PTSD(心的外傷後ストレス)に対する超越瞑想の科学的有効性

二つの予備的研究で、超越瞑想がPSTDの症状に及ぼした影響が検証されました。いずれの研究でも、帰還兵のPSTDの症状が劇的に減少し、生活の質が向上していることがわかりました。

そのうちの一つの研究はデンバー退役軍人センターで行われたもので、PTSDを発症したベトナム帰還兵が、超越瞑想を実践する群と、従来型のカウンセリングを受ける群のどちらかに無作為に割り振られました。超越瞑想を実践した帰還兵は、三か月後、感情の麻痺、不安感、およびPTSDの症状がすべて一様に軽減していました。
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帰還兵たちの飲酒量、不眠症、抑鬱も軽減しました。この研究の結果が明らかになった三か月後までに、デンバー退役軍人センターで治療を受けていた帰還兵の70パーセントは通院の必要がなくなりました。
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デンバー退役軍人センターで行われたこの研究と同じ結果が、OEF/OIF帰還兵のPTSDの症状に対する超越瞑想の効果を検証した最近の予備研究でも再現されました。この研究では、PTSD臨床診断面接尺度(最も基準になるPTSD検査)に基づいて評価された帰還兵のPTSDの症状が、超越瞑想の実践を開始して四週間目までに劇的な減少を示しました。また帰還兵たちは、抑鬱が軽減し、生活の質が改善し、帰還後に元の生活に戻る能力も向上しました。

* OEFは「不朽の自由作戦」OIFは「イラクの自由作戦」の略語

「始めのうち、瞑想をする時間が待ちきれないほどでした。なぜなら、瞑想をすれば、少なくとも20分間はストレスのイライラが消えて、私を悩ますものがなくなるからです。やがて私は、瞑想することだけを楽しみに待つ状態から、『一日中ずっと不安を感じない』状態に変わっていきました。」

──デヴィッド・ジョージ「イラクの自由作戦」の帰還兵

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* BDI:Beck Depression Inventory(ベッグ抑鬱性尺度)
* PCL-M:PTSD Checklist – Military Version(PTSDチェックリスト軍隊版)
* CAPS:Clinician- Administered PTSD Scale(PTSD臨床診断面接尺度)
* Q-LES-Q:Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire(生活の質に関する楽しみおよび満足度についての質問票)

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回復力

理想的には、闘争・逃走反応は、生死に関わるストレスがある場合にのみ発動させるべきです。闘争・逃走反応が慢性的に発動すると、心と体の両面が消耗してしまうことになります。

いくつかの研究で、超越瞑想は慢性的なストレスを軽減させることがわかりました。これらの研究では、瞑想中は生理がよりリラックスした状態になる、瞑想していない時でもストレスレベルが低くなる、ストレスへの対応がより速くなる、などの結果が示されました。
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「超越瞑想は、回復力と体力を高め、そして心を強くする効果があります。心が強くなれば、感情を麻痺させずに精神の安定を保つことができます。」

──ブライアン・リース大佐、医学博士、米陸軍予備軍医療隊所属

 

32の研究に基づいたメタ分析による、超越瞑想および閉眼安静が生理のリラックスの度合いに及ぼす影響が調査されました。このメタ分析では、超越瞑想プログラムは単なる閉眼安静に比べて二倍のリラクセーション効果があることがわかりました。リラックスの度合いは、呼吸数、皮膚抵抗、および血漿乳酸塩濃度によって測定されました。また、このメタ分析では、超越瞑想の実践者は対照被験者よりも興奮のベースライン値が低いことが指摘されました。つまり、超越瞑想を規則的に実践すれば活動中のストレスレベルが低下するということです。

この研究では、超越瞑想の実践者は、騒音(モデルガンの銃声)のストレスからの生理的回復(電気皮膚反応により測定)がより速いことがわかりました。また、「誤り警告」がより少ないことがわかりました。つまり、ストレスのない状況下で誤った警告反応を示すことが少ないということです。

超越瞑想は、ストレスに対する警告反応期を短縮することによって、神経系をより効率的に働く状態に戻し、生理的・心理的ストレスの兆候を少なくします。
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最高のパフォーマンス

現在の軍隊の訓練では、心と体の協調の必要性が無視されています。そのため、兵士が戦闘のストレスにさらされると、彼らの脳はパニック状態になり、心は基本的な生存本能にとらわれます。その結果、しなくてもよい失敗や負傷をしてしまうことがあります。それゆえ、回復力のある兵士――切迫した状況下でも心身の機能を維持できる兵士――を養成するために多くの取り組みが行われています。

超越瞑想プログラムに関する研究で明らかになったのは、超越瞑想を実践していると統合的な脳機能が発達するため、興奮状態にあるときでも精神的・感情的・身体的な能力を十分に利用できるようになる、ということです。
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「物事への対応が速くなり、順応性も高まりました。創造性が向上しました。部下との関係が大きく改善しました。そして人々からより多くの尊敬を受けるようになりました。」

──ダン・バークス、ベトナム帰還兵

超越瞑想の実践中、上図に示すように、脳全体が一体となって機能します。このような脳の全体的な機能は、瞑想を終えて日常の活動に入ってからも続きます。瞑想を長期間続けるうちに、私たちは、活動の中で脳の全潜在力を活用する能力を徐々に高めていきます。つまり、分析力、視覚と運動機能の協調、計画力、行動力、全体を把握する力、細部に集中する力、そして感情などが一斉に働いて、脳のパワーが最大限に発揮されるようになるのです。

これが最高のパフォーマンスです。

実は、ある研究で、メダルを獲得した一流のアスリートの脳機能と、スポーツをしていない超越瞑想の実践者の脳機能とが比較されたことがありました。メダル獲得者たちは、最高のパフォーマンスを発揮しているときの「ゾーン体験」について語っていました。心と体が統一された状態のときに測定した脳波には独特のパターンがあります。注目すべき点は、瞑想者の秩序的な脳機能と、一流のアスリートがゾーンを体験しているときの脳機能とは同じであったという事実です。

アスリートは厳しく、長く、つらいトレーニングを積まねばなりませんが、瞑想者は超越瞑想を実践するだけで脳の全体的な機能が自然に発達していきます。最高のパフォーマンスを得るために身体をトレーニングしたり、あるいは、瞑想を通して心を内なる強さの源へと引き戻すことによって、心と体との結びつきが生まれ、その結果、ストレスの下でも立ち直りが早く、明晰な思考ができる、見事に仕上げられた戦士が誕生します。そのような人は、最高のパフォーマンスを発揮する最高のリーダーとなります。それが模範的な戦士です。

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体験談「PTSDを超越瞑想で克服する」

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