「刑務所のシステムは、完全に崩壊している」と、21年間、刑務所に入っているケヴィン・ローパーは語る。「しかし、刑務所のシステムを変えることはできなくても、刑務所の中にいる人びとを変えることはできる」。
超越瞑想が、そのための方法である──と感じている刑務所の管理者や受刑者の数が増えている。超越瞑想を導入した刑務所の管理者や受刑者たちは、刑務所に蔓延する深刻なストレス、不安感、憂鬱感、怒りが軽減し、人びとの健康や幸福感が増していると語っている。
管理者や警備員たちは、受刑者が超越瞑想を学ぶことは、矯正教育を受けるための準備になると感じている。なぜなら、瞑想によって受刑者の脳が秩序正しく機能するようになるため、カウンセリングや他の矯正教育プログラムが、より大きな効果を発揮するようになるからだ。
超越瞑想の創始者であるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーは、彼の著書『超越瞑想──存在の科学と生きる技術』の中で、「悪の道に染まったために鉄格子の中に閉じ込められてしまった人々の中にも、才能をもった人はたくさんいる。この人たちを社会の重荷として扱うのではなく、立派に更正させることができれば、彼らも有益な市民となり、社会の進歩に貢献するようになるだろう」と記している。
そのことを、オレゴン刑務所で瞑想している受刑者の一人はこう語る。「すべての人が内側では良い人なのに、悪い選択をしてしまうだけなんだ。」
超越瞑想は、多くの国々で、矯正教育プログラムとして活用されてきた。近年では、カリブ海のドミニカ連邦の刑務所で導入されている。その結果、受刑者の行動が改善し、ストレスや再犯率が減少することが研究によって確かめられている。
2003年に、犯罪者の矯正教育ジャーナルに掲載された研究によると、マサチューセッツ州ウォルポール刑務所で超越瞑想を学んだ受刑者は、再び犯罪を犯して刑務所に戻ってくる確率が33%減少した。カリフォルニアのフォルサムとサンクェンティン刑務所で行われた研究でも、受刑者の釈放後の再犯率が、35~50%減少したことがわかっている。
受刑者の一人のコメントが、そのことを良く表している。超越瞑想プログラムは、「こんな場所に、二度と戻ってこないようにするためのツールなんだ」。
原文・KEITH DEBOER