先日、伝説的なシンガーソングライター、フォークロッカーであるドノヴァンが、ガンズ&ローゼス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ローラ・ニーロ、ザ・ミラクルズとともにロックンロールの殿堂(The Rock and Roll Hall of Fame and Museum)入りを果たした。
受賞を報じた『ビルボード』誌の記事のなかでドノヴァンは、超越瞑想を学んだことが彼の音楽と人生に影響を与えたと語り、また、世界中の学校に「静寂の時間(超越瞑想)」を導入して学生の創造性を伸ばそうというデヴィッド・リンチ財団の取り組みに協力していると話した。
以下は、その記事からの抜粋。
ビルボード:あなたはインドでTMを学んだ最初の著名人の一人ですが、TMはあなたの音楽にどのような影響を与えましたか?
ドノヴァン: ビートルズと私がインドに赴き、そして戻ってきたあの頃、私たちには、ファンの人もTM(超越瞑想)をするべきだ、そして世界中の人々がTMをするべきだ、という確信がありました。私たちにはTMが必要だったのです。それから35年の歳月が流れた2009年4月4日、ポール・マッカートニーとリンゴ・スター、そして私とデヴィッド・リンチは、ラジオ・シティ・ミュージック・ホールのステージに立ち、この瞑想法が学校で採用された成果について世界に発表しました。
瞑想をすると、恐れや、怒りや、不安感が少なくなります。二度と怒ったり、不安に襲われなくなるというわけではありませんが、そうした否定的な感情にとらわれなくなるのです。この瞑想は、西洋人の思考様式にとてもよく合っています。瞑想を実践するうちに、私は、瞑想のことに触れた歌詞を書くようになりました。ビートルズも、歌詞の中で瞑想を表現した曲を作りました。
ドノヴァンとマハリシ・マヘーシュ・ヨーギー
ビルボード:TMの影響を受けて作った最初の曲はどれですか?
ドノヴァン: その影響がもっとも顕著なのは「ハピネス・ランズ」です。この曲は、68年にビートルズ、ビーチボーイズのマイク・ラヴ、ミア・ファローと一緒にインドに滞在していたときに作りました。当時、私は、みんなで一緒に歌える曲を作りたいと思っていました。私は詩人でもあり、フォークシンガーでもあるので、童謡や輪唱歌に関心があります。それで、この「ハピネス・ランズ」という輪唱歌を作ったのです。この曲には瞑想に直接触れている箇所があります。
「幸福は円を描いて走り回る
想いは海に浮かぶ小舟のようだ」
表現は単純ですが、これには深い意味が込められています。
またロック調の曲としては「ハーディ・ガーディ・マン」があります。18世紀に、ハーディ・ガーディという楽器をたずさえた人が、それを演奏しながら街から街へと巡って人々にニュースを知らせていました。それで私は、この歌の中で、ハーディ・ガーディを奏でる人と、私たちに愛の歌をもたらしたマハリシとを結びつけたのです。
ビルボード: 瞑想があなたの曲作りに影響を与えたと伺ったとき、まず私が思い浮かべたのは「ゼア・イズ・ア・マウンテン」でした。この曲はどのように生まれたのですか?
ドノヴァン: その曲のもとになったのは禅の俳句です。それは公案でもあります。公案とは、弟子の問いに対する禅師の巧妙な答えです。
「芋虫は皮を脱ぎ
わが身の中に蝶を見いだす」
とても平明な言葉です。もし、私たちが自らの皮を脱ぎ捨てることができれば、外側の固い殻を取り外すことができれば、内側にはもっと柔和な自分がいる、という意味の明快な表現です。私は古い書物の中から諺を見つけ、それを歌詞の中に取り込むことよって、歌を聴く人の内側で問いが生まれるきっかけになればいい、と考えていました。言葉にリズムを与えて魅力あるものにすることで、人々は私の歌詞にどんな意味が込められているかを知らなくても、その歌詞を口ずさんでくれました。インタビュー記事全文(英語)
「世界中の100万人の子供たちに超越瞑想を教えよう(主催:デヴィッド・リンチ財団)」という呼びかけによってチャリティーコンサートが開かれた。ビートルズのポール・マッカートニーとリンゴ・スターを始め、コメディアンのジェリー・サインフェルド、ミュージシャンのシェリル・クロー、エディー・ヴェダー、ベン・ハーパー、モビー、ジム・ジェイムズなどそうそうたるメンバーが共演した。