もしあなたが映画の資金集めが難しいと思っているなら、映画監督デヴィッド・リンチが彼の新しい「意識に基づく教育のためのデヴィッド・リンチ財団」のために、資金集めの基準として設定した70億ドルという金額を考えてみてほしい。
映画「マルホランド・ドライブ」の監督として有名な彼は、学生たちが超越瞑想を行う7つの「平和大学」のために資金を集めて、各大学に10億ドルずつ寄付しようというのだ。
TM(超越瞑想)は1950年代後半にマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーが世界に紹介した、1日2回20分ほど、心のなかでマントラを思う瞑想法である。
リンチは32年前にTMを始めた。TMのおかげで心の深いところにあった怒りが消えて、創造性が目覚めたと彼は語っている。「内側に飛び込むと、至福意識の無限の海を体験するのです。」
リンチによると、今日の学生の10人に3人は「うつ」や不安症で悩んでいるため、1973年に彼が必要としていた以上に、その無限の至福を体験する必要があるという。その目的のために、最近、彼はいくつかの大学で「平和研究」のクラスを開講し、学生たちが超越瞑想を学ぶことができるように資金を提供してきた。
ワシントンD.C.にあるアメリカン大学では、来年こうしたクラスを開設する予定である。この大学の研究者たちは、TMを学んだ学生達の成績や知能指数の向上、精神的健康の改善の度合いを調査する予定だ。
量子物理学者でありTMの実践者でもあるジョン・へーゲリン博士の研究によると、世界人口の1%の平方根の数の人たちがTMテクニックの上級プログラムである「ヨーガのフライング」を同時に行えば、全ての人間をつないでいる意識の統一場を刺激して、全世界に平和の影響を創り出すことができるという。リンチ監督はこの理論に確信をもち、7つの平和大学の学生たちに大きな期待を寄せている。
今年の秋に、リンチは全米の13の大学を回って、この計画について説明した。疑い深い人は、これまで暗い映画を作ってきた彼がどうして幸福を広げようとする活動に大きなエネルギーを注いでいるのか、不思議に思うかもしれない。しかし、リンチはそこには何も矛盾はなく、「苦しみを表現するのために、苦しむ必要はない」 と語っていた。