路上生活するコロンビアの子どもたちを救う、孤児院の奇跡

コロンビアには、通りで暮らす「見捨てられた子供たち」がいる。そうした子供たちは、誰からも愛されずに、様々な虐待に耐え、通りで死を迎えることさえある。コロンビアのメデリンは、麻薬の密売買と関係した犯罪や暴力のはびこる世界で最も危険な都市の一つだ。そんな街の通りで生き延びることは非常に難しい。幼い子供たちが酒場で働き、シンナーを吸うことで生きる苦しみから逃れようとしている。

そんな子供たちを救うために、ガブリエル・メヒアというカトリックの神父がコロンビアで静かに活動している。

1980年代半ばに、ガブリエル神父はメデリンで最初の孤児院を開く。そこは、子供たちに良い食事と安全に眠れる場所を提供する施設である。その数年後に彼は超越瞑想と出会い、この瞑想法が通りで暮らす子供たちの深刻なストレスを取り除く助けになると考えた。現在、ガブリエル神父が運営する施設は48あり、コロンビア全土に広がっている。

メデリンの中で治安の悪い地域に孤児院があり、6歳くらいの子供たちが救いを求めにやってくる。孤児院では、子供たちはシャワーを浴び、良い食事をとることができるが、やって来るのも立ち去るのも子供たちの自由だ。留まることを強制はしない。ガブリエル神父が、通りで暮らす子供たちと接するうちに学んだことは、そうした生活から抜け出したいという強い願望は、子供たち自身の内側から湧き上がる必要があるということだ。多くの子供たちは、シンナー中毒になっている。そうした依存症から立ち直るプロセスはとても苦しく、長い時間がかかるものだ。子供たちは、ガブリエル神父や施設のメンバーの心のこもった指導のもとで、リハビリテーションの一環として超越瞑想を習う。

すると子供たちの人生に驚くべき変化が起こり始める。通りの生活で耐えてきた苦しみから解放され、ドラッグ中毒から立ち直り、教育を受け始めるのだ。ガブリエル神父が作った施設は、見捨てられた子供たちを救い、彼らの尊厳を回復して、明るい未来を与えている。

最近、デヴィッド・リンチ財団によって、こうしたガブリエル神父の活動を紹介するドキュメンタリーが制作された。その中でガブリエル神父は次のように語っている。

「子供たちの心を癒すことができるのは、愛だけです。愛はすべての病気を治す特別な薬です。子供は自分が歓迎されていると感じるときに変わります。先生が自分のことを気遣っていると感じるときに変わるのです。犯罪や虐待された状況の中で、攻撃的になっていた子供たちが変わります。人間には、回復力という、絶えず生まれ変わる能力が備わっているからです。

子供たちが、朝と夕方に瞑想を実習し始めるときに、それが起こるのです。子供たちが目を閉じて瞑想するとき、彼らは自分自身の本質を発見します。それは愛です。私は超越瞑想を学んだ数千人の子供たちを見てきましたが、どの子の場合も、その変化は素晴らしいものです。

すべての人が、いま生きている世界を変えることに力を注いでいます。私たちは、いま自分が生きている世界よりも、もっと良い世界を子供たちのために残していくべきです。問題の解決策は、すべての人の内側にあると私は信じています。私たち一人一人の内側に、神聖な場所があります。私たちは、その場所に入り込むことができるのです。すると問題の解決策が、一人一人の内側からやってきます。それらが集まれば、多くの解決策が見つかるでしょう。すべての人が、内側から溢れる愛を世界に広げていくべきです。」

原文:HEATHER HARTNETT

■ドキュメンタリー「見捨てられた子ども達」予告編