Contents
TMによるうつ病の効果
超越すること──うつ病の改善
抗うつ剤はセロトニンを人為的に操作しますが、超越瞑想はセロトニンを自然に増やします
うつ病は世界中の何百万人の人生を惨めなものにしていますが、現代科学では、うつ病の原因や治療法はまだ十分に解明されていません。
うつ病の原因に関しては様々な見解がありますが、多くの研究者は、セロトニンという神経伝達物質の濃度のアンバランスが、その人の気分を憂鬱にし、うつ病を引き起こす可能性があると考えています。
セロトニンは実際には神経伝達物質ですが、しばしば『幸福ホルモン』と呼ばれています。
セロトニン濃度の減少には、以下のような要因が考えられます。
– 脳細胞によるセロトニンの産生量が少ない。
– セロトニンを受けとめる受容体の部位が不足している。
– セロトニンがその受容体の部位に到達できない。
– セロトニンの原材料となるトリプトファンが不足している。
これらの生化学的要因のいずれかが作用している場合、研究者は、それがうつ病を引き起こしているのではないかと考えます。
うつ病の症状が重くなると、脳はもはや正常に機能しなくなり、その結果、「幸福ホルモン」であるセロトニンの産生量が減少し、不幸な気分が増していくのです。
抗うつ剤治療では、セロトニン濃度を人為的に調整することで、うつ病の症状を和らげようとします。その方法では症状を緩和できるかもしれませんが、副作用を引き起こす可能性もあります。
それに対して、超越の体験は、体に備わる治癒力を目覚めさせることで、脳の正常な機能を徐々に取り戻していきます。
ある研究結果では、TMの実践中にセロトニンの産生量が増えることが確認されました。さらにTMの規則的な実践を続けていくと、1日を通じてセロトニンの産生量が増えるということが明らかになりました。
多くの患者が、超越瞑想の実践を続けることで、うつ病の症状が著しく改善したと報告しています。研究の結果、超越の体験は、遺伝性の臨床的うつ病さえも改善することが分かっています。
抗うつ剤には有害な副作用があり、超越には有益な副作用があります
有益な副作用
明かりを灯すと暗闇は消えてなくなります。すべての人の内側には永遠なる幸福の源があります。(詳しくは「超越すること──人間の最高の体験」をご覧ください)
セロトニンの増加は、私たちが自身の内側にある幸福の源にどのくらい触れているかを客観的に知るための一つの指標となります。
そしてまた、内側にある源に触れることで、このサイトで紹介しているように、『健康』、『脳の発達』、『自信』、『人間関係』、『成功』など他にも多くの面に改善が見られます。
そして私たちは、自分自身に対して良い感じをもつようになり、自分のことがもっと好きになります。自分を好きになることで、人生全体を改善するのための基盤が築かれるのです。
うつ病に対するTMの効果:科学的研究
TMの実習がうつ病にもたらす効果は、20件以上の研究によって検証されています。以下にそのうちの3件の研究を詳しく紹介しますが、その他の研究については、科学的調査をご覧ください。
1. 米国の国立衛生研究所による研究
米国の国立衛生研究所(NIH)は、世界で最も大きく最も有名な保健研究機関の一つです。NIHが科学的研究に対して高い質を要求することはよく知られています。
ここ数年、NIHは、超越瞑想がうつ病に与える影響を調査する2件の研究に資金援助を行ってきました。これらの研究は、心臓病に対するTMの影響を調査する大規模な研究の一部として行われています。
TMを3カ月実践した後に臨床的うつ病が48%緩和
ロサンゼルスのチャールズ・ドルー大学とコハラのハワイ大学で行われた2つの研究では、TMを学んだグループは、対照グループと比較して、うつ病の症状に有意な改善が見られました。この改善は、重度のうつ病を抱えている被験者に最も顕著に現れました。
臨床的うつ病と診断された被験者は、平均して抑うつ症状が48%緩和しました。最も顕著な改善は3カ月以内に起こりました。
2. 超越瞑想と心理療法との比較
米国デンバーのコロラド大学医療センターで行われた研究では、心的外傷後ストレスの治療を受けている患者を対象に、うつ病を含むいくつかの症状に関して、最新の心理療法と超越瞑想の効果を比較する調査が行われました。
TMは最新の心理療法よりも大きな効果が見られました
3カ月後、TMを学んだグループは、調査されたすべての症状で有意な改善を示しました。
–うつ病 p<.001*,
–心的外傷後ストレス障害 p<.001,
–不安症 p<.001,
–感情の麻痺 p<.005,
–アルコール依存症 p<.01,
–不眠症 p<.001, and
–家庭内トラウマ p<.01.
(*p値については、「p値とは?」をご覧ください)
それに対して、心理療法を受けたグループは、どの症状にも有意な改善は見られませんでした。ただし、重度のトラウマ性ストレスをもつ患者の治療に超越瞑想を用いる場合には、治療効果が期待できるのは、症状がそれほど重くないか、根深くない患者であるという前提で取り扱う方が無難でしょう。
3. 超越瞑想とストレス管理との比較
心理療法と同様に、ストレス管理も心の表層にしか作用しない傾向がありますが、しばしばうつ病の原因になっている緊張は、心のずっと深いところに根差しています。
そのためストレス管理は、超越の体験とは異なり、うつ病に対する効果は限られたものになりがちです。
ストレス管理は心の表層にしか作用しませんが、うつ病の原因は心のずっと深いところに根差しています
このことを検証するために、米国カリフォルニア州ウェストオークランド健康センターと米国政府が共同で研究を行いました。
この研究は米国政府の監視が厳重な機関で行われたものです。この機関で勤務する職員は高いストレスにさらされていることがよく知られています。職員は、TMを学ぶグループと、ストレス管理プログラムに参加するグループの2つに分けられました。
どちらのグループも、プログラムに対して同じ程度の期待を持ち、TM教師またはストレス管理コーチから同じ時間数の訓練を受けました。また、結果を測定した研究者は、どの職員がどちらのグループに属しているかを知らされていませんでした。
調査を開始した時点では偶然にも(無作為振り分けのため)TMグループの方が抑うつのレベルが高かったのですが、3カ月以内に劇的な改善を示し、一方、ストレス管理グループは統計的に有意な改善は見られませんでした。
3年後に再度測定が行われた時に、この違いは顕著に現れました。ストレス管理グループは統計的に有意な悪化を示しました(抑うつのレベルを測定した点数が高くなっていました)が、TMグループは、職務で多くのストレスにさらされていたにもかかわらず、改善が持続していました(p<.01)。
うつ病に関する他の研究については、科学的調査をご覧ください。
薬物療法と瞑想
うつ病の患者の中には、短期間に顕著な改善を示す人もいますが、多くの場合、その効果は徐々に現れてきます。そして、TMを規則的に実践していると、その効果は蓄積していきます。
ですので、うつ病の処方薬を服用している方は、薬物療法と瞑想をどちらも続けて、症状が軽減したり、なくなったことに気づいたときに、薬を徐々に減らしてもよいかどうか、かかりつけの医師に相談するようになさってください。医師に相談せずに薬物療法を中止することは望ましくありませんのでご注意ください。
医師が解説!超越瞑想が成人のうつ病を改善するとは?
ジェームズ・クラーグ(M.D.)は、米国精神医学会の会員、ヴァージニア精神科医会の会長であり、また、ヴァージニア地域精神科医協会の会長を4年間務めていました。現在は、精神疾患の若者を対象とした宿泊治療プログラム「リバティ・ポイント」の医療ディレクターをしています。
超越瞑想と青少年のうつ病
ウィリアム・スティクスラッド(Ph.D.)は、臨床心理学者で、学習障害、注意障害、社会情緒的障害を専門とするグループ診療所、ウィリアム・スティクスラッド&アソシエーツ(メリーランド州シルバースプリング)のディレクターです。また、ワシントンDCの全国児童医療センターで非常勤スタッフを務めています。
科学的研究:超越瞑想とうつ病
政府機関職員の抑うつの長期的減少
政府機関職員を対象とした長期にわたる測定の結果、超越瞑想を学んだ職員は、ストレス管理の教育プログラムに参加した対照の職員と比較して、3年後の測定でも継続的に抑うつの有意な減少を示しました。
警備が厳重な政府プロジェクトに従事する職員の抑うつの減少
警備が厳重な政府機関に勤務して高いストレスにさらされている職員のうち、超越瞑想を学んだ職員は、ストレス管理の教育プログラムに参加した対照グループの職員と比較して、抑うつの減少を示しました。
抑うつの減少
心的外傷後ストレス障害の患者のうち、超越瞑想を学んだ患者は、無作為に振り分けられて心理療法を受けた患者と比較して、4カ月後に抑うつの有意な減少を示しました。
ドイツ人学生の抑うつの減少
ドイツ人学生99人が、TMグループ、自律訓練法(AT)グループ、対照グループの3つのグループに振り分けられ、学生たちはTMの指導が行われる前およびそれ以後に検査を受けた。7~8週間後、TMグループは抑うつの有意な減少(p<.01)を示しましたが、それに対してATグループでは変化が見られず、対照グループでは抑うつがやや増大しました。
16週間後、TMグループは他の2つのグループと比較して抑うつの累積的な減少がいっそう顕著になりました(p<.01)。他にも、不安(p<.0005)、情緒の安定(p<.05)、怖れ(p<.005)といった症状に改善が見られました。
[Scientific Research on TM, Collected Papers vol 3, 273, pp. 2049-2053]
イタリアのTM実習者の抑うつと不眠症の減少
TMの規則的な実習を2年以上続けている瞑想者107人を被験者とした研究で、TMグループは対照グループと比較して、抑うつおよび不眠症の症状の有意な緩和を示した(抑うつ:p<.001、不眠症:p<.05)。
[Scientific Research on TM, Collected Papers: Vol 3, 239 pp.1830-1845]
インド人の患者の抑うつの減少
定期的な治療を受けても効果のない症状をもつインド人の患者75人(33種類の症状)が超越瞑想の指導を受け、そのうち67人は規則的な実習を続けた。長期的には、67人のうち61人の患者が、症状の大幅な改善あるいは症状の完全な消失という好結果を示し、中でも24人の患者は非常に早期の、劇的な、あるいは予想外の完全治癒というさらに顕著な結果を示した。
うつ病の患者5人は全員が特に顕著な好結果を示し、そのうち4人は短期間で、1人はそれより少し長い期間で効果が現れた。
[Scientific Research on TM: Collected Papers vol 3, 239, pp. 1826-1829]
クラーグ博士:超越瞑想をすると、多くの場合、私たちが生活する上で最も必要なものが生みだされます。それはバランスです。超越瞑想には健全な形で「正常化」をもたらす効果があります。ですから、過度に不活発な人々がTM(超越瞑想)を規則的に実践すると、活動性が増してくることがよくあります。
それとは反対に、健康を損なうほど活動的になっている人々がTMを規則的に実践すると、たいていはバランスのとれた生活習慣が取り戻されます。私の経験では、超越瞑想を規則的に実践する人々は、気分や活動のレベルが安定しています。