美容ライターのイザベラ・サルリヤさんは、パンデミックの時期、大きな変化のうねりに飲まれていました。その時、手にした救命具が超越瞑想でした。その経験から超越瞑想とは何なのかをcoveteur.comの記事のなかで説明しています。
写真:Jiří Rotrekl 撮影/Pixabayより
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私のパンデミックが始まった
Наркологическая КлиникаによるPixabayからの画像
パンデミックが始まった頃、私は一緒に暮らしていたパートナーと別れました。そして、その2時間後には、荷物をまとめて幼少期を過ごしたニューヨーク州クイーンズ郡の実家に戻ることに……。その約1週間後には、仕事を失い世界的なパンデミックや経済危機が起こり、痛ましいニュースが携帯電話に通知され、心を揺さぶられました。
その結果、うつになり、些細なことでパニック発作を起こし、常に倦怠感を感じる状態に陥ってしまったのです。それまでも、心身の安定性を得るために、様々な健康法を試してきましたが、それらの多くは短期的には効果があっても、長期的には真に心が安らぐことはありませんでした。超越瞑想(略してTM)のことは何年も前から聞いていて、不安や怒りを和らげることも知っていたので、そのとき初めて試してみようと思い立ちました。
超越瞑想はどのように行うのか?
UnsplashのRodolfo Sanches Carvalhoが撮影した写真
TMを毎日実践している人は700万人以上いると言われていますが、インターネット上ではTMのやり方に関する情報はほとんど見当たりません。あまりにも謎めいているため、正直、瞑想を学ぶコースの初日、TMのセンターに向かう車の中で考えました。なぜセレブだけがやっているように見えるのか? なぜ私はお金を払わなければならないのか? サイエントロジーのような宗教に参加することになるのか?──ご安心ください。そんなことはありませんでした。
TMは、1日2回、20分間、先生から教えてもらったマントラ(瞑想に適した音)を使って行う瞑想法です。簡単に言うと、楽な姿勢で座り、時間になるまで静かにマントラを心の中で繰り返します。それは、50年以上前にマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーによってアメリカに紹介されたもので、数千年も前から続くヴェーダの伝統に根ざしたものです。
TMでは自分の考えをコントロールするのをやめて、すべてをそのままにしておきます。静かな場所でなければならないとか、お香が漂う中であぐらをかいて座らなければならない、といったものではありません。ただ自分の内側の静けさを楽しむという純粋で無邪気な実践です。
意識の最も深い層に潜っていく
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では実際のところ、TMとは、どのようなものなのでしょうか? それを理解するには、まず心の状態を理解する必要があるでしょう。TMの先生はよく、心を海に例えて説明しています。海の表面はたくさんの波が立っていて、泳いでいる人が自分の身体をコントロールできないほど激しく揺れ動いています。それに対して、海の底は動きが最小で、表面の波に揺り動かされることはありません。
心もそれと同じです。心の表面はピンポンのように思考が激しくぶつかり合い、人を不安な状態にします。しかし、意識の最も深い層に潜っていくと、そこには穏やかさと静寂があり、表面の打ち寄せる波とは大きな違いがあります。そこでは締め切りに追われることも、騒がしい同居人に悩まされることもありません。
海の例えで言うと、適切な装備なしに海の最も深い層に潜るのは危険です。超越瞑想では、意識の深いレベルに安全に潜ることができるように、マントラをウエットスーツのように用います。マントラは、心の中で起こる激しい思考のピンポンゲームから人を解放し、静けさに満ちた意識の深い層へと潜っていけるようにしてくれます。マントラ自体は意味をもたない音ですが、その音によって、人は意味を持つ言葉や思考から離れることができるのです。そして、深い意識の状態へと導かれていくにつれて、心は静かになり、空っぽに感じます。
他の瞑想法との違い
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では、TMは他の瞑想法とどう違うのでしょうか? 一般的な瞑想法では、呼吸に集中したり、体に集中したり、あるフレーズに集中したりします。それらの瞑想法は、何かに集中することで自分とのつながりを取り戻す素晴らしい手法です。それに対して、超越瞑想では、心や体に集中することはせずに、ただ存在することを目的としています。意識のより深い層には、創造性、幸福感、やる気といった素晴らしい質がもともと備わっているとTMでは教えています。TMは、そうした質を引き出して、日常生活で活用できるようにしてくれます。あなたがやりたいことが何であれ、それを成し遂げるためのツールなのです。
残念ながら、TMの実践方法については、他の人には教えないことになっているので、何も言うことができません。正しく安全に瞑想ができているかどうかをチェックするために、TMは先生から学ぶことになっています。TMはとても厳密な瞑想法なので、先生の指導のもとで学ばないと、自分自身の感覚が高まるどころか、頭痛や首の痛みなど、瞑想中に辛い思いをするかもしれません。それはちょうどヨガのインストラクターから、怪我をしないように正しく身体を伸ばす方法を教えてもらうようなものです。
自分の心の中を見つめて
UnsplashのJorge Salvadorが撮影した写真
実際、部屋の隅で1日2回瞑想するという単純な行為によって、私は自分の内側に静寂を見つけることができました。そこから限りない至福と創造性が開花するのです。両親との同居生活を送りながら、20代半ばで美容ライターとしての道を歩む私にとって、そうした創造性や至福はこの上なくありがたいものでした。
TMによって、自分の周りで何が起こっていても、自分の心の中を見つめて、「最終的には、すべてがうまくいく」と思えるようになりました。そのおかげで、自分の中に確固たる静かな基盤ができて、その静けさが毎日の生活にも定着しています。
TMは状態不安や認知不安を軽減することが、2016年の研究によって明らかになっています。私も、先のことを心配することなく、1つ1つやるべきことに集中できるようになりました。私の世界がぼろぼろに引き裂かれるように思えても、幸いなことに、それに振り回されない自分がいることに気づきました。それが私に思い出させてくれるのです。どんな悪い出来事も私を引き裂く力はなく、私を強くするものだということを。
超越瞑想についてはこちら
ソース:How Transcendental Meditation Helped Me Find a Sense of Calm