超越瞑想による癒しと自己変革を綴った新著「トランセンデンス」

ジョージタウン大学医学部の精神科教授であり、国立衛生研究所で上級研究員を20年間務めるノーマン・ローゼンタール医師は、季節性情動障害(SAD)の研究と、ライトセラピーの先駆的な使用で、これまで世界中の何百万人もの人々を助けてきた。

その彼が、最初の四冊の著書を出した後に、自分自身に与えた「例外規定」がなかったとしたら最近の著書『トランセンデンス(超越瞑想 癒しと変容)』は、書いていなかったかもしれない。

「本を書くことは多大な労力を要するので、もうこれ以上は本を書くのはやめようと、私は決意していました。しかし、何か本当に伝えるべき重要なことがあって、それが多くの人々の役に立つものであれば、そのかぎりではない、という例外規定を自分に与えたのです。」

ある日、ローゼンタールは、精神科で彼の診療を受ける何人もの患者のなかに、超越瞑想の著しい効果を目の当たりにした。「何百人という多くの人々の心理的、精神的な苦悩」を見てきた彼は、苦しみを軽減し、自己変革をもたらす、この有望な方法を社会に知らせるべきだと考えた。

新著『トランセンデンス』では、超越瞑想によって様々な恩恵を体験している広範囲な人々にインタビューを行った。そのなかには、瞑想している子どもから、元受刑者、仕事と家庭を両立させている女性、成功を収めたビジネスマン、そして、マーティン・スコセッシ監督やデヴィッド・リンチ監督といった著名なハリウッド関係者など、幅広い人々の逸話が引用されている。デヴィッド・リンチ監督は、「超越瞑想について書かれた本のなかでも最高のものだ。読みやすく、内容が充実していて、興味をそそり、科学的であり、実用的であり、深遠だ」と本書を賞賛している。

また、彼は、著書のなかで、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しむイラク帰還兵が、超越瞑想を実践する価値について考察している。

「精神科の診療費に比べるとTM(超越瞑想)の費用は非常に割安だ。TMを実践する人は、復員軍人援護局の病院に行ってPTSDの診断を受ける恥辱をまぬがれるだろう。それを実践すれば、気分が落ち着き、PTSDの諸症状が抑えられる。それは私が知る限り、もうこれ以上、頭を悩ませなくてもよい、とても易しい方法である。」

ローゼンタール自身は、瞑想中に体験される「超越」という独特な意識状態に惹かれて、1970年代初めにTMを始めた。その後、実践を中断していたが、ある患者がTMを試してみて、症状の改善が見られたので、彼は瞑想を再開することにした。

「その患者は私に瞑想の実践に戻るように勧めました。『それもそうだ』と思ったので、またTMを始めたのですが、その時に自分にも素晴らしい効果があることに気づきました。心が落ち着いて、集中力が高まり、多くの面で役に立ったのです。」

ノーマンの家では、彼の息子とその妻もTMを行っている。息子のジョッシュ・ローゼンタールは、復員軍人のPTSDとTMに関する研究を彼と共同で行っている精神科医だ。ジョッシュは以前、ある経験について父親に詳しく話した。それは次のようなことだ。ある日の夕方近く、書類業務に集中できなかったとき、彼は小休止をとって瞑想をした。

「その瞑想を終えたとき、僕の心はすっきりし、活力と意欲が湧いてきたんだ。父さん、どんな薬を使っても、僕がそのときの瞑想で得た効果と同じものを得ることはできないよ。」

『トランセンデンス』に掲載するインタビューをまとめ上げたとき、ローゼンタールは、TMにかかわる体験談は人それぞれ異なっていることに気づいた。

「ある人は、それがパニック発作を抑える助けになっている。ある人は、怒りが生じたとき、TMをすると怒りが鎮まると言う。またある人は、ストレスでくたくたになることが時々あるので、友人から薬物治療を勧められるが、いつも瞑想する方を選んでいると語る。インタビューした人々の多くは、TMは自分の創造性を高めるのに役立っていると話していた。誰もが、それぞれ独自の体験談を話してくれた。」

そうした体験談は各章で紹介されており、例えば「自分自身を愛することを学ぶ:監獄から戻る長い道」では、TMによる自己変革の感動的な人間ドラマがいくつか披露されている。

今ではTMの唱道者になっているのかと尋ねられたとき、彼は控えめにこう答える。

「私は、人々がより良い人生を生きるために役に立つすべての方法の唱道者です。TMは私をワクワクさせてくれます。なぜなら、他の方法よりも少しだけ新しい、少しだけ違ったメッセージを人々に伝えることができるからです。TMは新鮮なんですよ、とね。」

原文・CAROL DE GIERE