アーロン・トーマスさんが同僚のデビッド・リースに射殺された事件後の数日間で、ニューヨーク市の環境保護局は、キングストンの職場で起こった恐ろしい暴力行為のショックから職員が立ち直るのを助けるために、いくつもの団体からカウンセラーを雇い入れた。
2014年2月に起こった発砲事件で精神的ショックを受けた職員への支援のために招集されたカウンセラーの中で、ニューヨーク市職員支援プログラムのカウンセラーは、職員に超越瞑想を指導することを検討してはどうかという提言をした。
「職場で超越瞑想の指導が行われれば、職員の仕事への集中力が高まるし、トラブルを抱えた人々を扱う仕事への忍耐力も高まる、という説明を受けました。」と、ニューヨーク市北部の貯水地域を監視する環境保護局の広報担当部長であるアダム・ボッシュ氏は語った。
ボッシュ氏によれば、同局内で開かれた説明会で、超越瞑想の指導によって、職員は、経験したばかりの恐ろしい事件の衝撃から立ち直れるだけでなく、ストレスのある状況下でも集中力と生産性を低下させずに業務を遂行できるようになる、と説明された。
犯人のリースは2月3日午前、ミッドタウンのキングストンのスミスアベニュー71丁目にある同局庁舎内でオリーブブリッジ在住のトーマスさん(33)を射殺した。
「難しいのは、その事件に対処することだけではなく、事件が残した影響に対処しながら生活を正常な状態に戻していくことです。」とボッシュ氏。「ストレスとトラウマが尋常ではないレベルに高まっているからです。」
「超越瞑想は人々の内側に落ち着きを生み出すのを助けます。内側に落ち着きがあれば、プレッシャーがどのようなものであっても、うまく対処することができます。」と彼は語った。
グーグルで検索してみると、インド人のグル、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーにより1950年代半ばに創始された超越瞑想は、「瞑想、マントラの復唱、その他のヨガの実践により、不安を取り除き、調和と自己実現を促進するテクニック」である、と解説されている。
環境保護局は、さまざまな集団に超越瞑想の指導を提供している非営利団体であるデヴィッド・リンチ財団と連絡をとった、とボッシュ氏は言った。同財団の指導を受けているのは、退役軍人と現役軍人の治療を援助している退役軍人局と国防総省、デトロイトやロサンゼルスなどの都市部の学校、アメリカン・エクスプレス等の大企業など、集中力や生産性の改善に関心を持っている集団である。
「私たちは、超越瞑想が全国の職場健康推進プログラムで利用されているのを知っていたので、それは発砲事件の後遺症への対処だけでなく、職員の業務全般の改善にも役立つだろうと考えたのです。」とボッシュ氏は語り、ニューヨーク市の他のいくつかの部局でも職員が超越瞑想の指導を受けていると付け加えた。
環境保護局は、総額が9万9600ドルを超えない範囲で、職員一人当たりの費用を600ドルとして、キングストンの職員が超越瞑想の指導を受ける契約を結んだ。通常であればデヴィッド・リンチ財団は一人当たり1200ドルを請求しているが、公務員に提供されるプログラムには助成金が支給される、とボッシュ氏は説明した。
ボッシュ氏によれば、同局はこれまでにおよそ3万7200ドルを費やし、キングストンの職員200人のうち62人が超越瞑想の指導を受けたが、このプログラムへの関心が非常に高まったので、他の職員のためのセッションも予定されている。
環境保護局は、キングストンでのプログラムの成功を受けて、同局の一般健康プログラムの一環として他の職場の職員にも超越瞑想を提供することを検討している、とボッシュ氏は語った。
「それはまったくすごい人気でした。超越瞑想を学んだ職員たちは予想した以上にそれを気に入ってくれたのです。」と彼は言う。「たしかに私も多くの効果があったように感じました。」
そのコースを受けて以来、集中力が高まって、気が散る傾向が以前ほどではなくなり、前にはよく感じていた「イライラ」がなくなった、とボッシュ氏は話した。
Source:“Meditation training available to Kingston employees of NYC environmental department” By Patricia Doxsey, Daily Freeman