リック・ルービンは、おそらく過去25年間における最も有力なレコード・プロデューサーだろう。現代音楽における彼の功績は計り知れない。ニューヨーク大学の学生だった頃、ルービンは親から5千ドルを借りて、ラッセル・シモンと共にデフ・ジャム(レコード会社)を始めた。すぐに彼は、音楽のジャンルにとらわれることなく、最高のミュージシャンと一緒に仕事をするようになる。
例えば、ジェイ・Z、ジョニー・キャッシュ、ニール・ダイアモンド、ミック・ジャガー、シェリル・クロウ、U2、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、アデル、カニエ・ウェスト、エミネム、ディキシー・チックなど、様々なジャンルのミュージシャンと共に活動してきた。それまでは、彼のようなプロデューサーは存在しなかった。
2007年、リックは、コロンビア・レコードの共同経営者に就任。その同じ年、アメリカのミュージック・テレビは、彼を過去20年間で最も有力なプロデューサーと称し、タイム誌は世界で最も影響力のある100人のリストに彼の名を挙げた。
リックは、これまで人生のほとんどの期間、超越瞑想を行ってきた。
以下は、リックの最近のインタビュー(Annabel Mehran)からの引用文である。
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リック:すべての芸術は、自然の力に近づこうと努めている。地球のハーモニーと調和することで、私たちが生み出す芸術は、自然との関係からより多くの恩恵を受け取ることができるからだ。
音楽はまさに私たちの心をうち、感情を揺さぶる。私にとって音楽は、最も大きな衝撃を与えてくれるものだ。それはちょうど、巨大な力を得るようなもので、実際に目を閉じるだけで、それを得ることができる。音楽を作る上での創造的なゴールは、暴風雨を生み出すようなものだ。海岸を打つ波を生み出すことだ。そこには自然の完璧な力があり、それを生み出すのがゴールだ。
同じような刺激を求めて、学生時代の友達のほとんどがドラッグを始めた。ドラッグは退屈さから解放してくれるからだ。学校を卒業しても彼らは仕事につかず、ドラッグをとってハイな気分に浸っていた。しかし、私にはドラッグ以外に本当に興味をもてるものがあった。
最初はマジックに興味をもったが、最終的には音楽に関心が移っていった。家に帰ると音楽を聴き、ギターを弾いた。私は、決して退屈しなかった。一つには、私は子供っぽかったからかもしれない。私は自分一人で楽しむ方法を知っていた。もう一つ大きかったのは、14才のときに瞑想を学んだことだった。そして瞑想は、私の人生にとって重要な要素となった。
私は非常に幸運だったと思う。首が痛くなって病院に行ったら、担当医がとても先進的で、「それはストレスが原因だから、瞑想を学ぶといい」と勧めたのだ。それで、私は超越瞑想を行う方法を学んだ。
瞑想を通して静寂を知れば知るほど、その静寂からバランスが生み出されていることに気づいた。
そして、私は驚くような成功を体験した。それは、本当に驚くべきことだった。ときには大変なこともあったが、うまく乗り越えることができた。良い時もあれば悪い時もあるというのは普通のことだ。しかし、長い間仕事をしてきて、これほど素晴らしい出来事が起こったのは、普通ではあり得ない。信じられないような成功だった。それは、信じがたいことだった。
成功の理由として考えられる唯一のことは、私は成功しようとしたのではなく、よい音楽を作ろうとしただけだ。よい音楽を作るために、できることは何でも進んで行ってきた。怠けることなく、どんなことにも決して妥協しなかった。私は少々、完璧主義なのかもしれない。もし、それがもっとよくなると知っていて、それをしないと、惨めな気持ちになるからだ。
私の周りにいる人々はみな、くつろいで仕事をしている。よい音楽ができる理由の一つは、私は周りの人々を気楽にし、彼らがありのままの自分を出せるようにしているからだ。私はアーティストたちが、安心して自分自身を表現できる環境を提供しようと努めている。他の人に安心感を与える能力は、私の仕事にとって最も重要な役割を果たしているといえるだろう。