頂点に登りつめたマット・ボマーの20分間の秘密

ドラマ『ラスト・タイクーン』でマット・ボマー演じる主人公は、1930年代のハリウッドで困難をものともせずに名声と富を獲得していく。それはまるで、ボマー自身が体験しているアメリカン・ドリームを象徴しているかのようだ。

マット・ボマーは、アメリカの田舎で生まれ育った。彼の家系でショービジネスに携わったのは彼が初めてだった。しかしボマーは、きわめて競争の激しい芸能界の頂点へと登っていき、その途上でゴールデングローブなどの名誉ある賞を獲得した。

つい先日、『メンズ・フィットネス』誌がボマーにインタビューし、彼の成功の秘訣を聞き出そうとした。そして予想どおり、ボマーが長年実践してきた超越瞑想についての話題になった。

ボマーが瞑想に興味を持ったのは、『あるヨギの自叙伝』という本を読んでからだった。

最初のうち彼はむしろ懐疑的だった。

「私はずっと、瞑想とはヒマラヤの洞窟の中で蓮華座になって秘儀を実践することのように思っていたので、それが実用的なツールであることが分かっていませんでした。」

しかし、瞑想を試してみた後、ボマーの考え方は変わった。

「何かの精神修養をしている人が瞑想すればその効果が高まるかもしれませんが、瞑想自体は特定の宗教とはまったく関係ありません。瞑想をすれば意識を自己の内側に向けて集中させることもできるのです。」

「私たちは急激な流れる時間の中で、非常に多くの情報や宣伝にさらされる毎日を送っています。ですから私の場合、内面に集中し、静寂を保ち、自らの声に耳を傾けるために、一日二十分の瞑想が必要でした。」

俳優という彼の職業に対してTM(超越瞑想)は何らかの助けになったかと尋ねられると、ボマーはこう答えた。

「多くの面で助けられました。なぜなら、瞑想することによって、頭の中で渦巻いている様々な声に妨げられずに、落ち着きを保ちながら心を集中させることができると思うからです。」

「私は、生活のために自分がしていることに影響を受けやすいタイプです。私自身の感情を観察してみると、瞑想のおかげで、冷静に状況を眺められるようになり、物事に動じなくなり、他の人たちへの思いやりが増しているように思います。それに、自分の身にちょっとでも不運なことが起こるたびに七転八倒の苦しみを感じることもなくなりました。

また、創造性豊かな人たちと一緒に働いているときには、自分の内側で集中してから外側に出てくることが役に立っている、と言えるでしょう。なぜなら、それぞれ独自の課題や物事の見方を持つ人たちばかりが集まった部屋の中にいても、自分自身とのつながりを保ち、自分自身の声を聞くことができるからです。」

ボマーの多忙な私生活(彼には三人の子供がいる)と仕事の中で起こる様々な情況に対処するために彼が採っている方針は、自分自身に対して無理な要求を課さないということだ。

「ついでに言うと、私は瞑想に関して完全主義ではありません。『一日二回二十分ずつ瞑想しなければダメだ』と考えるような、達成できそうもない目標にこだわるタイプではないのです。私の知り合いにも、二十年間は一日一回しか瞑想しなかったけれど、無理なくできるようになってからは一日二回に切り替えたという人たちがいます。こういうことは自分の置かれている状況次第だと思います。

私には三人の子供がいますので、子供たちを家から学校やキャンプに送り出すまでは、自分のやりたいことができません。瞑想をしようと思えば、朝早く起きるか、子供たちをどこか家の外に連れ出しておかなければならないのです。」

ボマーは、二十分の瞑想の間の体験についてあれこれ悩まないようになった。

「瞑想中には、いつでも素晴らしい超越的な体験をするわけではありません。これまでで最低の瞑想だったと思う日もありますが、そんな日にこそ瞑想することが大切なのだと気づくようになったのです。」

原文:TM HOME