瞑想でストレスを減らし、成績を上げたワシントンD.C.の学校

米国では、瞑想を授業の一環として採用している学校が増えている。なかでもワシントンD.C.にある理想アカデミーは、その先駆けだ。ハフィントンポストが、校長と生徒にインタビューし、この学校がどのように変わったのかを取材している。以下はその記事の抄訳。

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ワシントンDCの公立校、理想アカデミー学校は、アメリカの首都の騒音と喧騒の中心に位置する隠された宝石のような学校である。ワシントンDCといえば、賑やかな観光スポットと政治の中枢機関が集まった街だが、人口密度が高く、犯罪が多いことでも有名だ。そうした暴力と混乱に満ちたワシントンDCのなかで、そこは「安全な場所」であるといえる。

この学校には、「静寂の時間」と呼ばれる日課がある。それは、宗教とは関係しない瞑想法──TM(超越瞑想)の実習を行う時間だ。朝と午後に20分間ずつ、教師と生徒が瞑想を行うと、穏やかな静けさが学校を包み込む。それが生徒のストレスを減らし、集中力を高めている。

デヴィッド・リンチ財団によると、低所得者層が住む都市部の学校には、貧困、暴力、恐怖という苛酷な環境で育ち、トラウマ的なストレスを抱えた子供たちが何百万人もいるという。そうしたストレスによって学力が下がり、身体的にも精神的にも子供たちの健康が害されているのだ。

アトランタのエモリー大学医学部の臨床部長チャールズ・L・ライゾン博士の研究によると、瞑想はストレスに対する身体的および感情的反応を改善することがわかっている。この研究では、6週間、規則的に瞑想した人たちは、ストレスの多い状況でも、免疫力の悪化が見られず、感情的な苦しみも少ないことが明らかになった。

瞑想を理想アカデミー学校に導入したのは、学校長のジョージ・ラザフォード博士だ。彼は、世界で初めて公立校に超越瞑想を取り入れた校長として知られている。1993年にワシントンDCのフレッチャー・ジョンソン教育センターの校長であった彼は、このプログラムを取り入れて「静寂の時間」と名付けた。それ以来、アメリカ中の学校でこのプログラムが採用されるようになったのだ。
 

ジョージ・H・ラザフォード校長のインタビュー

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──最初に「静寂の時間」を取り入れたとき、どのような変化に気づきましたか?

「静寂の時間」を始めたとき、子供たちが穏やかになり、対立や喧嘩が減ったことに気づきました。また、学校に来る生徒たちが増え、成績も上がりました。学校は朝7時から夜11時まで開いていましたが、そこは生徒たちにとって天国のように安全な場所となったのです。

──瞑想を取り入れたことで、どのような効果が見られましたか?

「静寂の時間」は、静けさを体験する能力を育てます。すべての人が、日々の日課として「静かな時間」を体験すべきです。この学校の子供たちは、「静寂の時間」によって集中力が増し、よりはっきりと考えることができるようになり、学習を邪魔していたストレスを解消しているのです。

──このプログラムによって、将来どのようなことが起こると期待していますか?

この理想アカデミーで受けた「静寂の時間」プログラムによって、子供たちがもっと成功することを期待しています。この学校を卒業した子供たちを見れば、彼らが大きな達成を得ていることがわかるでしょう。学業面でも、大学や専門学校で優秀な成績を修めています。そのために私たちはここにいるのです。社会に貢献できるような若者を育てるためにです。
 

学生の体験談

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「TMに本当に感謝しています。TMによって、学校生活でストレスを感じることが少なくなりました。大学では期末テストが近づくと、ときどきストレスを感じることがあるので、今でも瞑想を続けています。瞑想すると、心が落ち着いて、すべてがうまくいくと思えるからです。中学1年という小さな頃から、瞑想を学べて本当によかったと思っています。

瞑想を続けることは、私にとって大切なことです。特に、ワシントンDCに住んでいると、若者たちはいつも喧嘩しているからです。瞑想は、そうした否定性から自分を守る助けとなります。瞑想は、クラスの他の生徒たちにもよい影響がありました。何か問題が起こったときには、みんなでよく瞑想しました。問題から離れれば、そこには平和な雰囲気が生み出されます。社会や学校には不平不満を言う人々がいますが、周りにどんな人がいても、瞑想することで自分自身の中心に留まることができます。」──ジャヒーゼ・ルボルフ(ニューヨーク大学4年生、中学1年で瞑想を習う)

「私は、いつもトラブルに巻き込まれていました。でも学校でTMを行うようになってから、少し落ち着いて、勉強ができるようになりました。前は成績が1だったのですが、瞑想を始めてから3になりました。成績が上がったのは、TMのお陰です。心が落ち着いたので、トラブルに振り回されずに、自分自身に留まり、まず自分が何をすべきかを考えて、それに専念できるようになりました。」──オマー・ジーター(16歳、中学1年で瞑想を習う)

「TMは本当に役に立っています。たとえば、もし疲れたら、TMがその疲れを取り除いてくれます。瞑想が終わると、授業中に勉強に集中することができ、エネルギーを一日中保っていられます。瞑想でストレスが解消されるので、家に帰ってからもリラックスできます。

また、心が動揺するときにも瞑想しています。瞑想は、自分がやるべきことを考える上で助けになるからです。例えば、トラブルに巻き込まれそうになったときに、瞑想すると、うまくいきます。瞑想中に、問題を解決するために何をすべきか、そのとき抱えている問題について考えることができます。」──デランタ・ローレンス(16歳、小学4年生で瞑想を始める)

「瞑想すると、とてもリラックスして、ストレスが減ります。座ってリラックスするために時間を取るんです。そうすると、ストレスから解放されて、思ったことは何でもできると感じます。僕はよくテスト前に瞑想しています。まず10分間座って目を閉じて、それからテストを始めるのです。」──キース・ジェンキンス(高校2年生、小学5年生で瞑想を習う)


Source:Washington D.C. Students Soar with Meditation at Ideal Academy (Akoshia Yoba)