされています。

超越瞑想は心の活動を少なくし、非常に有効です。医療従事者のメンタルヘルスを改善し、燃え尽き、感情的な疲労、不安を軽減します。最終的に肯定的な変化として、幸福感が増します。2週間で肯定的な変化が起こり、3カ月間、向上し続けています。

研究論文の概要:新型コロナウイルス感染症のパンデミックにおける医療従事者のメンタルヘルスと心身の良好さの向上

超越瞑想法による燃え尽き症候群の軽減と心身の良好さの向上を調べる並行母集団研究

マーク・S・ネスター(医師、博士)
フロリダ州アベンチュラ、クリニカル・コスメティック研究センター
マイアミ大学ミラー医科大学(フロリダ州マイアミ市)

目的:医療従事者は、燃え尽き症候群、不眠症、不安感、うつ症状などストレス関連疾患の発生率が高く、特に新型コロナウイルス感染症の大流行によって、それらの症状が劇的に増えています。

本研究では、新型コロナウイルス感染症の大流行の真っ只中にあるフロリダ州マイアミの3つの病院で、超越瞑想プログラムを導入した恩恵を評価しました。

方法:2020年6月から、並行母集団研究デザインを用いて、3つのマイアミの病院に所属する65人の医療従事者に超越瞑想を指導し、対照群の65人の医療従事者(通常の生活を送った人:LAU)も募集しました。

不安感、うつ症状、燃え尽き症候群、不眠症、心身の良好さに関する有効な尺度である簡易症状目録(BSI)、不眠重症度指数(ISI)、マスラック燃え尽き目録(MBI)、ワーウィック・エジンバラ精神的幸福感尺度(WE)を用いて、対面または電話による遠隔システムにより、基準値、2週間後、1カ月後、3カ月後に研究の成果を評価しました。

結果:123名の被験者が1カ月後の検査まで参加し、116名が3カ月後の検査の最後まで参加しました(TM群60名と59名、対照群63名と57名)。

電話によるアンケートから、被験者は瞑想を規則的に実践していたことが示されました。TMのグループでは、どの時点でも、基準値からほぼすべての尺度で統計的に有意な改善がみられました。

2週間後および3カ月後に、以下のような否定的な症状が減少し、肯定的な数値が増加しました。

症状2週間後3カ月後p値
うつ症状48%52%p<0.002
不安感49%63%p<0.001
不眠症34%48%p<0.001
感情的疲労16%40%p<0.001
心身の良好さ12%17%p<0.001

対照群では基準値からの有意な変化は見られませんでした。また、研究の様々な時点で、TMのグループと対照群との間に統計的に有意な差が見られました。

結論:本研究の結果、超越瞑想プログラムは、医療従事者の燃え尽き症候群、不安感、うつ、不眠症の症状を迅速かつ劇的に減少させ、心身の良好さを向上させることが示されました。それに対して、通常通りの生活をしていた対照群には、有意な効果は見られませんでした。

エモリー大学サンフィリポ医師:超越瞑想は、簡単で、安全で、安価な治療法であり、回復力を大幅に高めます。

論文 :Symposium on Transcendental Meditation as a Clinical Health Intervention