瞑想は健康全般に効果があることはよく知られていますが、そもそも健康不良の背景にはストレスの存在が大きく影響しています。本記事では、ストレスの悪影響を5つに分類してまとめ、瞑想がストレス解消に効果的である裏付けを見ていきます。
ストレスに悩まされている人は多いと思いますが、具体的にどんな影響があるのか知らない人も多いと思います。ストレスについて正しく理解し、日々の瞑想の実践によって解消していきましょう!
※本記事は、下記記事の抄訳です。
5 New Findings About Stress–And How TM Can Help
Contents
ストレスの悪影響(5つの分類)
ストレスは万病のもと。ストレスの悪影響についての新しい研究によれば、ストレスは、身体の治癒能力を低め、脳を萎縮させ、染色体を変化させて、その影響は何世代にも渡るかも知れない。そのため、ストレスを洗い流すための効果的な方法を研究者は勧めている。
- ストレスは、身体の治癒能力を弱める
- ストレスは、脳を萎縮させる
- ストレスは、子供の早期老化の原因になる
- ストレスは、遺伝子に悪影響を及ぼすかもしれない
- ストレスは、風邪を悪化させる
アマンダ・チャンがハフィントン・ポストに寄稿した最近の記事には、ストレスの影響に関する新たな研究結果が紹介されている。
1)ストレスは、身体の治癒能力を弱める
ウェーク・フォレスト大学の研究者が動物実験を行い、『ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション』に発表した最近の研究によると、癌患者がストレスにさらされていると、癌細胞に対する抗癌剤の効果が低下してしまう可能性がある。
そして、癌と診断されて治療を受けている期間や、癌を「攻撃している」期間には、患者の受けるストレスはきわめて大きなものになる。マイアミ大学の研究者は、ストレス管理を行えば病気の進行結果を改善できることに気づいた。
2)ストレスは、脳を萎縮させる
イエール大学で行われ、『生物学的精神医学』誌に発表された研究では、離婚や失業といったストレスの大きい出来事を経験すると、感情や生理機能に結びついている脳の領域の灰白質が縮小してしまい、実際に脳が萎縮する場合があることがわかった。これはきわめて深刻な事態である。なぜなら、そのような脳の灰白質の変化は、精神疾患を将来発症する前兆かもしれないからだ。
3)ストレスは、子供の早期老化の原因になる
いじめや虐待、激しい暴力にさらされている幼い子供は、テロメア(注:染色体の末端部分。細胞が分裂するたびに短くなる)が普通より短くなっている。それは彼らの加齢が通常より早まっている兆候であり、そのため彼らの脳細胞は早期に老化する可能性がある、と『分子精神医学』誌に発表された研究は示している。
4)ストレスは、遺伝子に悪影響を及ぼすかもしれない
ケンブリッジ大学で行われ、『ニューサイエンティスト』誌に発表された最近の研究によると、ストレスが個人の遺伝子に与えた悪影響は、世代から世代へと受け継がれるかもしれない。この研究結果は、ストレスなどの外部要因の影響で遺伝子に生じた特定の痕跡は、次の世代で消去されるだろうという従来の仮定をくつがえすものだ。
5)ストレスは、風邪を悪化させる
研究の結果、ストレスは免疫系に有害な影響を与えることがわかった。米国科学アカデミー紀要に掲載された最近のある研究は、ストレスが風邪を悪化させる可能性があることを示している。ストレスにさらされているとき、身体はコルチゾールをより多く生成するため、それが身体の炎症過程に悪影響を与えるのかもしれない、と研究者は説明している。
瞑想のストレス解消効果
ストレス解消には深い休息(=瞑想)が必要
幸いなことに、私たちの身体はストレスを除去するようできている。そのシステムを使うために必要なのことは、ただ休むことだ。しかし、週末にレクレーションを楽しんだり、ジムに通って汗を流したり、何もせずにごろごろしたりするだけでは、まったく不十分なのは明らかだ。
研究によれば、睡眠よりもさらに深く神経系を休ませる自然な方法がある。この深い休息を体験すると、身体は、蓄積されたストレスを効率よく除去することがわかっている。これまで超越瞑想(TM瞑想)の実践によって、ストレスを解消することで様々な効果が見られることが繰り返し研究によって確かめられてきた。
超越瞑想のストレス解消効果を実証
たとえば、米国の国立衛生研究所から資金提供を受けた研究では、20分間のTM実践中、被験者のコルチゾール(ストレスの主要指標になっているホルモン)濃度が有意に減少したことがわかった。
この研究結果は、瞑想をしていない対照被験者が20分間座って閉眼休息した場合にはコルチゾール濃度に変化がなかったのに対して、TM実践中にはコルチゾール濃度が顕著に減少した以前の研究結果を再現するものであった(右図を参照)。またこの研究では、瞑想者たちがTMを規則的に実践した結果、自律神経の安定性が増大し、ストレス刺激に馴れるまでの時間が短縮され、さらに、ストレスの大きい作業をしているときの脳機能の効率性が高まったこともわかった。
最も印象的な結果を示した研究の一つは、カリフォルニア大学アービン校でfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いて行われた研究であろう。この研究では、TM歴5か月程度の人々が、TMを始めたばかりの頃に比べて、ストレス刺激に対する反応性が50パーセント以上減少していることがわかった。
ストレス解消効果は、瞑想の成果においても特に重要
『超越瞑想:マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーの教えのエッセンス』という本の中で著者のジャック・フォーレムは、毎日の超越瞑想の実践を通して達成される成果において、ストレスの解消が果たしている役割は非常に重要であると指摘している。
【瞑想のストレス解消効果】現代医学による裏付け
ジャックは、現代医学におけるストレスという概念の創始者であるハンス・セリエ医学博士の言葉を著書の中で引用している。セリエ博士はこの分野の先駆的な研究者であり、モントリオール大学の実験医療・手術研究所の前所長である。この研究所でセリエ博士は、ストレスに関する彼の研究に関連した1700の研究論文と15の専門文献を発表し、7冊の一般向け書籍を出版している。
そういうわけで、ベストセラー著者であるノーマン・ローゼンタール医師やパム・ピーク医師のように、TMのテクニックを患者に処方する医師がますます増えてきている。また、TMを実践すればストレスが減るだけでなく、医療費支出が減少することを示す説得力のあるデータがあるので、高騰するコストを削減するために実績のあるアプローチを探し求めている民間企業や公営企業が、超越瞑想プログラムを企業の健康管理プログラムの中核として採用するようになるまでそれほど長くはかからないかもしれない。