アーノルド・シュワルツェネッガーのような強靭な人間であっても、人生が不安で揺らぐことがある。重圧に押しつぶされそうになった時、彼はどうやって乗り越えたのかをビジネス・インサイダーが伝えている。
写真:「ターミネーター2」より
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1975年にアーノルド・シュワルツネッガーのキャリアは新しい段階へと飛躍的に上昇した。世界で最も優れたボディビルダーであった彼が、映画俳優としての第一歩を踏み出したのだ。
映画『ステイ・ハングリー』を撮り終えたシュワルツネッガーは、ミスター・オリンピアに向けてトレーニングする彼の姿を追ったドキュメンタリー映画『鋼鉄の男』に主演することになっていた。彼はミスター・オリンピアを6年連続で獲得するという記録を打ち立てることになる。また、彼はカリフォルニアで不動産の投資家としても成功していた。
シュワルツネッガーの世界的名声──そして銀行口座の残高──が高まるにつれて、彼の特徴であった自信満々の態度に反して、重圧に押しつぶされそうになっていたと「フェリスのポッドキャスト」の最終回で対談相手のティム・フェリスに語っている。
「私は、ここでとても大きなチャンスをつかみました。それから私自身にさまざまなことが起こり、さまざまなことに関わるようになり、そうこうするうちに私は、何とかしなければならない、という気持ちになりました。ですが私は、それらの問題を一緒くたにして一つの大きな問題として感じていました。それらの問題を個別に分類して、落ち着きと安らぎを感じて、幸福な気分になることができなかったのです。」とシュワルツネッガーは言った。
そのような時に、彼はビーチで一人の友人と偶然出会い、その友人が超越瞑想を教えていることを知った。そこでシュワルツネッガーは、人生で初めて不安に苦しんでいることをその友人に打ち明けた。
友人は、彼のために正しいTM(超越瞑想)を教えてくれる教師を手配してくれた。TMとは15~20分間、目を閉じて座り、心の中でマントラを繰り返すというものだ。
「私はTMを朝に20分、夜に20分行い、そして2週間か3週間以内だったと思いますが、心が(問題から)実際に切り離されるのを感じました。… そして、集中力を高めて、落ち着きを得る方法を会得したのです。」とシュワルツネッガーは言う。
TMを毎日実践して1年が経った頃、シュワルツネッガーの不安はなくなり、彼はTMの習慣を続ける必要性をもはや感じなくなっていた。しかし、瞑想を毎日集中的に行っていた年に、人生への取り組みが根本的に変わったと、彼はフェリスに語っている。
現在のシュワルツネッガーは、彼が関与するどのようなプロジェクトでも、45~60分間くらい集中的に仕事をしたあと、チェスの対戦をして、それまで集中していた物事から心を引き離す、という方法を好んで使っている。彼はトレーニングにも同じようなやり方を採っている。
結局のところ、シュワルツネッガーがTMを通して気づいたのは次のことだった。すなわち、彼の不安の根本原因は、膨大な量の互いにつながっている仕事の一部を、自分がすべて背負わなければならないと考え、それは到底不可能だと感じていたためであった、ということだ。
「今日でも、私はまだ(TMをやっていた年の)恩恵を受けています。なぜなら私は、さまざまな問題を寄せ集めて一緒くたにし、一つの大きな問題として感じるようなことはないからです。」と彼は言う。
例えば、いまシュワルツネッガーは映画の台本を憶えているのだが、「他にどのような懸案があったとしてもそれが気になったりはしません。台本を読むことだけに集中します。」と彼は話す。
シュワルツネッガーが彼の多方面のキャリアと人生哲学を語っているポッドキャストの全編を「フェリスのブログ」で聴くことができる。