エイズ患者に有効性が見られた超越瞑想の新しい研究

ペンシルヴァニア大学で行われた研究によると、超越瞑想はエイズ・ウィルスに感染した患者の活力や生活の質の向上に有益であることが実証された。

この研究では、22人の被験者を対象に、6ヶ月間にわたって、超越瞑想を学んだグループと健康教育を受けたグループとの比較を行った。そして、その研究の結果は、オンライン・ジャーナル『エイズ・ケア』に掲載された。それによると、超越瞑想を行っているグループは、健康と関係した生活の質が有意に向上したことが明らかになった。例えば、肉体的および社会的な活動能力、痛み、全般的な心の健康に改善がみられ、肉体面、社会面、情緒面の健康も向上した。

生理的な指標としては、ストレスと関係したホルモンであるコルチゾールや、免疫機能の尺度となるT細胞の総数を計測した結果、あらゆる面で、超越瞑想のグループは対照群と比べて、よりよい結果が見られた。

ストレスはエイズの病気の進行に関与している

過去50年にわたって、研究者はストレスがいかに病気を引き起こし、助長するのかに関心をよせてきた。多くの科学者は、そこには二つの道筋があると考えている。一つは行動に関係したものだ。ストレスを抱えた人は、よく眠れない、あまり運動をしない、偏った食生活、喫煙、医師の治療に従わない、といった傾向がある。もう一つは身体に関係した側面であり、ストレスは内分泌系を通して反応を引き起こすことがわかっている。内分泌系はコルチゾールといったホルモンを放出し、免疫系を含む他の複数の生理システムに影響を与えている。

カーネギーメロン大学の心理学者シェルダン・コーヘン博士によると、2000年頃から、ストレスとエイズとの関係について研究が進められ、ストレスがエイズの進行に影響を与えることが実証されてきた。アメリカ医師会ジャーナル(JAMA)で発表されたコーヘン博士の研究によると、強迫観念に苛まれながら投薬治療を続けるエイズ患者にとって、ストレスは大きな衝撃であることが明らかになった。ストレスは、治療を受け続ける患者の能力に重い負担をかけると彼は語っている。研究者はまた、ストレスが引き起こす自律神経系の変化は、エイズ・ウィルスの反応に影響を与え、病気の進行を促進すると述べている。

エイズ患者に対する超越瞑想の影響を調べたペンシルバニア大学の研究は、超越瞑想がストレスを軽減することを示す幅広い研究に基づいていた。

「この研究は、エイズウィルスに感染した人が住むコミュニティーで、超越瞑想の適用を調査した最初のものです。それは、ストレスがエイズ患者に与える影響についての研究を裏付ける結果となりました。」とペンシルバニア大学エイズ研究センターのスメダ・チャトラ博士は語った。

この研究資金は、ペンシルバニア大学エイズ研究センター (CFAR)からの助成金によってかまなわれており、この最初の研究は、より大規模で長期にわたる研究へと発展していくだろうと研究者達は考えている。

原文・Mario Orsatti