2025年、Journal of Maharishi Vedic Research Institute に発表された論文「世界的なマハリシ効果の検証」は、武力紛争が続く地域における“グループ瞑想”の影響を、統計的に検証した研究として注目を集めています。本研究は、一般的な平和構築の手法では十分に対処できていない国家内部の暴力のより深い原因に焦点を当てています。
暴力の根本原因を「意識のストレス」と捉える新しい視点
研究者たちは、内戦や集団暴力が発生する社会には、個人および集団意識にストレスが蓄積しているという理論に基づき、従来の「仲裁」「和平交渉」「国連平和維持活動(PKO)」の限界を指摘しています。
そのうえで、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーが提唱した「意識に基づくアプローチ」の一環として、グループ瞑想による「地球規模のマハリシ効果」を検証しました。
インドで行われた「1万人の瞑想集会」を実験条件に設定
研究が“介入”として分析したのは、2023年12月~2024年1月にインドで行われた、1万人規模の超越瞑想(TM)とTMシディをグループで実践した「平和のための1万人集会」です。
そこでは、超越瞑想(TM)とTMシディ・プログラムをグループで実践する大規模な瞑想のグループが組織されました。マハリシの理論では、一定規模のグループが同時に瞑想を行うと、その影響が集合意識に広がり、社会全体のストレスが低減するとされています。
分析対象は「当時世界で最も暴力が集中していた3カ国」です。研究チームは、国際的な武力紛争データセット(ACLED)の指標を利用し、パレスチナ、ミャンマー、シリアの3カ国を、当時「世界で最も暴力事件が多く不安定」と定義しました。そして、これらの国で発生した暴力事件の総数の推移を時系列の状態空間モデルで分析しました。
その結果、集会期間中において「暴力事件の傾向が有意に低下した(p < 0.001)」という結果が得られました。ここで重要なのは、「発生件数がゼロになった」のではなく、“暴力事件が増え続ける傾向そのものが統計的に有意に弱まった”という点です。研究者たちは、これは集会による“集合意識ストレスの軽減”と整合する結果だと結論づけています。
本論文は準実験であり、因果関係を断定するものではありませんが、
「最も暴力事件の多い3カ国の暴力事件の傾向が、特定期間に統計的に低下した」という点は、データとして明確に示されています。
過去にも、犯罪率・戦闘・経済指標などに関してグループ瞑想の効果を検証した研究は多数ありますが、今回の論文は近年の国際情勢を対象にした最新の事例といえます。


































