金融界のマネージャーが瞑想を実践すべき理由。暗澹たるなかで適切にアドヴァイスをするために

常に変動し続ける金融界のなかで、心静かに顧客に適切なアドバイスをしなければならないのがファイナンシャル・プランナーだ。フロリダに住むエヴァン・J・メイヤー氏は、それを見事にやってみせた。どのように?超越瞑想を行うことによって。以下は、worth.comに掲載されたメイヤー氏の瞑想の体験談の抄訳だ。

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Evan J. Mayer
エヴァン・J・メイヤー氏

金融界では予測できない事態が突然起こる。暗澹たる不安に襲われる瞬間だ。そんななかでも私たち(ファイナンシャル・プランナー)は過去の経験を総動員し、金融市場の乱高下や刻々と変化するニュースから顧客にアドバイスを与えなければならない。しかも、常に変化する状況の中で財務計画や有価証券を管理するためには、考慮すべき要素が山ほどある。余計な騒音を排除し、鍵となる要素に集中しなければならないのだが、そのためには一体、どうしたらいいのか?

時代に合った心を静める瞑想法

私は、自分の考えをまとめる優れた手法を見つけた。それは超越瞑想(TM)と呼ばれる、1日2回心を静める瞑想法だ。TMは、1950年代後半にマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーによってアメリカに紹介された。1960年代には、マハリシがビートルズの「精神的なアドバイザー」になったことで、急激に拡大。以来、ジェリー・サインフェルドレイ・ダリオハワード・スターンジェニファー・アニストントム・ハンクスラッセル・シモンズなど、多くの著名人が実践し、長年にわたって瞑想の魅力を熱心に語ってきた。

ヨガ、癒しの音楽、宗教、エクササイズ……安らぎを得るためにあらゆる瞑想的な実践が流行っている。しかし、それらを行う時間を見つけるのは難しいことかもしれない。幼い子供がいる人やビジネスが大きく拡大している人ならなおさらだ。その点、1日2回、わずか20分のTMは、今の時代にあった素晴らしい選択肢だと言えるだろう。

頭はあわただしく働き続けている

私が瞑想を始めたのは2013年のことだった。それまでは、株式市場が始まる前に事務所に行き、気がつけば午後5時を過ぎていて、頭がクラクラするような感覚に陥っていた。家に帰っても頭痛がして、すっかり疲弊していたものだ。

妻と子供たちは一日中私と会っていないし、話もしていないので一緒にいたがった。しかし、私の身体はそこにいても、心は翌日に片づけるべきことや、やり忘れていたことを考えていて、頭はあわただしく働き続けている。メール、電話、会合の合間にやらなければならないリストは常にいっぱいだった。それらを整理し、重要なことに集中する方法を私は必要としていたのだ。

私の兄は何年も前からTMを実践していて、仕事で大きな成功を収めていた。それで私にも「試してみたらいい」と勧めてくれていた。兄は芸能関係の仕事をしていて、有名人の友達からTMのことを聞いたらしい。最初、TMはちょっと変わったもののように思えた。マントラを使う瞑想法だと聞いて、宗教的な実践ではないかと思ったのだ。兄はニューヨーク、私はフロリダに住んでいるので、地元でTMが学べる場所がないか探したところ、無料の説明会が職場のすぐ近くで行われているのを知り、どんなものか聞いてみることにした。

瞑想を学んでみた

夜の説明会を受けて、私は瞑想を学ぶコースに申し込むことにした。4日間のコースでは、毎日詳しく瞑想のやり方について学んだ。また、自分にあったマントラ(瞑想の状態に入るために心のなかで繰り返す言葉)も教わった。それ以降、1回につき20分ほどの瞑想を、1日2回、繰り返し行うことになるが、1日の始まりと、仕事の後に行うのが一番良いと説明を受けた。

私は最初、1日の始まりに行う瞑想はあまり意味がないと思っていた。「もう十分休んでいるのに」と思ったからだ。しかし、半年ほど経つと、1日の終わりの瞑想と同じくらい朝の瞑想も重要であることがわかってきた。

効果が現れ始めて、実際に変化を実感できるようになるまでに1~2ヶ月ほどかかった。これはとても簡単な方法で、どこででもできる。ただ、実践するにはやはり根気、熱心さ、時間が必要だ。最初の1年で瞑想をやめてしまう人も多いようだが、継続することが最も重要だと思う。食事や運動と同じように続けなければ効果は現れにくい。

瞑想する目的は、思考活動を静めて心を超越させること。それが故に超越瞑想と呼ばれている。マントラとは意味をもたない言葉であり、心が何も考えないように導びくためのものだ。

瞑想を始めて何が起こったか?

瞑想は、私の人生を大きく変えるキッカケとなった。瞑想を始めて半年ほどで、気持ちが落ち着いて、心の整理ができるようになってきた。何人かの顧客から「最近は落ち着いていて、良い意味で以前とは違いますね。どうしたんですか?」と聞かれた。一番変わったのは、決断するときにもっと忍耐強くなったこと。そして、何が一番重要なのかを考え、優先順位をつけるようになったことだ。

瞑想を始める前は、できるだけ早く仕事をこなすことばかり考えていたが、瞑想を始めてからは、重要なことから優先的に取り組むようになった。早朝、会社に行く前に20分間の瞑想を行うと、気分がリフレッシュされ、その日の仕事や突然起こる困難な状況に集中することができる。そして、最も重要な課題から着手することで、効率性を増すことができた。また、ビジネスにおいて、より革新的で創造的になったことも大きなプラスになっていると思う。

一日が終わった後、私は事務所で20分間の瞑想を行っている。この瞑想も非常に重要で、多忙な1日の中でやり忘れていたことを思い出すことができる。また、事務所を後にして家に帰ると、肉体的な存在としてだけでなく、精神的にも家族のそばにいることができるようになったのだ。

自分自身に40分の投資をする

私たちは一日中、何千もの思考を巡らせている。これらの考えは私たちを様々な方向へと向かわせ、より重要な優先事項から私たちの集中力を奪いとってしまう。例えば、机の上に様々な課題や、やるべき仕事の書類が散乱していたらどうなるか。紙が積み重なっているので、その下に何が隠されているのかわからない。この20分間の瞑想は、これらの書類を重要度の高い順に整理する時間であり、それを1日2回行うのだ。

超越瞑想を始めてから、私のビジネスは飛躍的に成長し、トップのファイナンシャル・プランナーの一員となった。それ以上に嬉しかったのは、家に帰ってから妻や3人の子供たちにもっと寄り添えるようになったことだ。

1日40分という時間は、自分自身への投資として有効だろうか? 私にとっては間違いなくそうだった。だからこそ、皆さんにも瞑想を楽しんでほしいと思っている。

ソース:Meditation and Money: Why All Money Managers Should Practice to Become Great

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