瞑想は難しい? 努力が必要かどうかは瞑想中の脳波を見ればわかる!

一般に広まっている瞑想のイメージでは、脚をプレッツェルみたいな痛そうな形で組んだり、忍び寄る想念を追い払うのに精神力が必要であったりして、瞑想の実践は「苦労なくして得るものなし」という種類の取り組みとして描かれている。

超越瞑想(英語で略してTM)の実践の場合、そのプロセスのなかに苦行のような努力は決して含まれていないが、TMは、努力を重視する他の種類の瞑想と十把ひとからげにされてしまうことが多い。

だが、『脳と認知』誌に発表された最新の研究は、超越瞑想に努力は要らないという主張には確かな科学的根拠があることを明確にしている。

誤解を正す

超越瞑想には努力が必要だという誤解の根本原因ははっきりしている。

「超越瞑想はマントラを用いるので、研究者たちはそれを根拠としてTMには意識の集中や心の制御をともなうと主張しているのです。」と、マハリシ経営大学による一般公開の場でこの研究の筆頭著者であるフレッド・トラヴィス博士は語った。

「TMを実践している人々はこの主張が事実ではないことを知っています。この研究は、超越瞑想が簡単に学べて、努力なしで実践できるというTM実践者たちの体験を裏づけています。」

超越瞑想に関する誤解を正すことを目的としたこの研究では、マハリシ経営大学の学生87人が被験者となった。被験者が超越瞑想を実践した期間はさまざまであり、一か月から五年間までの範囲にわたっている。

このような被験者の選択は、超越瞑想の初心者と熟練者の間に有意な差があるかどうかを検討するために役立った。

学生たちは、瞑想中の彼ら体験について質問され、また、三つの異なる状況──安静閉眼、瞑想、コンピュータ上での難易度の高い作業の遂行──において彼らの脳波パターンが測定された。

短期間の実践でも十分な効果

この研究の勇気づけられる結果の一つは、学生たちの超越の体験(時間・空間・身体の感覚がなくなる体験)の頻度と、TMを実践した期間の長さとの間に相関関係がないことであった。

「この結果は、超越瞑想は心の自然な傾向を利用して超越する(活動的な思考の領域から、内側深くの静寂の領域へと移っていく)という理解の裏づけになります。徹底的に実践を続ければ自然なプロセスがさらに促進されるというものではないのです。」と、トラヴィス博士は説明した。

TMと単なる休息との違い

被験者の脳波パターンの分析は、もう一つの重要なポイントを立証した。この研究結果は、デフォルト・モード・ネットワーク──人が心の中で何かを考えているときに活性化する脳の部分──の活動レベルに焦点が当てられた。

デフォルト・モード・ネットワークの活動レベルは、その人が眼を閉じて座っているときには高くなり、ある特定の作業を行っているときには低くなる。私たちが自分自身をよく観察してみると気づくとおり、私たちがある一つの作業に没頭しているときには他のことをほとんど考えておらず、私たちがベッドに横たわって眼を閉じているときにはイメージや考えが頭のなかに次々に浮かんでくる。

この研究では、超越瞑想を実践中の被験者のデフォルト・モード・ネットワークは、ある特定の作業に集中しているときのような非活動状態にならないことがわかった。この結果はTMには努力が伴わないことを意味している。

興味深いことに、他の種類の瞑想法はすべて、報じられるところによれば、心の制御と集中が関与しているためにデフォルト・モード・ネットワークが非活動状態になるという特徴がある。

「努力なしに超越を体験したことのない人たちは、超越するとはどのような感じなのか分からないかもしれませんが、今では、デフォルト・モード・ネットワークの活性化の高さを客観的に観察できるようになっているので、超越瞑想中に通常とは異なることが起こっているのを知ることができるのです。」

しかし、必然的に、そこから次の疑問が生じる。超越瞑想中と目を閉じて休んでいる状態はデフォルト・モード・ネットワークの活動が高くなるという共通のパターンがあるのだとすれば、超越瞑想にはどのような固有の価値があるのだろうか?

トラヴィス博士は、データを綿密に調査し、超越瞑想中に生じる脳の状態と、単なる安静閉眼時を特徴づける脳の状態との間に二つの重要な違いがあることを発見した。

安静閉眼中、被験者の脳における記憶および発声の運動面に関連する部分に検出されるベータ波が増大するが、これは、その状態のときに生じる「心の中のおしゃべり」を表していると考えられる。

一方、超越瞑想の実践中には、報酬期待に関連する脳の眼窩前頭野に検出されるシータ波が増大する。

これらの結果は、この二つの状態の違いを示し、超越中には心が精神機能のより魅力的なレベルへと移行していることを意味している。

超越瞑想の性質の理解

したがって、この研究の結果は、超越瞑想に関して最もよくある誤解のうちの二つを明確に解いている。

第一に、他の多くの瞑想法とは異なり、TMの実践には努力が要らないことが、この研究により実証された。

第二に、超越瞑想は眼を閉じて座っているだけの状態と同じではない、ということだ。

さらには、超越瞑想を始めたばかりの瞑想者でも、熟練した瞑想者と同じくらい多くの効果を得ていることが再確認された。

「それは重要なポイントです。」とトラヴィス博士。「研究者、解説者、有力メディアはしばしば異なる瞑想法を十把ひとからげにして扱っています。そのため、各種の瞑想法の効果についての理解が歪められ、これらの瞑想法のさまざまな対象への適用の方法が混乱しているのです。」

参考文献:F, Parim N. (2017). “Default mode network activation and Transcendental Meditation practice: Focused attention or automatic self-transcending?” Brain and Cognition, 111: 86-94. DOI:10.1016/j.bandc.2016.08.009.

Source:“Study proves Transcendental Meditation practice effortless” by TM HOME