労働時間を短縮するだけでは不十分。 瞑想は、ウォール街で働く人々を救えるか?

睡眠時間もままならない中、止むことなく働き続けている人々は多い。金融業界は、そのいい例だ。The Daily Ticker が、その深刻な状況と救いについて報道している。以下は、その抄訳である。

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最近、金融業で働く人々の死が相次いでおり、投資家が働くストレスの多い状況に世界中の注目が集まっている。規模の大きな銀行は週末の労働時間を制限することで問題に対処しようとしているが、それらの規則を無理やり実施しても、その効果には疑問の余地が多い。いくつかの研究によると、株式仲買人は、一般的な成人と比べて鬱病を患う可能性が3倍以上も高いことが明らかになっている。さらに、過剰なストレスは、心臓と脳の病気を引きおこす主な要因となっているのだ。こうした状況に、金融業界はどう対処したらよいのか?

一部の著名な投資家は、超越瞑想を頼りにしている。自分の会社の社員全員に、このリラックス法を教える人もいるほどだ。超越瞑想とは、1日2回、20分間ずつ、静かに瞑想するテクニックであり、ブリッジウォーターのレイ・ダリオ(彼は400人の従業員に超越瞑想を提供している)、ビル・グロス、ダン・ローブ、ニゴル・コウジアン(クエストの共同経営者)、ケビン・キンバーリン(スペンサー・トラスク会社)といった人々に人気がある。

デビッド・リンチ財団理事長のボブ・ロス氏は、デイリー・ティッカーの最近のインタビューで次のように話している。

「私は40年以上、超越瞑想を教えてきました。ウォール街で働く人々のTM(超越瞑想)に対する関心は、これまでも非常に高かったと言えますが、昨年あるいは2年前から、急激に高まりました。そして、非常に多くのウォール街のビジネスマンや企業が、瞑想を取り入れています。」

超越瞑想は、1960年代のヒッピー文化の名残とみなされることが多い。花輪を付けたマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーとビートルズの映像を思い浮かべる人もいるだろう。デヴィッド・リンチ財団は、そうした超越瞑想のイメージを徹底的に作り直そうとしている。

「現在、典型的な超越瞑想の実践者は、ウォール街、学校全体、建築家、家庭の主婦といった人々です。今の時代は、すべての人がストレスを抱えているので、すべての人が典型的な超越瞑想の実践者といえます。」とロス氏は述べた。

超越瞑想が健康上のリスクを減らし、脳の力を向上させることは、数多くの科学的研究によって実証されている。そして、ロス氏と彼のスタッフは、超越瞑想を教えた収益金(集中したコースのため、超越瞑想を学ぶコース費は約1000ドルかかる)で、精神的に苦しむ恵まれない人々に無料でTMを教えている。

彼らのグループは、超越瞑想のコース費が健康保険でカバーされるように、ブルー・クロスや他の大手保険会社に働きかけを行っている。

「英国でトップの人材開発の会社が、職場のストレスを21世紀の黒死病と呼ぶように、ストレスは大きな問題となっています。」とロス氏は語る。

「ストレスに関連した病気のために、アメリカの企業は、1年間で3千億ドル以上を費やしています。最近の調査では、アメリカの労働者の83%が勤務中に強いストレスを感じているという結果がでています。プロザック(抗うつ剤)やザナックス(鎮静剤)に頼って、残りの人生を送りたいという人は誰もいないでしょう。」

ウォール街で働く人々は、科学的証拠を重視し、聞き慣れない新しい考えであっても、驚くほど受け入れるとロス氏は述べている。

「超越瞑想を行うことで、考えがはっきりし、判断が正しくなり、より良い計画を立て、より多くの問題を解決できるようになることが研究によって実証されています。ですから、もし瞑想するなら、競争力を高め、ビジネスで優位な立場に立つことができるため、お金を儲ける可能性はより高まるでしょう。」