考え、感覚、行動の根底にある、本当の自分

私が体験している世界は、すべて知覚を通してやってくる。目は何かを見、耳は何かを聞いている。あるいは心では、いろいろな考えが渦巻き、私は、必ずしも望むとは限らない、自分が体験している世界を一瞬一瞬、更新している。

では、これら知覚体験をすべて取り払ってしまうと、そこには何が残るだろうか? そこには体験者──つまり私自身のみがいるはずだ。このような知覚を超えた「自己」の体験は、超越の体験として知られている。

先日、インドのビジネス誌、ビジネス・スタンダード(2014年1月14日)が、この超越の体験と、その体験によって育まれる、より高い意識の状態について取り上げた。以下はその記事の引用。

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私たち(インド人)は長い間、超越瞑想のことを知っていたが、アメリカ人は今やっと、瞑想が生活にもたらす恩恵に目覚め始めている。

瞑想には様々な効果があるが、超越瞑想は、私たちを二元性のない超越の体験へと導くテクニックだ。ある興味深い研究によると、超越を体験しているときは、何も知覚するものはなく、ただ自己に気づいている感覚だけがあると説明している。

米国マハリシ経営大学の脳・意識・認知センターの所長フレッド・トラヴィス博士は、超越瞑想だけが、超越を体験している最中の生理状態と主観的体験が詳細に研究されてきたと話している。

超越瞑想を実践する52人の超越の体験を分析した結果、彼らが体験していたのは「考えも感覚も何の意図もない、ただ自己への気づきが維持されている状態」であったことをトラヴィス博士は発見した。

超越の体験を体系的に分析することで、超越意識とは、時間も、空間も、身体感覚もない体験であることが明らかになったのだ。

「瞑想の実践のより大きな目的とは、より高い意識状態の開発にあることをこの研究は示している」とトラヴィス博士は説明していた。

規則的に瞑想を続けると、超越意識の体験は、眠っている時、夢を見ている時、そして目覚めている時にも共存するようになるという。

ヴェーダの伝統では、この状態は宇宙意識と呼ばれるとニューヨーク科学アカデミー記録ジャーナル(2014年1月刊行)で発表された研究論文は説明していた。

超越瞑想を実践する人達は、自分の体験を具体的な知覚や行動の過程と関連させて説明するのに対して、宇宙意識を体験した人達は、その体験を自分の考え、感覚、行動の根底にある内なる自己への気づきの連続性として説明すると、その研究論文は付け加えている。

トラヴィス博士は「より高い意識状態の実際的な恩恵は、自分自身の内なる自己により根ざすようになり、それによって日々の生活の浮き沈みに圧倒されなくなることだ」と述べていた。

超越瞑想は、自動的に超越する努力のいらないテクニックであり、何かに集中したり、観察したりする他の瞑想法とは異なっている。

超越瞑想は、心を静めて内側へと向かわせ、想念を超えて、想念の源(純粋な気づき、超越意識)を体験させるのだ。

そこは、意識の最も静かで安らいだ状態であり、私たちの最も内側にある自己であると、その研究は説明していた。